初等ボクドウの馬産学教室

〜燃えよ日高魂〜

座右

2009-10-07 | 海外渡航
 本はかさばる上に重たいから、そう何冊も持って行けない。私は読書がわりと好きで、日本語の小説をしばらく読めないのは精神衛生上好ましくないけど、自分の選んだ道だから仕方がない。いろいろ悩んだけど、でも、どうしても持っていきたい本が2冊ある。

 1冊目は、生産技術者として大いに助けられた

ザ・ホース 受胎から成熟まで  ピーター・D・ロスデール  JRA

という、いわばテキスト。生産業務からはしばらく離れるから、わざわざ持っていってどうするんだとも思うんだけど、このテキストには本当に随分助けられた。なんせ、種付けからお産から何から何まで、今勤めている牧場の生産関連の仕事はほとんど自分が主体となってやっているわけです。

 何十頭っていう新生児が、私の見守る前で立ち上がっていった。アンチャンの頃、教えてくれた人ってのは確かにいるんだけど、独り立ち?してからは、ほとんどはこの「ザ・ホース」を頼りにこなしたような気がする。

 何を隠そう、うちの牧場は3年連続全頭受胎にして早期胚死滅ゼロ(残念ながら流産や当歳馬の事故死はあり)であるから、偉そうにいいますが、なにげに日高で最も受胎率良好な牧場の1つであることは間違いない。この本には、妊娠出産に関することが分かりやすくかつ詳しく書いてあるもんだから、このテキストは私の技術者としてのバイブルみたいなもんですね。だから、やっぱり持っていきたい。

 2冊目は、このブログにも何度も登場している

鍛えて最強馬を作る ミホノブルボンはなぜ名馬になれたのか 戸山為夫

 この本は忘れた頃に何度も読み返している。これはザ・ホースみたいな具体的なテキストと違って、何というか、1人のホースマンとしての基本姿勢というか、そういう部分を学ぶ上ではかなりの影響を受けた本。マスコミの人が聞きかじりで書いたものとは異次元の世界。

 この戸山為夫という人の絶筆には、正真正銘の信念と気迫がこもっており、何年にもわたって未だにパワーを受け続けるのであるから、本当にこの偉大なホースマンの魂が1字1字に宿っているんじゃないかと錯覚してしまうほど。

 競走馬っていうのは、産まれた時からではなく、繁殖の体作りから勝負が始まっているわけで、産まれてからも厳しく鍛えられて、育成に入ってからも厳しく鍛えられて、要するにこの世に細胞としてさえ存在していない時から死ぬまで鍛え続けられて…つまりそういうことが書いてある本。

 スパルタはスパルタでも愛のあるスパルタというのか、魂と信念のこもったスパルタというのか、最近の競馬とは全然違うわけですよ。馬作りの原点というのか、これ以上は絶対古くならないであろう、後にも先にもこの1冊という、つまり日本の馬関係書籍において不滅の金字塔を打ち立てた古典的名著なわけでございます。

 本をそのままスキャンして、PDFファイルにして持っていくのが、これも何度もこのブログに登場している

ヒスロップの生産手法 ジョン・ヒスロップ JRA

ですね。ザ・ホースが技術者としてのテキスト、戸山為夫がホースマン精神のテキスト、これは牧場運営そのもののテキストなのであります。

 そうですねぇ…宮本輝の「優駿」も持っていこうかな。文庫本2冊。

 なんだかんだで、全部JRA関連(馬事文化賞受賞2冊、JRA発行2冊)だったのでございました。 
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偉大なスプリンター

2009-10-06 | 種馬の話
 日本の馬は本当に強いのか?一体、どう強いんだ?

 強さの定義が必要だと思うけど、外国産馬は日本に来てなかなか勝てないという。でも、逆に日本産馬が外国へ行ってもほとんど勝てないのと同じこと。そこでは強さの定義がかなり違っているんじゃないかと思う。

 思うに、競走馬の強さの絶対値でいったら、重賞級といえど日本の馬の平均レベルなんてまだまだ知れたものだとは思う(多分ですけど)。

 ご存知の通り、日本は超のつく高速馬場。東京や京都の馬場はしばらく見ていないけど、最近見た札幌なんてカチンコチンのパンパンの島袋鷹級みたいなもんで、本当に脚部への負担は相当なものがありそう。条件戦だって、2000メートル2分前後で走ってしまう。

 イギリスの2000メートル戦ではG1級でも2.06.3なんて時計がかかるんだけど、見るからに馬場が重たそうな上に、コースは凹凸でうにょうにょしているじゃないですか。イギリスダービーなんて中山大障害から障害を取り除いた…とまではいいませんが、スタートからすんごい坂があったりする。

 高速馬場で強い日本馬が、逆にそういうところへいったら勝てるのか?といったら、やっぱり全然勝負にならないとは思う。求められる強さの定義が違うから仕方ないのだけど、世界のどこへ行っても勝負できるようでなければ、やっぱり本当に強い馬とはいえないんじゃないか。

 で、グローバルスプリントシリーズに参戦しているシーニックブラスト。しつこくこの馬の話題でいくんですが、彼は第1戦だった1月のオーストラリア1000メートルを56秒で勝っている。第2戦はイギリスの1000メートル戦。ここは同じ距離を59.5秒で勝った。

 59.5秒!芝直線1000メートルで59秒台といえば、日本のダート1000メートル(しかも未勝利戦)でも出る時計。日本の1000メートルはカルストンライトオの53秒台が最高。イギリスの馬場が良馬場でもどれだけ時計のかかるものかがよく分かる。豪州と英国で勝った1000メートルのタイム差3秒といえば、かなりの差ですよね。

 このシーニックブラストというスプリント王、要するに条件が恐ろしく異なる両国でG1を制しているのだから、そこには条件を選ばない真の強さがあるといえるのだろう。で、さらには好時計の要求される日本の馬場でも勝負をかけてきたのだから、もし不利のない、鞍上も万全のレースをさせることができたら、もう、手の着けようがない真のスプリント王者になっていたのかも知れない。

 私個人、こういうのを「本当に強い馬」というのだと思っています。日本の高速馬場だけで勝ったからといって、ああそうですか、自分の土俵で強いだけじゃないですかと、いちファンとしては白けた目で見ているだけなんですよ。

 もちろん、生産に携わる現場の人間としては、そんな馬が簡単にできるわけねぇだろ!って、勝手なことをいうファンに呆れちゃいますけど…。でも、

 “競走馬の理想像”

というものは持っていたい。馬場や条件を気にしない、しかも世界のどこへでも飛んでいくタフな精神力を持った馬。そういう理想があって、生産ってのは行われるべきなのではないかと。

 なお、グローバルスプリント戦に関しては、イギリスのレースにも香港のセイクリッドキングダム、豪州のテイクオーバーターゲット(骨折で引退)、さらには南アフリカの一流どころが参戦していたみたい。日本からはもちろん参加なし。どうせ1000メートルに60秒近くかかる馬場でやっても、全く歯が立たないだろし、やっぱり名誉より目先の賞金ですもん。

 アグネスワールドは、現在このグローバルスプリントに組み込まれているジュライカップを見事制しましたが、もしこの馬が今現役だったら、馬場や条件を選ばない、本当に強い馬として、見事優勝をかっさらっていったのかも知れませんね。ブラックホークやキングヘイローという強力なライバルがいて、日本では残念ながら勝てない馬でしたけど。

 ちなみに、ジュライカップの勝ち時計は1.13.1。日本のスプリント戦なら未勝利さえ勝てないタイムかも知れません。道営の2歳戦だって重なら1.12.9とかでちゃうんですもん。昔から批判がありますけど、日本の馬場って、ダートにしたってスピードちょっと出過ぎなんですね。日本のブカブカダートの方がイギリスのデコボコターフよりタイムが出る。故障率を比較したことはありませんが、そのせいで日本は故障も多いはず。

 ん?待てよ、日本の芝馬がヨーロッパで勝てないってことは、両刀使いのスマートファルコン、2010年度はヨーロッパを転戦!なんてならないかな。交流荒らしよりはずっと夢がある。

 なお、アグネスワールドはアベイドロンシャン賞芝1000メートルを不良馬場1.01.4秒という凄い時計で勝っていますね。逆に、日本では北九州短距離Sで1.06.5という現在も破られていない日本レコードも叩き出していたりしますので、よほど馬場を選ばないスピードとパワーに秀でた馬だったのでありましょうか。

 残念ながら、好敵手だったブラックホーク共々、種馬としてはもう終わってしまいました。ダート馬とスプリンターには、日本では種牡馬的価値はないのです。

 でも、今の日本の馬では、ヨーロッパや豪州のスプリント戦には、まず勝てないでしょうね。スピードに特化しすぎて、非力すぎて。シーニックブラスの戦績を見ながら、アグネスワールドがどれだけ日本競馬史上に燦然と輝く不滅のスプリンターだったのかがよく分かりました。真の強さがあった。

 現在のスプリント戦線は、日高産馬が強いのはいいのですが、世界レベルで見るとお話にならないのでしょう。でも、新冠産のローレルゲレイロ、同厩舎だった浦河産のディープスカイの夢も叶えるべく、来年はぜひ欧州競馬へチャレンジして下さい!(一口の馬だから余計難しいかな…)
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プルプル

2009-10-05 | 競馬の話
 くぅ〜、期待のシーニックブラスト、パドックで馬を引く厩務員さんのおっぱいがプルプルしてたせいで、ご祝儀でついつい単勝厚めに買ってしまった。しかも高松宮記念3着&パドック好仕上がりのソルジャーズソングとのワイドもプラスで。

 ち、ちくしょう…。普通、半分ノーブラのチビTで公衆の面前に出てくるかよ。さすがはオリンピック選手がヌードカレンダーで遠征資金を集めるオーストラリア人じゃわい。で、でも、ちょっとおばさんぽかったかなぁ。

 しかし、テン乗りのジョッキーがうまくさばききれなかったという印象。主戦のアーノルドは前日に地元のG1があるから、来られなかったんだって。そう考えると、陣営の本気度も低かったというべきか。

 致命的にも4コーナー手前で躓いて勝負所でおいて行かれ、アクセルが戻って、前が壁になってて、直線ちょっと追って、あとは適当にながしちゃってたもん。ダントツのビリだからもうどうしようもない。直線での加速が群を抜いて悪かった。ということは、右回りがやっぱりダメだったのか。強い弱い以前の問題で、香港でもちょっと厳しいかも知れない。

 サイレントウィットネスやテイクオーバーターゲットのような圧倒的な逃げ馬ではないから、どうしても器用さが必要になってくるのでしょう。日本ではスピード任せとはいかなかったみたい。

 あんなゴチャゴチャしたところから、しかも不利をはねのけて追い込んできたら、もうオペラオー以来の奇跡ですよ。カノヤザクラはちゃんと外から追い込んできたのだし、末脚勝負だったら、スプリント世界一のこの馬もいいところを見せられたはず。序盤せっかくいい位置に付けられたのだから、早めに外に持っていくことはできなかったのか。

 で、なんで豊さんがG1の日に阪神いるんだ?と思えば、テン乗りならこの馬のヤネに豊さんは無理だったのか。

 残念。言い始めたらキリがない。よかったのはパドックのプルプルだけじゃないか、まったく。まぁ、プルプルに免じて許してあげよう。

 しかし、530キロ台にはとても見えない巨大さ。頭が他の馬より1.5倍くらいでかいし、体の線が同じサラブレッドとは思えないほど、とにかく太いですよね。往年のブラックホークみたいな感じ。豪州って、やっぱりあんなのばっかりいるの?逆に言えば、豪州のスプリント戦に出る日本馬ってのを見てみたい気もする。ゴリラーマンズに囲まれる細マッチョ1頭の図。

 ところで、日本でくすぶっているブラックホーク、なぜ日本にいるんだろう?体型的にも、血統的にもオセアニア向きなんじゃないか。シャトルでいって、そのままオーストラリアにいたらよかったのに。
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孫世代

2009-10-04 | その他
 競馬界の革命児といったらハッピーホース&集団調教における東の藤沢、厩舎経営システムにおける西の森なのですが、近年昔ほどの勢いがない森先生、直近の「優駿」において、

 「若い子たちはみんな私を叩き台にして出世していったんです」

なんて、活字からもどこか哀愁が漂ってくるようにインタビューに応えていましたね。あの人、見た目もかなり哀愁漂っているんですけどね。大阪の板前出身ということで、この森世代が、花屋だとか中学時代からの丁稚奉公だとか、いろんな背景を持った人がウジャウジャいた古き良き競馬時代の、最後の世代なのでありましょうか。技術家庭の先生になりかけた人だとか、競馬新聞記者という人もいましたね。

 最近のトレセンといえば、大学を出てたりして1人1人はそれなりに優秀かも知れないけど、どこか多様性に欠けつつあるのかもしれませんね。

 で、森先生といえば、フジヤマケンザンの香港カップはいうに及ばず、アグネスワールド、シーキングザパール、エアシャカールでの海外挑戦、これぞまさに革命的ともいうべき担当馬制の廃止等々、競馬界において計り知れない功績を残しているようですね。

 この先生はこちらも革命児と謳われた戸山為夫厩舎の調教助手出身で、大久保と戸山のどっちか?というくらいの超鬼スパルタ路線に異を唱え、いってみれば父を叩き台にしていったようなものですもんね。祖父、父、子、孫・・・と、みんな前世代を踏み台にして大きくなっていくようです。

 森先生、若い芽は未然にツブしておけばよかった・・・。

 森スタイルが常識となった昨今のようですが、子世代の角居厩舎で調教助手をしていたという村山明調教師は、森大先生の孫にあたるんでしょうか。JDDのテスタマッタ、サマー2000チャンピオンのホッコーパドゥシャを出し、今年25勝以上はするんじゃないかという、今をときめく矢作大先生以上の大先生になりそうな勢い。そのうち、黄金の靴を履いたり、テンガロンハット・改みたいな帽子を被り始めたりして、カブいちゃうのかは定かではありません。

 さて、騎手時代にはサンフォードシチーで武蔵野Sに勝ち、続くJCDではウイングアローの2着に突っ込んだこの村山先生が、モバイルサイトの「競馬総合チャンネル」において、7月にインタビューに応えていた。

 で、質問の中に

 調教師となった今、騎手時代と比べて馬を見るポイントは変わりましたか?

という項目があり、師は以下のように応えている。

 ジョッキーの時は「乗ってどうか」を意識していましたが、調教師になると、脚の動き、頸の使い方、肩の出などを意識するようになりました。特に気にかけているのは病気です。本当に注意深く見るようになりました。

とある。

 これは「馬を選ぶ上で」なのか、それとも「馬を使う上で」なのかは微妙なのだけど、多分、質問者の美人だけど素人同然らしきお姉さんは後者の意味で聞いており、病気の点に付いて応えていることからも、師もその点で回答しているのではないかと思われる。

 まぁ、でも、入厩馬を選ぶにしても、レースで使えるかどうかを考えるにしても、見るべき点は共通するものがあるような気がするんです。柔らかさがあるかだとか、伸びがあるかだとか、生産側の人間としても、「この子はいいね」と思う場合は、やっぱりそういうポイントですもん。

 その他、放牧地で見ていると、気性だとか走り始めたら止まらないだとか、バイタリティが何せ凄いだとか、体質的に丈夫で絶対バテないとか、セリでは絶対見えてこない点まで観察できるんですけどね(いい馬は当然セリになんて出てきません)。

 で、馬を選ぶ時は、これに血統が加わってくるわけですよね。血統がよくて、さらにホースマンならみんな目を付けるところが具合よかったら、当然みんな目を付ける。こういう馬がセリで高値を付けやすいんでしょう。

 でも、血統というフィルターにかかっちゃうと、どうしても悪い馬までよく見えてきたり(状態の悪い人気馬を買って失敗するパターンと似ていますね)、凄く素質を感じるいい馬なのに、血統でダメだと思ってチャンスを逃してしまうパターンって、購買者サイドにしたら結構あるとは思うんです。

 高い馬になかなか手が出づらくなってきている昨今、馬選びにおいては馬体というか、その動きからポテンシャルを判断する目がますます重要になっていることは間違いありません。いわゆる相馬眼というやつ。あの総帥だって、高馬に手を出し続けて、相馬眼を曇らせ、ちょっと失敗しちゃってるんです。外国産にしても、日本産にしても、基本となるポイントは同じような気がします。

 とまぁ、話しが森先生のことから相当逸脱してしまいましたが、ほぉ〜、調教師でもケチな牧童さんでも、見るところってのは似てるもんだと、ふと思ったわけです。

 まとまりに欠けてすみません。
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黄金旅程

2009-10-03 | 海外渡航
 さて、「競馬国際交流協会」という法人があることはご存知でありましょうか。ホームページには国際競馬ニュースがあったり、世界の競馬場に関する概略が載っているので、たまにお邪魔させてもらっております。

 その中で

 香港国際競走の要項について

という和文要項があるのですが、これが結構面白くて、国際レースに出走する場合のいろんな規定が記されている。数ある国際レースの中でも、これはその一例ということですね。ジャパンカップ以上に世界の強豪集う暮れの香港でありますが、当たり前ですがみんな同じ条件をクリアして(香港馬以外)、見事優勝をかっさらっているわけですね。

 最近の日本馬はなかなか勝てない香港国際競走でありますが、愛麗數碼、榮進寶蹄、賞月、そして黄金旅程などはこのような条件を突破してレースに勝ったんだ・・・ということを具体的に教えてくれます。

 内容をざっとかいつまんでみると、

1.登録について
 予備登録は無料で10月16日まで、登録料は総賞金の1%(香港カップなら242万円)、振込は12月9日まで

2.賞金と負担重量、ボーナスについて
香港カップ 1億3600万円(1着賞金)
香港マイル 1億900万円
香港ヴァース 9700万円
香港スプリント 8200万円

3.競走馬、馬主等の輸送、移動、宿泊について
 競走馬と人間(馬主、調教師、騎手、調教助手、厩務員)の輸送代は全て主催者負担。競走馬輸送は日本の野澤組。馬主等にはスポンサーのキャセイパシフィックからビジネスクラスの往復航空券が事前に送られる。スタッフは馬に帯同しないものに関してはエコノミークラス。宿泊先は馬主等がグランドハイアット、スタッフはロイヤルパークホテル。

4.ホースマンガイド
 保険、免許、無制裁証明書、保護ベスト・ヘルメット・乗馬ズボンの規定、飲料水・飼料・敷料について、馬装具について

5.獣医関係
 禁止薬物、ワクチン接種、出国前検査、装蹄等々に関する規定


 詳細については、HPをご覧になってみて下さい。

 海外遠征に関しては、レースの何ヶ月も前から目標に定めていなければならず、手続き等に関しても、当たり前ですが調教師1人の裁量ではかなり難易度が高いみたい。外国通である優秀な参謀がいないと、強い馬がいて海外でやっていこうと思ってもなかなか厳しいみたいですね。社台産馬の場合は、グループが総力を結集していくのでしょうか。経済的負担を1人で背負う馬主の意向次第なんでしょうけどね。

 この香港国際競走の要項を読んでいるだけでも、外国から強い馬を呼んでくるのも大変だけど、こっちから行くのも大変であるということが伝わってきます。それで勝つってんですから、海外G1で勝利した競走馬、そして関係者の偉大さが分かります。

 経済状況もこうなんで、日本の高額賞金には目もくれず、リスクにチャレンジすることが難しい昨今でありますが、海外遠征にはとてつもなく大きな夢があります。この点、社台さんと山本英俊さんには日本競馬をどんどん引っ張っていってもらいたいです。

 日本に「もはや敵なし」となったら、今度は欧米のすんごい馬みたいに世界を転戦してほしい(なんて簡単に言いますけど・・・)。秋華賞で牝馬三冠なんて、今更価値あるんですかね。
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ゴリマッチョVS細マッチョ

2009-10-01 | 競馬の話


 スプリンターズステークスというレースは、一応国際レースなんですよね。国際レースってたくさんあるんですが、相変わらず国際色ほとんどなし。でも、外国勢が出てきた場合は、豪州のテイクオーバーターゲットしかり、香港史上最強のおねえマンことサイレントウィットネスしかり、「これが世界だ!」とでもいわんばかりの異次元の競馬を見せてくれるレースでもあります。

 今年もいますね、超強力なやつがただ1頭。日本には決していない、F1の如く世界を転戦して、いつでも、どこでも走ってしまうようなタフガイが。

 一昔前、短いところは外国勢が強いなんていうイメージを持っていたのですが、ここ最近は強力な○外がいなくなってしまいました。去年はアポロドルチェとシンボリグランだけでしたか。一昨年はゼロ、□外勢が強力だった3年前はキーンランドスワンとステキシンスケクン。○外はもはや虫の息、絶滅の危機に瀕しているのであります。

 キングヘイローがまだ現役だった頃、スプリント戦線は強力な○外が「ジャップはすっこんでな」とでも言いたいが如く、頑張ってましたよね。

 タイキシャトルやシーキングザパールは言うまでもなく、ヌレエフ産駒のブラックホーク、ダンジグ産駒のアグネスワールド、シーキングザゴールド産駒のマイネルラブ、グリーンデザート産駒のシンコウフォレスト、その他にもザカリヤ、セレクトグリーン、トキオパーフェクト・・・NHKマイルカップが、未だ「○外ダービー」なんて呼ばれていた頃の話しですね。

 この頃はメイセイオペラと被る頃ですから、地方勢もダート戦線で中央勢相手に頑張っていましたよね。地方馬が中央馬を蹴散らす夢も、○外が日本産馬をケチョンケチョンに叩きのめす悔しさを伴う妙な爽快感も、あったわけです。中央勢VS○外VS地方勢という熾烈な抗争が展開されておりました。この頃はテイエムオペラオーが社台産馬のプライドを粉々に打ち砕き、日高VS社台という構図もちゃんと残っていた。

 まさに血で血を洗う仁義なき戦い、興行主催者としてはまたとない展開だったのではないかと思われます。この構図を、均衡させる形でもっとヒートアップするような演出をしてこなかったのがまずかった。

 つまり、この10年で○外と○地が絶滅の危機にあり、□外と□地なんてほぼ絶滅し、中央競馬では、社台系と特定の社台系の血統だけが争っているだけという、まったくもって本当につまらない興行になってしまっているわけです。

 競馬だけではなく、社会全般にわたって、多様性がないと硬直化してくるのは必然。東大卒の政治家もいれば中学中退のラーメン屋もいて、その人たちがいろんなところで頑張っているから社会に変化があって面白くなる。でも、今の競馬ってのはみんな大卒のサラリーマンばっかりの社会みたいになっちゃっているような気がする。



 さて、豪州最強スプリンターのシーニックブラスト。開示された情報以外のことはわかりませんが、面白いのはこの馬の父系がサドラーズウェルズということですよね。父のシーニックはメルボルンカップの勝ち馬も出しているので、日本でいえばチーフベアハートみたいな種牡馬なのでしょうか。繁殖次第でどんな距離適性の馬も出しそうですよね。

 豪州産馬は筋肉モリモリゴリマッチョ、協会種馬でいえばストラヴィンスキーやスクワートルスクワートといったアメリカンコミックでよく見るポパイみたいな体型をしたやつが多いのでしょう。この馬は豪州最強と謳われるだけあって、どんな肉体をしているのでありましょうか。追い込み馬みたいだから、ケツも凄いのかな。

 アグネスワールドもゴリマッチョな体型だったと思うし、ブラックホークなんて黒い筋肉の岩、黒い弾丸ともいうべきスプリンターでしたね。とにかく、でかかった。強力なダート馬とはまた違ったでかさでした。胸前の筋肉の重さで、そのまま惰性で1200を走り切っちゃうんじゃないかという凄さ。

 生で見たことありませんが、サイレントウィットネスも真性ゴリマッチョのすんごい肉体をしていましたね。本当はタマ1個くらいのこってんじゃないかという凄さでした。これぞ究極のスプリンター。細マッチョは偽者スプリンターであると、あの肉体が強烈に訴えかけていたような気がします。

 昨日の東京記念を見ても思いましたが、南関Aクラスのダート馬もすんごい胸前のゴリラ体型ですが、ダート馬と芝スプリント馬の体型って、またちょっと違うゴリマッチョなんですよね。

 スマートな日本産馬ばっかりのスプリンターズSって、なんか迫力に欠けますね。人間でいえば、400メートルの選手が100メートルの決勝にズラリとならんでいたら、ちょっと悲しくないですか?やっぱり、ボルトみたいなゴリマッチョがズラリとならんでいなければ、本物のスプリントレースとは呼べません。

結論:
 持久力に欠ける本物のスピードというのは、ゴリマッチョな筋肉から繰り出されるのです!

 シーニックブラストには、本当はもうちょっと長い距離走りたいんだけど・・・みたいな細マッチョスプリンターの多そうな日本産馬のプライドを、メタメタのギタギタに打ち砕いてもらいたいと思っております。

 これが世界のゴリマッチョだ!とでもいわんばかりに。

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検疫と国際化

2009-10-01 | 競馬の話
 日本競馬が真の国際化を果たすために、ぜひともクリアしなければならない課題の1つが、輸出入検疫であるといわれている。と偉ぶってみても、実は、詳しいことはよく分からない。

 検疫制度は各国によって大きく異なるみたいで、例えば外来種に大変敏感な国だったり、畜産が盛んな国というのは、かなり厳しい制限を設けているみたい。確か、オーストラリアは出国14日間、帰国21日間も設けているのでしたか。オーストラリアは馬産業が国家経済に与える影響が日本とは比較できないほど大きく、去年は馬インフルエンザで大変な目にあいましたからね。

 日本は前後5日ずつくらいでしたっけ?輸出が美浦でだとか、輸入は千葉の競馬学校でだとか。その間は調整がなかなかできない環境ということで、諸外国のみならず、日本国内においてもあまり評判がよくないとはよくいわれていますよね。最近はどうなのでしょうか。それでも、競馬場で検疫できるのと、千葉でやるのとでは相当違うのでしょうね。昔は1ヶ月動けないと聞いたことがあったような・・・。 

 一方、ブリーダーズカップに日本をのぞいた世界中から一流の競走馬が集まるのは、アメリカの検疫制度が競走馬にとって好ましいという点が大きいらしい。日本みたいに特定の場所で行うというのではなく、開催される競馬場で検疫が行われ、検疫期間中も調教に支障がないのだとか。

 また驚いたのは、宝塚で後の古馬三冠に輝くゼンノロブロイをガキ扱いし、当時世界最強クラス?だったタップダンスシチーの凱旋門賞挑戦。10月3日にレースがあるというのに、飛行機トラブルによって10月1日に日本を出発するという超ハードスケジュール。結果は惨憺たるものでしたが、ということは、フランスという国は国内における検疫期間なしでも出走できるということですよね。(未だに思いますが、タップは小回りコースのブリーダーズカップターフにチャレンジしたら勝ってたかも知れませんね)

 これはいいんだか悪いんだかよく分かりません。ドバイはどうなんでしょうか。ブリーダーズカップや凱旋門賞以上に、ワールドカップの名に恥じぬ国際色豊かなレースですよね。南アフリカから香港、ニュージーランドまで、世界中からウイルスが大集結する可能性があるわけです。

 動物の移動があれば、やばいウイルスや体に付着している何か謎の物体も同時に移動するため、検疫は厳しいことに越したことはないと思います。動物だけではなく、担当厩務員の衣服や長靴にだって付着している。タップが向こうの馬と接触してウイルスを感染させたり、逆にタップがどっかのハメハズシ馬主みたいに変な病気を持ち帰ってきていたかも知れない。

 なんか、アメリカ探検隊の一行がヨーロッパに梅毒を瞬く間に広げた・・・みたいな感じですが、まさにそれと同じことだと思います。

 人間の場合は薄さ0.02mmのアレを装着する、マスクを着ける、うがい手洗いを欠かさない、変な遊びは慎む等の自衛手段がありますが、動物はそうもまいりません。競馬開催が中止になる馬インフルエンザでもそうだし、流産ボロボロ恐怖の馬鼻肺炎ウイルスでもそうだし(検疫をクリアしたといっても、輸入繁殖はもの凄く怖いんです)、外来ウイルスの蔓延は、競馬のみならず畜産全体にとってまさに生死を左右するほどの問題に発展します。

 といっても、厳しすぎると国際交流がなかなか難しいし、甘すぎると変な病気が怖いし、その微妙なところがなかなか難しいのでしょうね。日本は島国なので、外来種には特に弱そうな印象ですもん。


 ちなみに、スプリンターズSに参戦するシーニックブラスト、検疫の負担を軽くするために遠征先のイギリスから直接日本にやってきたのだそうな。豪州にいったん帰国した場合、21日の帰国検疫があって、さらに日本へ出国する時に14日の出国検疫、日本に入ってからも何日かの検疫ですから、馬のみならず、担当の厩務員だって大変でしょうね。カネもかかる。

 競走馬の国際間移動においては、検疫は世界的な課題なんでしょうね。いったんやばい病気が広がれば、競走馬間のみならず、その国の生産牧場にまで被害が及んできますから。
 

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ロドリゴの微笑

2009-09-30 | 種馬の話
 先月から各種場所の種付け頭数が発表されていますよね。詳しくは馬市ドットコムさんのHPに載っていますので、そちらをご覧下さい。

 日高の種馬所といえば、かなり前から亀頭がシワシワになってしまったような連中ばっかりなのですが、今年は去年の3分の2とか、半分以下に落ち込んだ種馬もゴロゴロいるみたい。高い種馬がダメで、30万円くらいの手頃なやつに人気が集まっているかと思いきや、決してそうでもないみたい。新種牡馬も多いとはいえ、全体的に減っちゃっている。

 種付けしていない繁殖がどうも思った以上に多いみたいで、来年の生産頭数、記録的な落ち込みを記録するんではないかと思われるような数字だった。

 2008年度には繁殖が全部で1万頭くらいいて、生産頭数が7000頭くらい。まだ正確な数字は不明だけど、2010年度の生産頭数、6500を切るかも知れませんね。牝だからといって、生誕と同時にポアされちゃうようなことも増えちゃうんじゃないだろうか。

 社台SSの種馬だって、高額種牡馬はネオ以外はかなり厳しい状態。中堅どころではゴールドリュールくらいですよね。4月の最盛期にも関わらず、キンカメやスペシャルウィーク、あるいはクリスエスなんかにも休息があったんだから、例年ではちょっと信じられないでしょう。

 しつこいようですが、マンカフェは90%くらい日高産馬によるリーディング爆走にして、極めつけはG1奪取とほぼ同時に、疑惑のニオイ充満の股関節故障で無念のリタイア。バカヤロ〜、随分と種付け中止のタイミングいいじゃねぇかよ〜というブーイングで日高中が亀田大毅VS内藤大助みたいになったことは言うまでもない。

 面白いのがロージズインメイの種付け頭数。前年150頭くらいから、今年一気に60頭台にまで落ち込んじゃった。殿ご乱心ともいうべき強気の400万円維持で、結局、自家生産馬しかいなくなっちゃった。2歳戦で15勝くらいしないと、経済状況を考えたら150万円くらいになっちゃうかな。

 世界に通用するような一流どころをズラリと揃えているにも関わらず、協会種牡馬は軒並み苦戦。産駒デビュー前から白老左遷のバゴちゃんなんか21頭でもう崖っぷち。ストラヴィンスキーは南半球への移籍決定とも言うべき惨憺たる落ち込み。タップと共にリボー系期待のデビットジュニアは4頭と、もはやアテ馬同然。チーベアも1200のビービーから3200のマイネルまでという脅威の万能適性を発揮したにも関わらず、種付け頭数が減っちゃうという始末。

 ただ1頭、九州へ行ったロドリゴだけが40頭台とチンポコもビックリの腹上死寸前?まで頑張ったみたい。孝行息子のおかげで、九州へ行ったらモテモテのロドリゴじいさん。

 九州の女は全員知ってるぜ〜

みたいな武勇伝を高らかに語っていることでしょう。日高で干からびている同僚を尻目に、九州で帝国を築き上げてしまいました。実際、九州の繁殖全頭とやっていたら、もう笑い話です。

 面白いのが、念願かなって1頭ダートで強いのが出たワイルドラッシュ。今年80万円くらいの種付け料で70頭くらいの繁殖を集めたみたいだけど、これは無事に乗っかってFinishまでたどり着いた数字なのか、それとも一応、申し訳程度にケツだけ拝んで女に恥をかかかせたケースはのぞいた数字なのかは、定かではありません。


 ところで、日高の人気種牡馬は多くてもだいたい120〜150頭くらいまで。2月15日から7月10日くらいまでで150頭ということは、最盛期の3月中旬から5月中旬の2ヶ月間は、1日2,3回のペース。1日3回が連日続くだけでも大変で、種馬の目も血走ってくるか、なかなか乗っからなくなってくるのです。頭パーで性欲の塊みたいなアドマイヤジャパンでさえそうです。合計190頭くらいのアドマイヤムーンだって、1日4発が続いた時は、河の向こうに一面の花畑が見えていたに違いない。

 ちなみに、来年、再来年のムーン産駒に手を出すなら、3月中旬から5月上旬にかけて種付けしていると思わしき産駒は、カスみたいな精子からできたひ弱なやつばっかりでしょうから、2月中旬までに生まれたやつか、4月以降に産まれたやつの方が走る確率は高いに違いありません。去年は130頭未満だったと思うので、どの時期のやつもいいんじゃないでしょうか。

 じゃあ、250頭も付けてる種牡馬って、一体どんな状態なんだ?って思うでしょう。

 150頭に種付けするってことは、平均的な受胎率で考えても、おそらくその1.5倍から2倍近くは種付けするってこと。やり過ぎると精子が薄くてパサパサになって当然受胎率は落ちるし、いつ予約が取れるか分からない状態で種付け予約を行うから、繁殖の状態もベストではない。だから、250頭に付けるということは、下手したら550回くらいは交配してるんじゃないかという推測が成り立つ。

 まともな人間なら、性欲がどんなに獣並みでも、鬱状態になってインポになりそうですね。注射打ったり、点滴打ったりは当然として、なんか人間で言うところのヨヒンビンだとかハブ太郎、あるいはマカ王や塗って効きますオットピンSの類を使用しているに違いないのであります。バイアグラに類するものや変なホルモン剤まで使っているかは不明です。


 とまあ、話しがだいぶそれてしまいましたが、生産頭数はバブル崩壊後みたいなグラフになりそうな予感。ただ、儲からない商売を続けていても仕方ないし、生産原価を半分くらい割っているようなセリ馬を売っていても仕方ないので、どうでしょうか、近いうちに5500頭くらいまで落ち込むかも知れませんね。これはさすがに、私の予想を上回るハイペースです。

 仮に、競走に使う馬が足りないのに、要するに供給不足の状態なのに、市場価格が暴落したままだったら、一体どうなるんだろう?普通は需要の方が多いと、価格は上昇するものなのですが。しかし、競走馬市場ってのは、経済の常識が通用しないのであります。
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国際間移動

2009-09-29 | 海外渡航
 外国で何か大きな買い物をすると、さすがにカネは帰国後の振込になるとは思うんです。競走馬がクレジットカードで買えるとは思えないし、そもそも、クレジットカードはレートがあまりよくないらしいので、額次第では下手したら大損してしまう。

 で、カネを海外の銀行口座に振り込む場合、これは外貨建て海外送金という形なのですが、この外貨建て電信扱いのレート(TTSレート)というやつが銀行によっていくらか異なるため、選ぶ銀行を間違ったら何十万円単位で損得が出てくるみたい。

 例えば、自分で生産しておいて言うのもなんですが、競走馬や繁殖牝馬なんてウン百万円、ウン千万円なんていう、素人には目ン玉が飛び出るではすまない金額になるじゃないですか。となると、銀行間のレートが1円2円違ってくるだけで、金額によっては送金時に何十万円単位で違ってくるということか。同じ○○ドルのものが、銀行選びに失敗すると、商品価値は変わらないのに余計高いものになってしまう。ひゃ〜。みんな、そのへんうまくやっているのかな。

 金持ちほどケチだというし、もしかしたらネットでTTSレート比較しながら、どの銀行から振り込んだらいいのか、みんな考えているのだろうか。北洋銀行と三井住友銀行を比べても、通貨によっては1,2円くらい違っていた。アメリカドル、ユーロ、イギリスポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドル・・・と、主要馬産国は全部英語圏だけど、通貨もその価値も様々ですね。

 ちなみに、私のような小市民の海外に持ち出すカネといってもたかだか知れた額。それでもやっぱり、出来るだけ有利な形で円を外貨に換えたいと思うわけですよ。

 海外送金はどこの金融機関で、どういう手段で行おうか・・・といろいろ調べてみた。日本の銀行から海外の銀行へ外貨建て送金する場合、その日のTTSレート(海外送金用の為替レート)に、手数料が2500円、電信料が1500円、それに、受け取り側の海外の銀行にもいくらかの手数料がかかる(銀行によって異なる)。それを合計すると、だいたい6000円くらいはかかるみたい。

 これが円送金になると、何だかよく分からないが、リフティングチャージなる手数料がさらに別途かかる。送金金額×0.05%(最低1500円)がプラスされるので、市中銀行から海外へカネを日本円で送金する場合、手数料だけで7500円とか8000円もかかっちゃう。

 日本円は日本で外貨に交換するより、現地いってキャッシュで交換する分、現地で交換する方がいくらかレートが有利だけど、送金額が少ないと、レートが有利でもリフティングチャージ分でトントン。なので、一回にたくさん送る時は円送金の方が有利と言うことですね。

 ただ、市中銀行に対抗すべきガリバーが、ゆうちょ銀行。ゆうちょ銀行は円建て送金というのはできないし、外貨建て海外送金のみで、かつ国内における外貨の交換も限られた通貨しかできないみたい。業務の範囲が、市中銀行に比べて限られていると言うことでしょうね。そのかわり、インターネットで公表してませんが、その適用レートは市中銀行より有利な場合があり、手数料の類の総額は、手数料2500円及び海外銀行の受取手数料1000円前後だけときたもんだ。

 素晴らしい。さすがはゆうちょ銀行。外貨持ち出し手段は、ゆうちょ銀行を通じた海外送金にしておこう。海外へ行ったら、早速口座を作って、家族にゆうちょ銀行を通じて送金してもらえばいいということですね。


 例えば、仮に外国と日本の両国にまたがって商売を始める場合、為替レートもそうですけど、どうやって資金移動を行おうかってのは、また考えなければならない問題なのでしょうね。日々新聞紙上を賑わせている通貨の問題は、企業のみの話しではなく、こうなると個人においても大きく関わってきますね。外貨を日本円に戻す場合のレートや手段も色々あるから、う〜む、当たり前ですけど、ウマのことだけ勉強しててもダメだってことですね。

 香港系の銀行だとか、イギリス系の銀行だとか、ここらへん、ここ最近の日本においては多国籍な金融機関がいろんな国際間サービスを展開しているので、渡航を機にいろいろ勉強になって面白いわけでございます。


 技術者だけなら専門技術とその関連知識だけでいいけど、ウマ関係者としては最低限の知識として持っておかなければならないことは、まだまだたくさんある。

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言葉の壁を乗り越えろ

2009-09-28 | 海外渡航
 渡航するに当たって必携なのが辞書。もちろん、英和・和英どっちもですね。

 馬とは全然関係のない話ですが、いずれ海外渡航を考えているお兄さん方にとって何らかの参考になればと思います。

 中学高校時代は収録語数10万語未満の字のでかい辞典を使っておりましたが、進級するにしたがって、収録語数20万語だとかのでかい辞書になっていきました。よくこんなの使ってたな〜と思うような医学事典みたいなの。

 ただ、辞書を引くのは時間がかかるし、字が細かいので目に悪い。というわけで、ここ10年で電子辞書なるものが辞書業界においては圧倒的なシェアを占めるようになりましたが、私もあまりの手軽かさから電子辞書に頼りきりになってしまった。

 電子辞書にも色々あるのですが、語学学習者用にはリーダースプラスや英和大辞典といった収録語数が25万語くらいのやつが望ましいですよね。どんなやつにも一応入っている8万語程度のやつでは、ちょっとお話にならない。単語の意味しか出てこないやつもダメで、きちんと学習するなら、単語は例文(シーン)の中で覚えないとダメみたい。だから、渡航を考えるなら、ちょっと高価だけど用例まできちんと載ってる電子辞書の方がいい。

 電子辞書はカシオとシャープがメジャーであります。以前はシャープ製を使っておりましたが、シャープ製は何かにつけて液晶が貧弱。ちょっと圧力がかかったり、落としただけでも液晶が簡単に割れてしまう。なのに、修理代に1万円もとるという。壊したら買い換えろという意味で、結局2台もダメにしたので、シャープ製はもうやめました。現在はタフテック加工なる強化型電子辞書のカシオのやつをこき使っております。

 ただ、電子辞書は外の移動を伴う携帯用には不向きですよね。タフテックといってもやっぱり衝撃には弱いし、外国で壊れると、もうただのゴミ。というわけで、紙媒体の辞書も絶対必要なのですが、でかいやつはそれだけで1キロくらいあって、飛行機に積める27キロのうちの1キロ以上を占めるようでは痛い。したがって、携帯用の、しかも英和と和英が一緒になったタイプのものを重宝しそうですよね。

 メジャーなところでは、総収録語数18.5万語のポケットプログレッシブになるのでしょうか。本当にポケットに入るくらいのチビサイズのくせに、なんと3000円もします。英和・和英別々で判断すると、携帯用ではデイリーコンサイス中型版が見やすくて、めくりやすいサイズでちょうどいいのでありましょうか。

 学習時は電子辞書、普段の日常会話シーンでは携帯用紙辞書と使い分けた方がいいみたい。

 私の場合、日常会話レベルではなく、きちんとビジネスレベルで使える英語を覚えてきたいと思っています。

 「おう兄ちゃん、この馬、おだいなんぼや?あ?それ、おだいとリザーブのどっちや?何?1500万?それ、ホンマにおだいか?リザーブちゃうんか?お前、この野郎、社長呼んでこい」

 「おいこら社長、1500は高いやろ、ナンやお前、この馬、だいたい脚まがっとるやないけ。あ?俺には真っ直ぐに見えるって?あのなぁ、ワシがまがっとるゆうたらまがっとるんや!値引きや。1300にしとけよ。カネはな、一括はアカン。2回に分けろ。消費税?オンドレ、なめとんのか。でな、競走馬保険はあんたんとこで持て。引き渡しは10月末、ええなぁ」

みたいな“日本ではよくある風景”みたいなことを、きちんと英語で交渉できるようになりたいんですよ(笑)。いやいや、こういうことが海外であるかどうかは分かりませんが、つまりは、売るにしても、買うにしても、血統背景や馬体をいうにしても、日常会話レベルでは全然話にならない。

 もしかしたら、現場の技術者のままなら日常会話程度でいいでしょう。でも、競走馬の生産・育成・流通を担う、もっと上のレベルの業務に携わりたいと思ったら、ホント、海外で活躍する日本企業のサラリーマン並みに語学について努力しなければならない。

 だから、海外渡航を考える場合は、よほど現在の語学力に自信がない限り、語学学校にしばらく通った方がいいと思います。日本にいる外国人を見ていると思いますが、ウマに関係なく、ずっとカタコトのやつと、正しい言葉遣いの出来る外国人では、ついているポジションが全然違います。だから、外国行こうと思ったら、回り道だと思っても、結局は最初に言葉を固めることが一番近道です。最初は脚をためられるだけためて、大事なところでバーンと脚を使えればいいんです。

 ところで、馬関係の英語は当然専門用語に分類されるでしょうから、辞書に載ってないようなやつも結構あると思うんです。これに関しては、その昔、日本ウマ科学会に入会した時にもらった「ウマ用語集」というやつがある。獣医学関連のみならず、競馬関連全般にわたる用語が英和・和英両方載っているから、これはかなり重宝することになるんじゃないかと思う。今まで全然使ってませんでした。

 巻末の方に馬体や馬具の英単語も図入りで載っているから、これはこれからウマ関係で渡航を考えている人にはお勧めのアイテムですね。
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国際免許証

2009-09-27 | 海外渡航
 海外へ行くに当たってぜひとも必要なのが国際免許証。

 ずっと都市部にいるような人はいいのだけど、私のようにド田舎?と思われるようなところだとか、公共交通機関が発達していないところに行く人間は、日高同様、車がなければ大変な不便を強いられてしまう。っていうか、日高と同じで馬ならいくらでもいるんだけど、公道を馬で移動するわけにもいかないから、生活そのものが成り立たない。馬関係者なら、みんな似たようなものだと思う。

 申請は簡単で、最寄りの警察署に免許証と5×4センチの写真、印鑑、印紙代2600円を持っていけば発行してくれる。北海道だと札幌市手稲の免許センターに行けば即日発行だけど、地方だと約1ヶ月も待たされる。

 本店まで行くと即日なのに、支店だとなんで1ヶ月もかかるんだ?というのが行政の不思議なところで、こういう最低のサービス体制にいちいち文句を垂れても仕方ない。

 ちなみに、国際免許証の有効期限は1年間。1年以内に帰国する人は再度更新すれば問題ないのだけど、ずっと向こうにいる人は、現地の運転免許証を取得しなければならないということか。やることは国際免許証でも国内免許証でも一緒じゃん!と思うんだけど、そういう仕組みなんだから諦めるしかない。

 で、気をつけなければならないのが、国際免許証の有効期限が1年間でも、国内免許証の有効期限が1年以内で切れるようなら、国際免許証もそこで有効期限が切れちゃうということ。

 私の場合、タイミング悪く来年の6月で期限が来てしまう。過去5年以内に軽微な違反を何度かしているので、有効期限が3年。それが来年来ちゃうというわけ。う〜む、困ったぞ・・・と思っていたら、「免許証は期間前更新というのが出来る」と巡査殿がのたまう。

 でも、今回半年以上早く更新するということは、次回更新が3年ではなく、2年と数ヶ月で更新しなくちゃならないということ。まぁ、仕方ない。お上がそういう制度にしているんだから、諦めるしかない。ホント、当局の前では、民は口をぽっかり開けた冷凍マグロでいるしかない。

 日高だと月に2回くらいしか講習がないし、免許が発行されるまでにこちらも1ヶ月も待たされるから、

 「国際免許証もそうですけど、手稲まで直接行った方がいいですよ」

とのこと。バカヤロ〜、北海道なんて九州よりまだ広いってのに、なんで日高からわざわざ札幌まで行かなくちゃならないんだ!じゃあ、稚内や知床、もしくは根室の人が私と同じような条件で免許を更新したいと思ったら、わざわざ泊まりがけで手稲まで行かなくちゃなんないのか。九州なら鹿児島から福岡まで行くのよりまだ遠いじゃん。

 まったく、ふざけてますよ。業務の効率化を促すべきブロードバンド時代だというのに、余計な費用と時間ばかり食う。手稲で即日発行できるなら、最寄りの警察から速達、あるいはオンラインでやりとりする仕組みを作れば、どんなに遅くとも1週間以内でできるじゃないですか。

 ちなみに、外国行っている間に日本の免許の有効期限を切れたままにしていると、日本に来たら当然車に乗れない。放置しておいた場合、また結構な費用と時間を使って、免許を取得し直さなければならないみたい。期限切れからの期間によっては、講習の受け直しで済んだり、あるいは仮免からスタートだったり、いろいろ条件が違ってくるようだ。

 自動車免許証の制度は、万国共通にして欲しいです。っていうか、1年以上日本に帰ってこられない人で、しかも数カ国に足を運ばなければならない人なんて、一体どうするんだろう。免許の更新だけのために、毎年帰国しろよということなのか。
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野に咲く薔薇のように

2009-09-23 | 道営
 このレベルの馬を、2歳のこの時期からこんなにコキつこてええんかいな・・・と心配してしまうのがオノユウ。バブルガムフェロー産駒の大きなねぇちゃんですね。前走のブリーダーズゴールドジュニアカップの激戦から中1週で、今度は2歳牝馬重賞フローラルカップ(フレンチデピュティ賞)に出てきた。

 牝馬限定での道営2歳最強馬の参戦、距離も1700メートルとあって出走メンバーもかなり手薄。中央で例えるなら500万下の条件レースに1頭重賞馬が混じっているようなもので、オノユウ陣営にもほとんど馬を作ってきた様子ゼロ。

 パドックでのデキは栄冠賞時と比べたら雲泥の差で、これもただの叩き台でしかなかった前々走のスタチューオブリバティ賞よりまだデキが悪かったような気がする。オノユウにとっては負けられない1戦というか、こんな9頭足らずのしょぼいメンバー構成でフレンチデピュティの種付け権が得られるのだから、おいしい1戦いってもよかった。

 レースはオノユウが序盤から先手を奪い、直線早めに抜け出すと後続をちぎって圧勝。社台の認定厩舎のちっこい馬も寄せ付けませんでした。

 パドックでのデキが6,7分程度でも、メンバー構成次第では重賞でさえ圧勝できる競馬があるということを、身をもって実践してくれたオノユウ。社台の馬は凄くいい仕上がりだったんですけどね。能力差の前には、体調の良し悪しなんて関係ないみたい。

 う〜ん、なんぼ強くても、2歳中に10戦はキツそうだけど。エーデルワイス賞、北海道2歳優駿、そして暮れの大一番・東京2歳優駿牝馬。残りは大レースばっかりになりますしね。

 オノユウといい、クラフィンライデンといい、人間で言えば20歳にも満たない花のようなお姉様たちが、道営では牡馬を差し置いて1番人気になって、ブイブイいわせているのでありました。


 おい、男、オノユウとクラフィンのケツばっかり追いかけてないで(まさに文字通り)、もうちょっと頑張れよ。
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近未来

2009-09-21 | 競馬の話
 新聞なんて所詮は政府や経済界が大衆に向けて発信する媒体の1つに過ぎないんですが、今の時代、そして次の時代において、国家の方針として何を経済の柱としているのだろうということは、記事や広告を見れば、だいたい判明しますよね。

 インターネットが爆発的に普及し始めた頃は、ITというのがキーワードでした。電子商取引だとかそういった類の言葉が盛んに新聞の見出しを飾り、それはそのまま広告みたいな形で、社会全体を誘導していったような感じでしたよね。政府の思惑通りというか、実際IT社会はこの15年くらいですっかり浸透し尽くし、既に飽和状態になってしまった。

 ITに遅れて新聞紙上を賑わせていたのが、投資に関すること。竹中平蔵さんが政府と深く関わり初めてからだと思いますが、自己責任のアメリカ型社会を目指し、カネを銀行に滞留させまいとして盛んに個人のカネを投資に仕向けようとしていましたね。ただ、投資なんて平均的日本人にとっては馬券同様小遣い程度でやるものであって、失敗したら取り返しがつかない。もはやこういう時代ですから、普通の人には投資するお金もあまりないのでしょうけどね。

 そして、昨今は環境。ウザいくらいエコだらけ。地球温暖化や環境破壊なんて昔からあったことなのに、成熟社会になったら何を中心としてカネを世の中に回そうか?ということになったら、なぜか今度は環境がピックアップされることとなった。ここまで酷くなる前に、もっとはよからやっときなはれと思うんですけどね。

 でも、ITバブルはあっても、環境バブルってのはさすがになさそうですよね。というわけで、もう、経済のV字回復なんてあり得ない。

 環境と同時に、食料安全保障の観点からも最近は農業もクローズアップされるようになってきた。農家の戸別保障をどうするかだとか、民主党もマニュフェストに掲げておりましたよね。農業に関しては多かれ少なかれ関心を持っている人は多いでしょうから、古くて新しい分野として、もしかしたら成長が期待できるかも知れない。先進各国は農業をもの凄く保護しているのですから、日本だって財源さえなんとかなるなら、保護の対象にする建て前は十分にあります。

 ところが、「競馬」という産業は環境とか食料安全保障とか、あるいは教育や福祉とか、そういったありとあらゆる産業から乖離した部分がありますよね。生産牧場から競馬場まで、その小さな裾野全部含めても、国家としては守るべき建て前が全然なかったりします。他の産業ともほとんど関連性がありませんね。

 完全に孤立した娯楽というのか、もしかして競馬そのものがこの国からぽっかりなくなってしまったとしても、マクロ的な観点から見たら困る人なんて本当に少数であることは間違いない。馬主の景気とファンの小遣いに左右されるという基本的にはもの凄く脆弱な産業であるのに、全然保護の対象にはなり得ませんよね。

 競走馬買ったら最大70万円減税されるとか、競走馬買ったら住宅ローン減税みたいに所得から控除できるとか、そういうのはありえませんよね。一口馬主減税とか、馬券買った分だけ税金減ったら凄いですけどね。競走馬購入に国から補助金が出たらもっと凄い。

 で、馬券の売り上げは国民所得の減少と比例する形で、今後もどんどん減っていくことは間違いない。競馬人気が仮に回復してきたとしても、1人あたりの馬券購入額はもっと減っていくはずなんです。これはもう仕方ない。産業としては保護の対象にもなり得ないので、市場規模(馬券売り上げ)の縮小と同時に、もともと小さな産業規模も、もっと縮小していく他はない。もう、それを前提としてやっていかなくちゃならん。

 美浦の厩舎もスカスカなところが増えているそうな。未だに厩務員組合が強いようでは、その市場規模の縮小にも柔軟に対応できないでしょうに。何せ預託料が安くなって、馬持つ人が増えて、馬主に馬を走らせる喜びを提供し続けないことには、縮小の痛手が倍返しなってやってくるんじゃないだろうか。

 生産牧場においても、原価に300〜400万円もかかっている馬を、原価割れで販売し続けるのも、とっくの昔に限界。未だに牧場数が500以上もあること自体、北海道の七不思議(←適当な表現です)なくらいなんだもん。


 国は競馬産業をどういう方向に持っていくのかを明確には打ち出さないし、JRAが現状の問題点に対する解決策を具体的に挙げ、強力な実行力を持って断行していくなんてこともしてない。胆振日高選出のハトちゃん、小指の爪先程度も考えてないでしょ?一番おろかなのは、幾多の地方競馬みたいに「赤字なら潰す」というやり方。10年後、競馬界はどうなっているんでしょうかね。

 2000年から2009年にかけての10年間と、2010年から2019年にかけての10年間というのは、恐ろしく違った10年になるであろうというのは、多くの人が予感しているに違いない。

 何が言いたいのかと言えば、競馬は産業基盤が脆弱で、国の経済に与える影響も小さいから、対策としては後回しになって当たり前。自助努力で、市場規模の縮小に耐えうる仕組みを整えて行かなきゃならんということです。ペイペイなサラリーマンが天下国家について論じても仕方ないのと同じで、一介の牧童が吠えても仕方ないんですけど、ホースマン個々が将来の競馬像について考えておくのは、やっぱり大事だと思います。
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三井住友じゃないよ

2009-09-20 | 海外渡航
 日本人が海外へ行く場合、日本国の信頼によって、先進国では基本的に査証(ビザ)を必要とすることはない。ただし、その期間も90日までであって、それを超えて滞在する場合、事前(日本で)に在外公館で、もしくは渡航先の移民局みたいなところにビザの申請をしなければならない。

 外国に長期滞在するにも、在留資格というやつが必要だから、面倒なものなのであります。そのために、ビザが必要とされる。

 ビザの期限が切れた上で滞在していると、これはいうまでもなく不法滞在。こういう状態で経済行為を行い、不法移民として強制送還されている風景は、「警視庁24時」みたな番組でもよく見られますよね。ちなみに、何年か前には日高の牧場でもビザなし不法労働が発覚し、ある名門牧場の社長が御用になるという騒ぎがあった。

 日高には、つい何年か前までヨーロッパオセアニア系の外国人がたくさんいた。浦河、静内は特にたくさんいた。ほとんどは育成場に招かれていったものだけど、最近はこうした競馬先進国系のライダーもめっきり少なくなり、代わって増えているのがフィリピン、マレーシアといった東南アジア系。こちらは静内ではほとんど見ないから、BTC中心に育成している浦河にたくさんいるようだ。

 シャチョウサン、ビザノコウシン、ダイジョウブデスカ?

 面倒だからと言って放置していたり、観光ビザで入ってきたやつをそのまま使っていたりすると、後々大変なことになりますね。逮捕された社長は、その外国人のアンチャンが居酒屋でケンカ騒ぎを起こし、警察署に連行されたところで不法滞在が発覚したらしい。

 外国人なんて何千人もいるわけじゃないのに、そこまでならなければ発覚しないのだから、当局の管理もいい加減なもの。田舎の警察も基本は見て見ぬふり。ただし、使っている外国人が何か問題を起こした時、労働ビザがなければ即アウト。社長はあっという間に逮捕拘留。相部屋にオカマとヤクザのいるブタバコには空調設備もなく、風呂も週に2回しか入れないということですな。

 で、ビザで一番取得しやすいのが学生ビザ。学費の支払いが証明されていて、入学許可書があって、滞在場所もしっかりしており、滞在期間中の資金が十分にある場合は、最短1日という期間でビザがおりるらしい。国によってもビザの要件は様々だろうが、普通は労働の対価として賃金をもらうことはできず、もらってしまえば不法就労になる。ただし、学生ビザでも○○年以上の修学といった条件になると、一部アルバイトは認められるらしい。

 ちなみに、私も最初はこの学生ビザ。渡航先では競馬関係者のお宅に滞在させてもらうことになるが、「オウアンチャン、ボロヒロイテツダッテ」と言われていろいろ作業を行っても、その対価にお金をもらうことは出来ないんです。っていうか、くれるわけもないし、もらおうとも思ってないのですけどね。語学学校に通っている間は。

 労働ビザも一般的。ただし、こちらは現地の雇用主に「ミスター初等ボクドウは私の会社、我が国にとって必要な人材です。つきましては滞在許可を願います」みたいな形で推薦状をもらわなければならない。したがって、それなりの技術や専門知識を持った人でないと、労働ビザによる滞在許可は下りにくいみたいだ。

 もちろん、日本の企業に勤めていて、現地駐在という形になるとまた別。そっちの方が簡単ですね。世界で活躍する人が多い日本人の場合、駐在員という形で在留資格を得ている人が一番多いのでしょうか。

 ビザなしで滞在できるといえば永住権。これは市民権とは異なって、いちいち期限が来たらビザを申請しなくとも、ずっと滞在できるというもの。国によっては永住権を取得していれば、一部ビザあり外国人に課せられていた税金が免除されたり、医療等においてその国の国民と同等の権利を有することが出来たりする。

 もちろん、永住権はビザと違ってすぐには取得できない。相当レベルの語学力が必要だったり、渡航先での就労期間が長かったり、あるいは現地で起業していたり、要するに渡航先の国が

 「ミスター初等ボクドウは、きちんとした職業に就き、犯罪歴もないし、言葉にも不自由がないので、○○国の発展に貢献できる人材だ。よって、ずっといても構いませんよ」

と認めてくれるもの。別に、国籍が日本から移るとか、そういう類のものではない。ちなみに、向こうの人と結婚していると、永住権は認められやすくなるらしい。それでも、金をたくさん持っていれば簡単に認められるという類のものではなく、取得までにはいくつもの要件をクリアしなければならないようだ。


 海外に行くってことは、日本ではありえなかった苦労をするということですね。日本人でいる限り、収入がいくらであろうと、たとえ無職であろうと、日本における滞在許可なんて必要ないですもんね。

 もっとも、日本人だけど滞在許可をもうけた方が良さそうな日本人もたくさんいますけどね。
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27キロ制限

2009-09-19 | 海外渡航
 海外渡航で大変なのが荷物。飛行機の受託荷物が20キロ、縦横高さの合計が158センチまで。機内持ち込みが7キロ、同合計115センチまでだから、この合計の範囲で持ち物を選択しなければならない。

 なんせ滞在期間が長くなるし、全額自費だから海外引越なんてしちゃうと目の玉が飛び出るので、日本から持って行けるものは限られてしまう。

 私が飛行機の前の方でゆったり座れる身分なら、この制限には幾分余裕が出来る。ただし、1キロ2800円払えば超過荷物は大丈夫なので、金持ちには実質、この制限はあまり関係ないといえる。

 これは国際線の場合で、海外の国内線だと制限は変わってくるし、テロに厳しいアメリカ方面は、荷物制限が特に厳しいようだ。

 荷物は基本的にスーツケース1個にまとめることになると思うが、リミット20キロの中にはこのスーツケースの重さも含まれる。衣類だとかはかさばるし、実際荷造りの段階になると結構増えてくるだろうから、スーツケースは出来る限り大きなものを使いたい。ただし、大きいと重さをとってしまうので、スーツケースの選び方が大事になってくる。

 スーツケースをパカっとあける部分がファスナーになっていると、耐久性重視のフレームタイプよりも1.5〜2キロほども軽くなるようだ。ただ、飛行機による移動の多い人や、長く使おうと思ったら、やはり入れ物は丈夫な方が好ましいみたい。飛行機から空港に降ろす時に、荷物の扱いが大変荒っぽいところもあるみたいだから。

 私の場合、多少重たくても、一番大きくて丈夫なやつを持っていくかな。となると、これだけで6キロにもなる。

 肝心の荷物だけど、衣類だけでかなりスペースを食うはず。なんだかんだで20キロなんてあっという間だろう。パソコンやカメラ、あるいは持っていきたい本といったものは、7キロまでの機内持ち込みに回せば大丈夫だろう。

 1つ持っていきたい唯一無二の宝物が、口取り式の写真。ある一流ジョッキーと一緒に写ったやつです。これは私が日高で牧童やっていたという何よりの証だし、チビの頃から自分の育てた馬が、こうやってレースに勝つまでの道のりというか、歴史というか、そういうのがこの口取りの写真には全て表れている。私と厩務員のお兄ちゃんが

 「人生最高のひととき」

みたいにしてもの凄く嬉しそうに笑っており、調教助手は冷静に馬を抑え、ジョッキーは年間のうちの1勝に過ぎないみたいに落ち着き払い、その隣の調教師が雀荘から出てきたテキ屋のおっさんみたいにインチキ臭い。

 ちょっと大きくてかさばるけど、ぜひとも持っていって、向こうの自分の部屋に飾っておきたい。自分がホースマンであることの証と、つまりはアイデンティティーの証明と、モチベーションの維持と、「またいつか」という夢の刺激と、その他諸々の効用と・・・大いに役だってくれるに違いない。

 これが結構でかい。縦45センチ×横40センチ、額縁も結構豪華なやつですね。口取りの写真というのは、馬主や生産者にとっての「証」なので、安っぽいやつより、多少豪華な方が、グッと感慨に浸れるんですよね。社長に聞いたら、2万円以上はかかっているらしい。ガラスが割れないように、プチプチでつつんでいかなきゃ。
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