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受け入れ拒否を謝罪 夕張中3自殺

2009年10月05日

■村上医師「判断ミス」

 夕張市で、自殺を図って心肺停止状態だった中3男子生徒(14)の受け入れを拒否した市立診療所の理事長、村上智彦医師(48)は4日、自らの「判断ミス」を認め、「ご遺族と市民の皆さんに申し訳ない」と謝罪、「こういうことは2度と起こさない」と述べた。市内で開かれた北海道自治体学会など主催の「まちづくり」集会に討論者として参加した同医師が冒頭、事件について釈明を求めて発言、採算の取れない救急医療を財政破綻(はたん)の街でどう保証していくかが議論された。
(本田雅和)

 同医師は、事件当夜の先月27日、救急隊が現場から受け入れ要請の電話をした際、目の前の家族に配慮して首つりを「縊頸(いっけい)」と表現したことを改めて指摘。電話を受けた事務職員や看護師が専門用語を理解せず、「間違った情報伝達」の中で集中治療室のある札幌などの救急病院に運ぶよう指示、「間違った判断をしてしまった」と語った。

 市民代表として参加した討論者は「聞き間違い」の問題ではなく、「たとえ助からなくても、命を委ねる医師にまず診てほしいという親の気持ちを分かっていただけているか」と質問。村上医師は「気持ちは分かるが、コンビニ受診などで医師は疲弊している。破綻前の市立病院の医師らは夕張には2度と戻りたくないと言っている」とした。

 そのうえで同医師は「心肺停止患者を断ったのは間違いだった。近くにいる人が蘇生措置をし、田舎の診療所でも直近の医療機関につなぐのが一番生存率をあげる。救急医療をしていたプロとして恥ずかしい」と反省を示した。

 また、同診療所が在宅支援診療所として87人の訪問医療をしているのを始め特養老人ホームやグループホームの200人以上を対象に24時間診療体制を続けていることを説明。19床の入院ベッドと救急で「年間5千万円近い赤字」が出るのを「職員給与の削減と理事長個人の借金」などで維持しているが、予算が確保できない場合に備えて「今冬の病棟閉鎖や救急廃止も検討している」と明らかにした。

 住民が必要とする救急医療の中身や水準の確定、そのための国や道からの財源支援の実現――などが課題として残った。

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