中央アルプス千畳敷(標高約2600メートル)で登山道脇のハイマツが県教委の許可を受けずに切られた問題で、昨年夏にも、駒ケ岳ロープウェイを運行する中央アルプス観光(駒ケ根市)の職員が県への届け出をせずにハイマツを切り、県が県立自然公園条例に基づき厳重注意としていたことが5日、分かった。
登山道脇のハイマツ問題で、日本高山植物保護協会伊那谷支部役員や県自然保護レンジャーら駒ケ根市民5人が、県教委あての質問・要望書を市教委に提出した際、明らかにした。提出した市民によると、同社職員が切ったハイマツは百数十本という。
県上伊那地方事務所環境課によると、昨年8月、駒ケ岳ロープウェイ終着点の「ホテル千畳敷」から北方の八丁坂に上る登山道脇などでハイマツが切られているのが見つかった。同課は同年9月、中ア観光から始末書の提出を受け、厳重注意とした。同社は「ハイマツでけがをした観光客から苦情を受け、切ってしまった」と釈明している。
一帯は県立公園で、規則で定める植物の採取、損傷には知事の許可が必要。だが同地事所環境課によると、同社は県へ届け出ていなかった。一帯は県天然記念物にも指定され、県文化財保護条例に基づく申請も必要だが、県教委文化財・生涯学習課によると、同社からの申請はない。
市民5人は質問・要望書で、登山道脇のハイマツ問題で事実開示、司法による厳正な判断と処分を要望。県教委の対応、再発防止策、市教委の対応などをただしている。
応対した市教委の滝沢修身教育次長は「(皆さんの)日々の努力を逆なですることになり、申し訳なく思う」、市の新山護(あらやままもる)産業振興部長は「責任は私たちにある。大変申し訳ない」と述べた。
同部によると、駒ケ根市は同市や宮田村などでつくる「中央アルプス駒ケ岳を愛する会」を通じ、中ア地区山岳遭難防止対策協会救助隊員に登山道整備を依頼。隊員は9月下旬、登山者らの支障になるとしてハイマツを切った。