暮から正月にかけて、お酒と映画鑑賞(CATV)で過ごしちゃいました。
世の中は大変のようですが、私の周囲は平穏無事です。
政治・経済の混乱やマスコミの煽動などに翻弄されず、自分のやりたいことを地道に追求して行けば、道は自ずから拓けると信じています。
このたび、私が執筆したパラグラフ・ライテイングのテキスト『国語脳ドリル
作文王トップレベル』(\1,050)が学研より出版されました。
中学生以上を対象にしていますが、大人でも勉強になります。
興味のある方は書店でお求めください。
私にちょっぴり印税がはいります。
ボクはいつも自転車でを走っていた[160]
自転車は浅野川の土手に向かっていた。急坂を体全体を使って登った。登り切ると、視界は一気に広がった。
右手から前方にかけて、降雨で水嵩が増した浅野川の黒い流れが、内灘の浜に向かって蛇行し、空と海が交わるあたりで靄の中に消えていた。左側の低地は見渡す限り水田の連なりで、緑一色の茫漠とした眺めの中に、村落の塊がモグラ塚のように点在していた。雨が降り落ちる上空には、濃灰色の雲が覆いかぶさり、一箇所だけ裂けて青空が小さく覗く部分から、白光が漏れていた。“キツネの嫁入り”だった。
ボクは光に向かって走った。今後の身の振り方を考えながら……。
――オフクロはああ言ったけど、オレが金沢に残ることに反対なんや。オヤジのメモを見せたがは、アキちゃんと別れさせるがが目的や。この間、アキちゃんにオハギを持って来させたがは、二人っきりでゆっくり話せるチャンスを作ってくれたがかも知れん。……――