先日のエントリでは、民主党の某議員との電話でのやりとりを紹介したので、本日は数日前、自民党議員二人と同席した際に交わした会話を取り上げようと思います。全くの雑談で特に深い内容があるわけではありませんが、現在、自民党議員がどんなことを考えているかの一端でも示せればいいとなと。話題のテーマ分けは私が勝手に行ったものです。
【衆院選その他の反省】
A議員 つくづく思ったのだけど、歴代自民党政権はその任に値しない、答弁能力もないような大臣をたくさんつくってきた。(具体例がいくつか挙がるが省略)こんなことを平気でやってきたんだから、国民に見離されても仕方がない。某元首相だって、閣僚をよくみると結局、派閥順送りだった。
B議員 その件では某首相から直接、「何人か派手にバーンとやって、あとは派閥順送りでいいんだ」と聞いたことがある。長年政権与党だった澱がたまり、自民党は中からぐずぐずになっていた。それを立て直し、鍛え直すには一度野党になる必要があったのだと思う。今までは、自民党にはどうしても危機感が生まれず、今になってようやくそれが出てきた。
【対米関係】
B議員 石原都知事が頑張っていたけど、都内にまだ米軍横田基地があり、返還されないなんて異常だよ。民主党は対等な日米関係を築くと言っているが、結局、集団的自衛権の政府解釈を見直して行使できるようにするしかないんだ。米国は、すぐに「じゃあ、何をしてくれるんですか」と聞いてくる。海外の在留日本人の緊急避難マニュアルは、米大使館前に連れていって、そこから米軍ヘリで運んでもらうようになっている。こんな状態じゃどうしようもない。日米が対等になるには、「それじゃあ、こういう場合には日本としてこうやりますよ」と集団的自衛権の行使を言うしかないんだ。
私 そうであるのに、衆院選公約ではそこがあいまいにぼかされていた
B議員 そういうことは明確に打ち出さないと意味がないんだよな。自分と自民党のこれまでへの反省も込めて言うけど。明確にしないと。
【公務員制度改革、対役人】
A議員 公務員制度改革だけは、ずっと掲げていなければならないし、それが後退したかのような印象を与えたのはまずかった。これこそが「戦後体制からの脱却」だったんだから。それと教育。(自治労、日教組の支援を受ける)民主党は、決して地方公務員には手をつけられないんだし。この件は、役人の話、陳情を聞いてはいけない話だった。
B議員 結局、漆間(前副長官)もダメだったね。役人には身内を切るようなことはできない。実際、自民党で役人をかばったような人が、選挙で当選したかというとそんなこともない。
A議員 でも、これは野党になったんだから、ばんばん言えるしやれる話だ。俺たちは役所も役人も知っているしね。与党のときは、役人に「勘弁してください」と泣きつかれると、つい、ほだされてしまったこともあるが。
B議員 そのあたりを与党となった民主党がどこまでできるかだ。
【保守と小さな政府】
A議員 保守とはもともと小さな政府を志向するものだけど、米国流と日本流はやはり違う部分もある。国民は年金など社会保障の地域格差は望んでいない。行政組織は小さくしていくのが当然だし、既成緩和も進めるべきだとしても、セーフティーネットやその他は米国流にはできないし、日本流のあり方を明確にしていく必要がある。
B議員 米国と日本とでは、自主独立のレベルが違うからね。米国ではいまだに健康保険制度にあれだけの人が反対している。自由、自己責任への考え方が違う。なにせ、いまだに銃を持つ権利が与えられている国だから。
A議員 民主党政権を見ていると、やはり社民主義の政権だ。だから、それとは異なる旗印を掲げないといけない。それは「保守」だが、日本では伝統・文化重視型の保守と、小さな政府派の保守が分裂を起こしている。そこを整理して、きちんと定義して新たに掲げていくべきではないか。
B議員 安倍政権のときはその両者をなんとか取り込もうとしたんだが…。某元首相は答弁の下書きに「小さな政府」という表現があったのを、「うん?」と言って消させたことがあった。本当のところ、どう考えていたのか。
B議員 民主党政権は最低四年は続く。その間、自民党が持ちこたえられ、かつ体力を増進できるかだ。そもそも、来年の参院選も危ない。ここでさらに議席を減らせばもう立ち直れない。
A議員 ただ、来年夏の参院選が終わると、たぶん小沢幹事長は気力も体力も尽きるだろう。そういう要因はあるが…。今の執行部の顔ぶれはだめだめだ。全然生まれ変わった感がない。
B議員 古い自民党のイメージそのものだ。そういえば、谷垣総裁も「保守」を口にしているが、あれはわれわれの思う保守とは違うのだろうな…。よく分からないが。加藤紘一氏を衆院予算委の筆頭理事など論外だ。あれは本当なのか。
私 どうも谷垣氏本人は否定していて、むしろ加藤氏が「関係者によるとどうやらそういうことらしい」と言いふらしていたという話もあります。
B議員 まあ、いずれにしろ、これから党中党と言われても、戦っていくしかないな。まず、自民党が「戦える」政党にならなければ。ここ数年はずっと戦えない政党だったから。あと、参院の長老支配をなんとかしないことには話にならない。
…これは、テープにとっていたわけではなく、いいかげんな私の記憶では大体こんなことを話していた、というだけのものです。ですので、AさんとBさんの発言もところどころ入り交じっている可能性もあります。また、実際は私ももう少しなにがしかのことをしゃべっていますが、私の考えはいつもここで書いていることなので割愛します。
これとは別に、昨夜電話で話した元自民党議員も、「最近は予算委員会などを見ていても、民主党の質問者の方が、答弁する自民党の大臣よりレベルが高かった。質問の方向性の問題は別として」という感想を語っていました。先の衆院選の自民党大敗の理由はいくつも挙げられていますが、つまるところ、やっぱり内部が老化し、硬直化し、肥満化し、怠惰に緩慢な死を迎えるのを手をこまねいて見ていたから、なのだろうと思うのでした。
by 酔うぞ
自民党のあり方について2人の…