亀父「勝ってるやろっ」大毅世界奪取失敗

デンカオセーンに判定で敗れガックリと肩を落として引き揚げる亀田大毅（中）（右は興毅、左は和毅）

　◆プロボクシング　ＷＢＡ世界フライ級タイトルマッチ　王者デンカオセーン・カオウィチット（タイ）（判定２─０）同級１１位・亀田大毅（亀田）（６日・大阪市中央体育館）　リングアナが判定結果をコールした瞬間、セコンドを務めていた３兄弟の長兄・興毅（２２）は口を真一文字にして両手でリングロープをつかんだ。父・史郎氏（４４）は客席から「勝ってるやろっ」と興毅に向かって絶叫したが、長男は無言で下を向いたままだった。史郎氏は「誰が見てもどっちが勝ってるか分かるやろっ」と不満をあらわにして会場を後にした。

　史郎氏は０７年１０月の内藤戦で大毅に反則行為を指示したとして、無期限セコンドライセンス停止処分を受けた。指導は許されないとあって、この日は客席の最前列で黄色いメガホンを片手に声援を送った。だが、辛抱たまらずラウンドの合間に２度ほどリングに駆け寄ろうとして、周囲に制止された。すると今度は“作戦変更”。三男・和毅に何やら耳打ちをして伝令を任せた。９月２８日に大毅のスパーリング相手を務め、５日に日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）に注意されたばかりだが、誤解を招きかねない行動だった。

　試合後の興毅は終始無言。３兄弟全体でもプロ２つの黒星がともに大毅についたことを、自らの痛みのように受け止めた。ＷＢＣ世界フライ級タイトルマッチ（１１月２９日・さいたまスーパーアリーナ）で王者の内藤に挑む。会場から去る際、右手で大毅の肩をグッと抱き寄せ、まっすぐ前を見据えた。その目がリベンジを改めて決意したことを雄弁に物語っていた。