Movers & Shakers
2003/08/02
野口美佳(株式会社ピーチ・ジョン 代表取締役社長)

ピーチ・ジョンの名前の由来はおもしろいですね。
かなりのおやじギャグなんですけど、最初名前を考える時に「ピーチ何とか」にしようと考えて、うちの会長に言ったら、「ピーチときたらジョンだろう」と言うんですよ。「ジョンはアメリカの太郎だ」と。
ピーチが桃だから「桃太郎」と。
 外国の方には一発で覚えていただける名前で、しかも、女、男? みたいで、何かちょっとスラングみたいな様相もあるし、ちょっと意味深で……。外国なんか行くと結構説明しやすいです。
どのようにしてピーチ・ジョンの設立に至るのですか?
 簡単に言っちゃうと、19〜20歳ぐらいで通信販売の会社をやりたいという男の人と知り合って、目をつけられて、手伝ってくれないかと言われて、私は一番最初の彼の社員になったんですよ。その人と後々結婚しちゃったんですけど、その中で、彼が通信販売の会社をやりたかったので、通信販売でヒットする商品を考えていたんですが、「お前は女だから下着をやってみたらどうだ」と言われて。それがやってみたらすごくおもしろくて・・。
 最初の1年はお客様が100名ぐらいだったんですよ。それを、地道にお客様を集めてカタログを出して、集めてカタログを出してと繰り返していたらこんなになっちゃって…。その頃株式会社は100万円でスタートできたんですよ。もうわらしべ長者みたいなもんですね。
野口さんの著書を拝見させていただいていますと、これは女性向けの女性のための女性のビジネスではないと。世の中、女の子たちがかわいくて、きれいで、元気だったら、世の中全体が楽しくなるはずだ、明るくいられるはずだと書いていらっしゃいますね。
これは、後付なんですけど、例えば、世の中の女の子がみんなセクシーでかわいかったら、男の人も頑張って明るい世の中になるのではと思って、今頑張ってやっています。
それは絶対あると思いますよ。よく外食でも、車のデザインでも、女性がデザインして、女性が集まる場所には男性が集まってくる、ビジネスもうまくいくとよく言われますけども、まさにそういうことなんでしょうね。
この本の中で野口さんは、男性社会の中で女性がキャリアアップしていくにはある言葉をマスターする必要があると書いていらっしゃいます。その言葉とは何語でしょう。・・野口さんからお答えを。

 「オトコ語」です。仕事をしていると、会社の仕組みとか企業の成り立ちとか、すべて世の中の経済というか、仕組みが男の人がつくったものなんですよ。女の人じゃ絶対考えられないような仕組みとかがいっぱいあるんですね。でも「女にも何とかを」みたいな動きをするよりも、あえて女の方が男の仕組みを理解しちゃって、中にこっちから入っていけばいいんじゃないかなと私は思っていて…。文句ばっかり言っていてもしようがないですからね。おじさまたちが使っている言葉遣いとかをまずマスターしちゃった方がいいですね。楽ですね。
何か極端な例ってありますか?
 女じゃ絶対あり得ないような、カタカナをやたら使う。ソリューションとか、スキームとか。(笑い)やたら分厚い企画書とかね。普通の企業だったら、女性チームがあったとしても、まず男性役員とかに承認をとるためにすごい企画書を何日もかかって作ったりとかね。そういうのがとっても無駄だと思うんですよ。でも、私たちその中で仕事をやっていかなきゃいけないんで、文句言っていないで覚えちゃった方が溶け込みやすいですね。男は違うんだなと思っちゃった方が。数字で会話したりとか。
 女の人ってファッションがありますから、ファッションとか、見た感じのイメージとかで、何となく気分で会話ができちゃうものなんですよ。女の人同士ミーティングしていると、キャー、ワァーみたいに、それで結構話が成り立っちゃうんですよ。男の人から見たら異様だと思うんですけど、不思議なもので、目と目で、いけるとかいけないとかがわかっちゃうものなんですね。
よく他の企業に勤めていても、女性だからという、グラスシーリングとか、ガラスの天井でとか、いろんな制約を言う人はいるんですけども、そこで「だから無理だよ」と言わないで、むしろうまく順応する……
 覚えて、その上で女っぽく仕事をしたらいいんじゃないかということを提案しているんです。ただ自分が男ぶってもしょうがないので、そこで女っぽさをポンポン出しちゃった方が、男性にも一目置かれるじゃないかと思っているんです。
この中で、男性、女性にかかわらず、仕事というものはこうあるべし的なヒント、アドバイスが書いてあったりするんですけども、「いっぱいいっぱい」という言葉が大嫌いと書いてありましたね。
 例えば、一緒に仕事をしている人に「もういっぱいいっぱいです」と言われると、「あっそう」と思って「じゃ、違う人に回す」とか思っちゃいますね。限界ってないと思うんですよ。限界だと思ったらできるように考えればいいんじゃないかなと思うんです。私は、仕事を難しくする人が嫌いなんですね。仕事というのは結局次の人に渡していく流れ作業だと思うので、次の人が受け取ったらいかに簡単かというようにしていかないと疲れちゃいますよね。
この中にいろいろ女性へのメッセージもたくさん書いてあるんですけども、働く女性へのアドバイスということでおっしゃっていますね。現在の役割と自分の理想をごっちゃにしない方がいいと。
女性ってやっぱり夢見がちなんで、私にはもっと違う世界があるとか、こういうことがあるとか、ああいうことがあるとか、夢をみながら仕事をやっちゃうと、現実的に目の前でやっつけなきゃいけない作業と自分が持っている願望がずれていったりするので、仕事は仕事で現実として捉えて、その中で夢は明日へ希望を持つみたいな感じで、ちゃんと分けて考える脳みそが必要かなと思います。仕事に関しては、現実的に自分で分析力があった方がいいと思いますね。夢だけじゃね。夢を持つことは明日への原動力になるんですけど…
やるべきことをやると。
そうですね。
あとは、人のせいにしない、人のことをいろいろ言わないと。
 そんなこと書いてあった?(笑い)人のせいにしちゃったら伸びないですね。何でも自分のせいだと思った方が伸びますよ、絶対。男女問わず人のせいにしがち…。辛いことがあるとどうしても逃げたくなっちゃうんで。やっぱり自分のせいだと思っちゃった方が立ち直るのが早いし、そこからのスピードアップは早いと思いますね。
うちの番組は、これから自分で会社を起こしたいとか、野口さんのような女性になりたいと思っているリスナーがすごく多いんですが、先輩からかつというか、アドバイスをいただきたいんです。
 私は、一番大切だと思うのは人だと思っているんです。私なんかトップに立っていますけど、何でここまで来れたかと言うと、周りの人が助けてくれたからなんですよ。手伝ってくれる人が何人もいたからなんですね。1人じゃできないです。もし私がすごく売れるものを持っていても、それを一緒になって手伝ってくれる人がいなかったら、伸びるものも伸びないです。人を仕切る能力というよりも、人に助けてもらえるキャラというか、そういう性格ってあるんですね。
私、芸能人の子も何人か見ているんですけど、芸能人で売れている子というのは、周りが必死に手伝ってくれるんですよね。顔がかわいいとか、そういうんじゃなくてね。それだと思うんですよ。会社をやっている社長さんなんかも、みんな周りがなぜか手伝っちゃうみたいな、そういうキャラの人が多いですね。
ずばり野口さんのこれからの夢は?
 あらゆるランジェリーを売っていきたいし、女の子をもっともっときれいにかわいくしていって、かわいいという日本独特の文化を海外にもお届けできたらなと。

野口美佳(のぐち みか)

1965年1月13日、宮城県仙台市生まれ。
高校卒業後、上京。グラフィックデザインを学ぶ。
21歳の時、現在の潟sーチ・ジョンの会長である野口正二と出会い、結婚。正二氏の企業独立と共にメールオーダービジネスに携わり、17年目になる。
1994年、輸入下着の通信販売会社として(株)ピーチ・ジョンを設立。
現在カタログ『PJ』は発行部数180万部。
直営店ピーチ・ジョン・ザ・ストアを全国に14店舗展開。
「元気・ハッピィ・SEXY」をコンセプトに、ランジェリー、アウター、アクセサリー、コスメなど幅広い製品をカタログで扱うと共に、常に新商材を探して飛び回る日々。
私生活では3人の子供を持つ母親でもある。


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