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光母子殺害ルポ本、元少年側「実名は約束違反」

記者会見に応じる増田美智子さん(6日午後6時14分、東京・霞が関で)

 山口県光市の母子殺害事件で死刑判決を受けて上告中の元少年(28)が、自分の実名を題名に使用したルポルタージュ本の出版差し止めを求める仮処分を広島地裁に申し立てた問題で、元少年の弁護団と本の著者らが6日、それぞれ記者会見した。実名掲載の経緯について、双方の見解は食い違いを見せた。

 広島市内で記者会見した弁護団の本田兆司弁護士は「元少年は著者と接見した際、『事前チェックをした上で、場合によっては実名の記載を了解するかもしれない』と告げたが、約束は守られていない。(実名での出版は)人が生きていく権利をもてあそぶものだ」と述べた。

 一方、本の著者で一橋大職員の増田美智子さんと、出版元「インシデンツ」(東京都)の寺沢有代表も、東京都内で記者会見した。増田さんは3月に元少年と面会した際に「実名で書きたい」と伝え、元少年からは「書いてもらって構いません」との回答があったと説明。同席した堀敏明弁護士は「本人が承諾しているので、法的には問題ないと考えている」と述べた。

 ところが、増田さんと寺沢代表が今月4日、元少年の弁護団と会った際、出版前に本の内容をチェックさせないなら、差し止めを求めると告げられたという。増田さんは「報道の自由に対する重大な侵害だ」と話した。

 本は増田さんと元少年との接見や文通、家族ら関係者の話で構成。早ければ7日にも約4000部の初版が書店に並ぶ予定という。

2009年10月7日  読売新聞)
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