山口県光市の母子殺害事件で死刑判決を受けた被告の元少年=上告中=の実名を掲載し、元少年の弁護団らが出版差し止めの仮処分を広島地裁に求めたルポルタージュ本は、7日、一部の大型書店などで販売が始まった。販売を自粛する書店も出ており、波紋が広がっている。
東京・神保町の東京堂書店では午前10時の開店直後から販売を始めた。一方、近くの三省堂書店神保町本店は午前10時の開店当初、この本を売るとしていたが、同11時に当面の延期を決めた。渡辺祐二店長らは「とりあえず、差し止め申請が出ているので」と話す。周りの書店の様子も考えて判断したいという。
そのほか、都心の大型書店は7日午前に取次業者に確認したところ、「午後には入荷する」という返答があった。150冊を仕入れ、話題の新刊として平積みでも販売する予定だ。担当者は「仮処分が認められれば販売は中止せざるを得ないだろうが、それまでは通常通りに売る」と話す。別の書店も同日午後、50冊を入荷。裁判所の決定が出ていないので、販売する方向で検討しているという。