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2009年08月24日

伊藤 元重 東京大学大学院経済学研究科教授 経歴はこちら>>

消費税に縛られるな「増税論議」(4/4)


 最後に炭素税について一言述べておきたい。
 すでにいろいろな所に書いているのでここでは詳しく述べないが、省エネや低炭素社会を確実に実現していくためには、政府や企業の自主行動計画や努力だけに頼らず、市場的な手法を導入する必要がある。

 将来的には日本も炭素税や排出権取引を本格的に導入することを求められるはずだ。そしてもし本格的に炭素税を導入するとすれば、その税収は相当な規模になると想定される。そして炭素税の税収を、環境目的のためだけに使うべきという理由はない。他の税金と同じように増税の財源として考えるべきなのだ。

 以上、地方所得税、相続目的の消費税、そして炭素税という3つの税について触れた。繰り返しになるが、消費税率を引き上げる必要がないと言っているわけではない。消費税は優れた税である。ただ、増税とは消費税率を上げることだ、という決めつけの議論を続けて政治的に手垢のついた消費税増税論議に縛られるのではなく、より広い視野から増税について考える必要があるということを述べたかったのだ。


 →あす(25日)の新聞案内人は、弁護士の田中早苗さんです。

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