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交通安全協会、会員減を特典で歯止めへ

2009年10月07日

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宇都宮中央安協に入会すると、反射材でできた人形やたすき、オリジナルのエコバッグなどが特典をしてもらえる=宇都宮中央署

 交通安全協会(安協)の会員離れに歯止めがかからない。10年前に8割程度だった県内の運転免許取得者に占める入会者の割合は昨年、ついに5割を切った。「このままでは活動を維持できなくなる可能性もある」と、飲食店などの「協賛店」で割引が受けられる会員サービスの導入など、打開策を試行錯誤している。

 安協への入会は、運転免許の取得や更新時に、運転免許センターや警察署で勧誘している。県安協によると、県内の運転免許取得者に占める会員数は、98年ごろまでは8割前後。しかし、以降は減少を続け、02年に67・7%、05年には59・3%。昨年は49・9%にまで落ち込んだ。

 警察と連携し、交通事故防止や交通マナーの啓発活動を行うのが主な仕事だ。県内には県安協のほか、警察署の管内ごとに20の地区安協がある。幼稚園児や小学生を対象にした「交通安全教室」を開いたり、道路の危険個所に反射材やカーブミラーの設置を行ったりするなど、交通安全全般に関する活動をしている。県安協は職員が約200人おり、約4分の1は県警OBだ。

 任意に入会したドライバーからの会費(年400円)が主な活動資金で、入会者減は活動費減に直結する。県安協の担当者は「交通安全のための1日1円と考えれば、高くない」と入会を呼びかける。

 ただ、「何のために入会するのかわからない」という声は多い。9月に県運転免許センター(鹿沼市)を訪れた宇都宮市の50代の男性会社員は「どんなことをしているのか分からない。自分には必要ない」と入会しなかった。

 そんな声に応えて、県安協は入会呼びかけの際の十分な説明を心がけてはいる。だが免許更新時に勧誘するため、「込み合う窓口で活動内容や意義を十分説明するのは難しい。『地域の安全』という大義だけではもう難しいのかもしれない」と担当者。

 そこで力を入れ始めたのが「入会特典」の充実だ。

 05年から始めたのが、道路地図の配布。「協賛店」を集め、入会者への各種割引サービスも開始した。

 協賛店は、衣料品店や飲食店、ホテルやテーマパークなど様々な業種に及び、その数297店。サービス内容は食事代や理髪料、衣料品の割引から、マンション賃貸料割引まで幅広い。

 県安協がチャイルドシートを無料で貸し出しているほか、宇都宮中央安協のエコバッグ、鹿沼安協の本革製免許証入れのプレゼントなど、地区安協の独自特典もある。

 県安協は「本来の目的は交通安全。会員増が目的になっては本末転倒」としながらも「会員離れは死活問題」としている。(吉永岳央)

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