先月、上田市で開かれたシンポジウム。地域医療問題に取り組む千葉県東金市のNPO理事長が講演で、報道のあり方を取り上げた。地元で病院に受け入れを断られた患者が亡くなった出来事を、ある全国紙は「受け入れ拒否」と報じた。NPOは当日の病院の勤務実態を調べ、診察に追われる当直医の多忙さを情報誌に掲載した。
「拒否ではなく『受け入れ不能』なのだ」というのが、現場の声だ。「現場、行政は実情を伝える勇気を持ち、市民は耳を傾けるべきだ」と理事長は訴えた。報道には両者をつなぐ役割があるはずだ。(宗)
毎日新聞 2009年10月6日 地方版