< Uさん、Haさんからのお便り >
< 新聞に掲載された荒田氏の公開実験 >
< 海外でも紹介された公開実験 >
< ICCF15はローマで開催される >
文化勲章受章者で大阪大学名誉教授の荒田吉明先生が、本日2008/5/22(木)に固体内核融合(つまり常温核融合)
の公開実験に成功されました。簡単に速報としてお伝えします。歴史的な成果といえます。
毎日、朝日、日経、日刊工業新聞、NHKなどマスコミも多数参加する中で行われた。
まず荒田記念館(大阪大学、吹田キャンパス)で40分ほど前段説明があった。これまで荒田先生の固体内核融合にい
たる道のりなどが説明される。
次に、先端科学イノベーションセンターのインキュベーション棟C棟3Fにある荒田先生の実験室に皆が移動。
そこでHe4の検出と、熱エネルギーの測定が行われた。実験室は大勢の人でごったがえしの状態であった。
高分解能質量分析装置のモニターには、He4発生のスペクトルピークが明確に示されていた。
D(2)+ D(2)=He(4) + エネルギー ------@
ここで()内は質量数
He(4)の検出こそ、固体内でD(重水素)とDの核融合が起こったことを示す決定的な証拠である。
実験室の外には@式が貼られていた。
発生熱エネルギーに対応する温度差データも出力されていたが、核融合のみの余剰分がいくら出たかは後から詳しく
解析しないとわからないだろう(化学熱を差し引かなければならないため)。
実験後、荒田記念館に戻り、主にマスコミ関係者による質疑応答があった(我々一般人も一緒にいた)。
記者の方々から積極的に質問が出た。難しい分野であるためか、とんちんかんな質問も含めて、何度も食い下がるよう
に質問されていた。
常温核融合の権威である高橋亮人博士(大阪大学名誉教授)から「今回の結果は、ヘリウムがはっきり検出された
きれいなデータであったこと」が伝えられ、Congratulations!と高橋先生。拍手が沸いた。
あとで高橋先生に聞くと、@は正確ではないだろう、つまりく左辺は2個のDでなく、本当は四つのDが反応に関わって
いるはずとのことであった。それは、重水素がパラジウム内で正四面体の頂点に配置されたときのみ4個のDが中心点
に向かって凝集し核融合が起こることを示唆する高橋理論による(TSCモデル理論)。理論面はまだまだ難しい状態で
あり、「しかし、たしかに起こっている!」と結果の方が先行しているのが常温核融合である。
今回の実験を簡単にいうと、パラジウム合金微細粉末に重水素D2ガスを高密度に充填 する。熱も何も加えずに充填
するのである。その後、合金微細粉末の内部に侵入した重水素DがHe(4)に変化し、そのとき熱エネルギーが発生する
という実験である。
非常にシンプルな実験系である。
熱もなにも加えずに重水素を充填されるだけなので、シンプルであり解析がしやすい利点がある。疑義が減る。
D2ガスとHe(4)の質量の差はわずかであるが、高分解能の質量分析装置でその差を捕らえることができる。今回、大きな
He(4)ピークのすぐ右横にD2の小ピークが出ているスペクトルを見ることができた。
これまで世界中で多くの人により、常温核融合現象が確かに起こっていることが実証されてきた。しかし、公開実験と
いうところに、今回は大きな意味があると思う。
先生は1958年に熱核融合の公開実験に成功。50年後(2008)に今度は常温核融合の公開実験に再び成功された。
HotとCold の二つを成功されたわけで、歴史に残る偉業と言えよう。
「新エネルギー創生研究所」の創設を荒田先生は計画されている。早期の実現を希望しつつ、今回は本当に成功、
おめでとうごさいました。
追記2008/5/24
参加されたToさんから写真をいただきましたので掲載させてもらいます。(K先生には許可了承をいただきました)
素晴らしい写真をありがとうございました。
(両方ともToさん撮影)
荒田先生の公開実験に関し、Uさん、Haさんからお便りをいただいたので紹介します。
Uさん
**********
慶賀の至りです。有り得ないと思われていた高温超伝導が実存するんですから低温核融合が存在してもおかしくはない
と思います。後はエネルギー収支と実用化の問題ですか。
**********
Haさん
*********
なんと!おめでとうございます。
まぁ、公開実験されるくらいですので、確信はおありだったのでしょうが、これは人類が新たなテクノロジーを獲得した日
と記憶されるのかもしれませんね。
********* Uさんの「有り得ないと思われていた高温超伝導が実存するんですから低温核融合が存在してもおかしくはないと
思います。」との意見には、思わず頷いてしまいます。科学ではこういうことはじつに多い。
私も科学を研究するほど、教科書は必ずしも正しくないという想いが強くなっています。いえ、もっとはきっり言うと、
教科書は間違いだらけ、見落としだらけであるとも言える。人間のやることは、どうも見落としが多いようで、全ての
パラメータを把握できないんですね(まあ神様ではないので当たり前ですが)。自分の範囲だけのパラメータを使って
計算して、「そんなことは有り得ない!」と叫んでいるのが人間といえるでしょう。
マクスウェル方程式に・・の一番最後で「すべてを疑え」という言葉を述べましたが、私はこの言葉が気に入ってい
まして、至言だと思っています。
Haさんの「人類が新たなテクノロジーを獲得した日と記憶されるのかもしれませんね。」との言葉、本当にそうなれば
いいですね。荒田先生が目だっていますが、それ以外にも今回の公開実験に匹敵するような重要な実験が数多く行わ
れてきたことは、本シリーズをはじめから読んでもらえばわかるはずです。そして私たちがいかにマスコミや権威筋が垂れ
流す底の浅い情報にふり回され本物から遠ざけられているかを感じてほしいと思います。
お知らせ
高橋亮人先生の新しい本がまもなく出ると聞きました。また工学社だそうです。工学社はやりますねえ・・
高橋亮人(あきと)先生(大阪大学名誉教授)の新刊が出たようです。
「常温核融合 2008 凝集核融合のメカニズム」(高橋亮人著、工学社)
まだ読んでいないので詳しいコメントはできませんが、高橋理論を「常温核融合2006」のときよりさらに深められてい
ると思われます。また常温核融合の最新動向やここ2年間で行われた学会・研究会等の報告もなされていると推測され
ます。
それにしても、常温核融合関連は工学社からここ数年連続的に出ています。古い順にまとめておきましょう。
●「常温核融合 2008 凝集核融合のメカニズム」(高橋亮人著、工学社)
クリックしてもらうと、その時々の発売当初の状況へ飛びます。
荒田氏の公開実験は、次の2紙に掲載された。2紙とも2008/5/23の日刊に出たものである。
日刊工業新聞と日経産業新聞です。
どちらもうまく書かれていた。簡潔にまとめると、
日刊工業の方は、3重水素の生成には3億度の超高温が必要だが、今回ヘリウムが検出されたことで固体内で
常温核融合が起っている可能性がある、としている。
日経産業の方は、大阪大学の荒田吉明名誉教授は外部から熱を投入せずともエネルギーを取り出す公開実験
に成功。核融合でできたとみられるヘリウムが大量に検出された。しかし、熱測定は難しく証拠とするには多くの
追試が必要としている。
当日、記者の人たちは、この不可解な現象を前に「いったいこれは何なのか?どう理解すればいいんだ?」と当惑気味
であったので、K大のT先生らと一緒に私も記者の人たちに説明した。それでもやはりわかりにくいようであった。
当たり前である。真の原因などまだ誰もわかっていないのだから!しかし、「確実に起こっている」という結果の方が先行
しているのが常温核融合の世界なのである(ここが重要!)。
科学は、とにかく実験事実を最重要視すべきである。自然は人間の想像力をはるかにこえた深みをもち、しばしば人間
の理論をはるかに凌駕した結果を示す。ちっぽけな想像力しかない人間の作った理屈に合わないからといって、「そんな
ことは有り得ない!」などと叫ぶ人は科学を知らない人である。
荒田氏のみならず、三菱重工・岩村博士や水野博士やその他世界中の研究者が、常温核融合の現象が起こって
いることを確かな証拠とともに示してきている。(当「常温核融合は本当だった!」をはじめから読んでいただきたい)
記者の人たちの質疑応答を聞いていて、どうもエネルギーつまり熱の取り出しのほうに関心が偏りすぎていると感じ
た。それもわからないではないが、常温でのヘリウム大量生成がいかに常軌を逸した現象であるかをまず理解してい
ただきたい。それはDの融合以外に考えられないもので、これこそ決定的な証拠であるのだ。
(ただ、ヘリウム4というのが状況を複雑にしている。通常のD-D熱核融合の理論ならばヘリウム3が生じるはずである。未知のことが起こって
いるのだ。)
質問の中には「これが自動車に応用できるのか?」と性急にすぎるものもあった。(そんなに簡単にできますかいなあ)
Haさんは、公開実験のあとで次のメールを下さった。
*****
「これは何の役にたつのですか?」と聞かれた時のファラデー曰わく、
「生まれたばかりの赤ん坊が何の役にたちましょう」
**********
これはたしかファラデーが電磁誘導の発見をなしたときのことかと思うが、じつは私もマスコミの人たちの姿を見ながら、
まったく同じことを考えていた。
荒田氏の実験は出発点にすぎない・・
公開実験は海外でも話題を呼んだようです。
Moさんから、次のサイトに掲載されたと連絡をいただいたので紹介します。
高橋亮人博士やJed Rothwell氏らの公開実験に関するやりとり(説明)が見られます。
高橋先生は皆様よくご存知の先生ですが、Jed Rothwell氏は次の
という常温核融合の全てが詰まった素晴らしいサイトを運営される方です。とくにLibraryは充実を極めている。
Jed Rothwell氏は荒田氏・公開実験にも見えられていて、一番前の席に陣取り、外人としては最も目だっておられた(笑)。
Y.K.さんは、インドのサイトにも紹介されたと次のHPを教えてくださいました。
Cold fusion success in Japan gets warm reception in India
というタイトルで、今回の公開実験を紹介。
常温核融合の歴史や荒田氏の実験のことなどがうまくまとめられています。日本での公開実験の成功がインドを非常に
勇気付けている様がよくわかる内容となっている。
<インドが常温核融合へ参入を宣言! 「natureインド」HPで>で、インドがいよいよ常温核融合に本腰を入れて取り組もう
としている様子を今年初めに紹介しましたが、上記サイトと重なるような内容となっていて興味深いものです。
New Energy Timesという雑誌に荒田博士・公開実験が紹介されたとMoさんより情報をいただきました。
次をクリックください。
たしにかに大きく取り上げられています!どれほど実験の成功が海外で反響を呼んだかわかろうというものです。
なんと、公開実験の日本語の案内状まで公開されています!
New Energy Times(米国)という雑誌の名前はよく耳にしていました。とくにJCFの中で回ってくる情報で最近多く目に
します。凝集系核科学(つまり常温核融合)の研究を主に紹介している雑誌のようです。
私自身はサイトをよく見たことがなかったのですが、この機会に上記サイトを覗いてみると、Cold Fusion中心の豊富な
情報が詰まった重要サイトとわかりました。New Energy Timesは多くの発行部数を誇る人気雑誌と聞いたことがあります。
本なども紹介されています。
ABOUTには、雑誌のMISSION(使命)が書いてあります。
その頁のWHAT PEOPLE ARE SAYING に荒田先生が言葉を書いている。冒頭の3行がいいものです。
New Energy Timesサイト上で、荒田先生・公開実験の模様を伝える写真が多数公開されていますので紹介します。
Moさんから本情報いただきました。下記をクリックください。
【Photos of Arata-Zhang LENR Demonstration May 22, 2008】
http://newenergytimes.com/v2/news/2008/29img/Arata-Demo-Photos-AT.shtml 非常に詳細な状況を伝える写真群です。
Photos and Annotations from Akito Takahashi
とありますので、高橋亮人先生(大阪大学名誉教授)が撮影されたものでしょう。丁寧な注釈がついていて、大変わかりや
すいものとなっています。実験室の模様もあるので、参加されなかった方もこれを見ればおおよその雰囲気をつかめること
でしょう。実験室内は私が入ったときは、身動きもしづらいほど人でごったがえしていましたが、写真はかなり空いた状況
で撮られたもののようです。
実験室内で赤い服を来ておられる女性が、荒田先生との共同研究者である張博士(Dr.Zhnag)です。荒田・張の
コンビで多くの論文が出ています。公開実験成功の陰の立役者であるともいえましょう。
A.T.さん、Moさん、Tさんから北大の水野忠彦博士の実験が北海道新聞に掲載されたとのメール
をいただきました。下記をクリックください。
簡易炉で「常温核融合」か 北大院・水野氏が確認 国際学会で発表へ(06/12 06:39)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/98372.html <--リンク切れ、こちらをどうぞ
大きく取り上げられています。簡単にまとめると、
ステンレス合金製の炉(88cc)に、多環芳香族炭化水素フェナントレン0.1g投入し、高圧水素ガスで満たし密閉。
白金とイオウも触媒として添加。水素を加圧すると、巨大な過剰熱が発生。さらに地球にほとんど存在しない
炭素13が大量に発生した。実験当初なかった窒素も発生。核反応が起こったとしか考えられない結果である。
すごい結果です。
炭素13の発生は異様であり、これが常温核融合を確実なものにしています。再現性が素晴らしく「三十回実施し、すべて
で過剰熱を確認」ですから、文句なしです。
それにしても、こんな実験ははじめてみました。多環芳香族炭化水素フェナントレンという有機物を使っている点が、
新しい。こんな「やわらかいもの」はCold Fusion実験ではあまり見かけない。また、この実験で面白いのは、常温核融合
で定番のパラジウムを使っていない点です。この2点が私には非常に新鮮にうつります。
実験自体がきわめてシンプルであることが、この実験の重要性をさらに増している。
現在、常温核融合では結果が先行し、理論はまだ確立されていません(科学ではこういうことはよくある)。
理論構築にはシンプルな実験がぜったいに必要なわけですが、この水野実験はその簡明さ、再現性のよさから理論面へ
大きく寄与するのではないかと思います。
大手メーカーの有力研究員も注目しているとありますが、当然であり、誰であっても注目してしまう類のものです。
三菱重工・岩村博士の核変換実験、荒田博士の実験に匹敵する実験といってよいのではないでしょうか。
エネルギー取り出しの魅力もあるので、今後多くの追試がなされていくことでしょう。
荒田先生につづき、水野先生やってくれました・・
上で紹介した水野実験で、一つ見落としていたことがあった。
それは、この実験では重水素を使っていないということ。Y.K.さんが指摘され、ああとわかった次第である。
常温核融合では、パラジウム(Pd)と重水素というというのが一つのセットのようになっていて、この二つはいわば
定番となっているのである。(溶液系の電気分解実験に関しては”Pd以外の金属電極”やまた軽水も使用されているが)
水野先生の実験では、この重水素さえも使用してないのであった。とにかく固体系でパラジウムと重水素が登場しない
というのは非常に珍しいのではなかろうか。ちなみに、三菱重工・岩村博士の核変換実験や荒田先生の実験でもPdと
重水素が使われている。
水野実験の特徴をまとめると、次のようになるかと思う。
@多環芳香族炭化水素フェナントレンという有機物を使っている。
AパラジウムPdを使用していない。
B重水素を使用していない。
C再現性がよい。
とくに@の有機物使用はきわめて珍しいと思われ、従来のCold Fusion実験とはまったく異なる印象を与えている。
いったい水野先生は、どうしてこのような実験を思いついたのだろうか。おそらく何かの実験をヒントにされたのではと
推測するのだが・・。
フェナントレン(-->wikipedia)は見ていただくとわかるように、シンプルな構造の有機物である。アントラセンとほとんど
同じ。直線的なアントラセンをすこし曲げた形。
フェナントレンではなくアントラセンを使用するとどうなのか?官能基がつくとどうなるのか?・・と疑問が次々わいてくる。
この実験に関してHaさん、Y.K.さんからメールをいただいたので紹介したい。
Haさん
************************
静かなる常温核融合フィーバーが進行中のようですね。
現象的には、もはや確実といったところでしょうか。
************************
Y.K.さん
************************
これは またすごいです。
ついに、動きだしましたですね。 ************************
荒田先生の公開実験以来、常温核融合に注目する人が非常に増えているが、北海道新聞も報道したということは
広く認知されはじめた証拠といえる。
マスコミの報道があれば注目されるのだが、これまで何度も述べたように、荒田実験、水野実験に勝るとも劣らぬ優れ
た実験が夥しい数行われてきた。
興味ある読者は当サイトで紹介してきた、先生方の著作などを読んで勉強していただきたい。そこには本物の科学が
横たわっている。世間に流布されている悪質でいいかげんな情報にまどわされないようにしてください。
ロバート・ムーンのプラトン立体モデル・・と聞いても、たいていの読者はご存知ないであろう。
かくいう私も3ヶ月前までは知らなかった。Sさんからの情報でわかった。
シカゴ大学教授のロバート・ムーン(1911年生まれ)がとなえた、現代ではほとんど忘れ去られた原子核モデルである。
ムーンは1942年の歴史的なフェルミの核分裂の連鎖反応実験に立ち会ったという人物であるから、かなり古い。
原子核モデルなどとっくに確立されていると思われるかもしれない。どっこいそうではない。理化学辞典を見ても、原子
核の陽子、中性子の配置に関するモデルはまだ完全に確立されていないように見える。現代物理でも色々な仮説モデルが
提唱されている状況下にあると考えられる。
ムーンはウランの核分裂の理屈に関して「不十分な説明しかなされていない」ことをよく知っており、それは原子核の
構造をまだよく理解していないからである・・と確信していた。そして画期的なプラトン立体モデルを提示するにいたる。
さて、「謎の科学30理論 真実の探究と衝撃の科学」(矢沢サイエンスオフィス)という本のp.210〜p.217にムーンのプラトン
立体モデルが近藤巌(いわお)氏により解説されている。私はSさんから教えてもらったこの本を読んだ。ムーン・モデルには
本質的ななにかを感じる。
プラトン立体とはなんだろうか。それは正多面体とも呼ばれる美しい性質を秘めた立体のことである。
正多面体(プラトン立体)は5種類が存在し、正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体と呼ばれる。
正4面体は正三角形の4面をもつ立体であり、正6面体は正方形を6面もち(サイコロ!)、また正8面体は正三角形
を8面もっている。正12面体は正五角形を12面もち、正20面体は正三角形を20面もつ、 全て凹型の立体である。
百聞は一見にしかず-->wikipedia
プラトン立体は黄金率がいたるところに顔を出すなど、美しい不思議な性質をもっており、古来より深く研究されてきた
数学的対象物である。
ムーンのモデルを簡単に説明しよう。
まず4種類の正多面体を入れ子構造にして(重ね合わせるようにして)置おく。内側から正6面体、正8面体、正20面体、
正12面体の順にである。その頂点の位置に周期表の原子番号順に次々に陽子を配置していく。中性子は正多面体の
の中点に置いていく。原子核ではこのように陽子が配置されていく(中性子の場合は正4面体を含めた5種類の正多面
体を使う)。ちょうど正多面体の頂点をすべて占めた状態がとくに安定となるとする。
これがムーンのプラトン立体モデルである。
なぜこのモデルが重要なのか?
それは、このモデルでは、配置の陽子や中性子の配置位置(対称性)と地球に存在する元素の存在量(安定性)の間
に見事な対応関係が見られるからである。
順に見ていこう。
陽子数8の酸素(O)は地球でとんでもない存在量を誇っているが、それは最も内側に正6面体の8個の頂点の位置を陽子
が占める!次の正8面体(頂点6個)までの頂点にすべて陽子が詰まるには14個の陽子が必要だが(8+6=14個)、この
陽子数14に対応する元素が珪素(Si)である。珪素も地殻を作る元素の21%を占めるほど莫大な量存在している。
次の正20面体の頂点まで完全に詰まったものは陽子数26の鉄(Fe)である。鉄も多く存在することはご存知の通り。
最後の正12面体の頂点まで詰まったものは--、なんとパラジウム(Pd)なのである!
パラジウムはムーン・モデルでは4つの正多面体のすべての頂点に陽子が詰まった非常に対称性のよい安定な元素
ということになる。常温核融合との関連でも、なぜかパラジウムを使った場合にCold Fusion現象が多く観測されること
から特別な構造をもっていることが推測されるが、ムーン・モデルからもそれがわかる。
ムーン・モデルは面白いのである。
中性子の配置では正4面体も出てきて、それに関する興味深い事実が書かれている。本には、ウランがなぜ分裂しや
すいのか?分裂しやすい核としにくい核がある理由は?また魔法数のこと、ランタノイドの奇妙な性質などにも言及され
ているが、省略する。
自然界には陽子や中性子が偶数個となる元素が多いが、その理由もムーン・モデルでわかる。対称性から粒子は対の
関係をとりたがるからであろう。
なぜムーンのプラトン立体モデルをとり上げたかというと、これが常温核融合と関連しているのではないか?と思え
る”ふし”があるからである。
Cold Fusion研究の第一人者・高橋亮人博士(大阪大学名誉教授)の高橋理論を述べよう。
高橋理論は常温核融合現象を説明する有力な理論の一つだが、なんと、それに正多面体が重要な条件として登場する
のである!
「常温核融合 2008 凝集核融合のメカニズム」(高橋亮人著、工学社)
に、先生の理論が詳しく載っている。
それは難解なもので詳細はとても手に負えないが、ぼんやりと本質的な視点くらいはわかる。高橋理論にも色々
あるが、とくに重要なのは、重水素原子(D)の凝集によるHe(4)発生を説明するTSC理論であろう。
TSC理論を簡単に説明すると、
立方体の頂点の配置(TSC配置)を重水素原子(D)と電子が交互に占める配置をとれば、一挙に凝集して核融合が起
こる確率が飛躍的に高まることが理論計算で示せる。4つのDがいっきに凝集して一時的にBe(8)形成を経由しそれが
すぐ分裂して2個のHe(4)になる。---@。
(上で、4個のDの配置と、4個の電子雲中心はそれぞれ正4面体の頂点をとっている。)
TSC配置をとれば4D核融合が起こることが理論的にわかったのである。
さて、どうやってTSC配置ができるかに関してだが、パラジウム格子中の移動や表面のナノ構造によって、TSC配置が
実現されると考えられる。
TSCが実現すれば@より常温核融合現象が起こる。
ということになろうか。
TSCは”Tetrahedral Symmetric Condensate”の略である。TSC=「正4面体凝集」である。
とにかくTSC配置が実現すれば4D核融合が起こることを詳細な理論計算で示された点が画期的である。これは従来の
物理学が見落としていたことでたいへんな発見であると思う。
(@にかかる時間はフェムト秒単位の極短時間)
ムーン・モデルと高橋理論との間になんらかの関連があるような気がしてしかたがないのだが、どうなのか。
高橋先生の上記本の0章の語句説明で、次のように書かれている。
プラトン的正多面体
「正4面体」「立方体(正6面体)」「正8面体」「正12面体」「正20面体」が知られている。
原子や分子がこの配置となったときには、システムのエネルギーが極小になっている。とくに、「陽子(重陽子)」と
「電子」が交互にプラトン対称配置になると、系全体のクーロン・エネルギーは最少(負値)となり、最小化される。
「正四面体 凝集」(TSC)は、その例である。
重要な記述と思う。
現代物理は大きなことを見落としているのではなかろうか・・。
**************************
追記
ムーン・モデルがうまくまとめられているサイトを見つけたので参照されたい。
上の文章をほとんど書いてからこのHPを読んだのだが、「常温核融合」という言葉が出てくるのには驚いた!
Moさんから、荒田公開実験に関する海外メディアの新情報をもらいましたので、紹介します。
*****************************************
【常温核融合について、海外メディアの新たな報道】:かなり詳しい記事です。
【A chilly reception for cold fusion】
http://www.thenational.ae/article/20080621/FRONTIERS/775221362/1036/NEWS&profile=1036 報道機関の名称は「The National」です。下記がHPのトップページです。 http://www.thenational.ae/apps/pbcs.dll/frontpage
*****************************************
たしかにCold Fusionの歴史もからめて詳しく書いてあります。上URLの一番下の荒田先生の言葉がいいですね。
この言葉で先生がいかに真摯な科学者であり、本物であるかがわかろとうというものです。
5/22公開実験の折、参加されていた一般の人(と思われる)が荒田先生に質問された。
その人:「もし荒田先生の言われることが本当なら、現代物理が根底から覆ってしまうことになりませんか?」
荒田先生:「覆って何が悪いんだ。我々は真実を知ろうとしているんだから。」
完全に同じではないがこの種のやりとりがあった。先生の言葉の後、皆から拍手喝采が起こった。
公開実験の成功の報は、世界を駆け巡ったわけですが、皆さんも 「"Arata" "Cold Fusion" "success"」
などで検索してください。いろいろ出てきます。
常温核融合の著名な研究者として知られる小島英夫先生(静岡大学名誉教授)は、その著書
「『常温核融合』を科学する−現象の実像と機構の探求−」(小島英夫著、工学社)
で、Cold Fusion現象のカオス的側面を指摘されている箇所がある。
本を読んでから気になっていることであり、すこし紹介したい。
本ではスタンフォード大学のマックーブリたちが何百回と行った常温核融合実験(電気分解)における過剰熱とその発生
頻度との関係をグラフにしたデータが載っている(p.105 図2.10)。
過剰熱の大きさをP、その発生頻度をN(P)として、縦軸logN(P)、横軸logPのグラフから、そこに多くの自然現象で観察さ
れる逆べき法則が見られるというのである。
本に、
「図2.10で、横軸の「1」から「12」までの測定点が一直線上に並んでいます。これは、単位時間あたりの過剰熱
の発生量という、いろいろな核反応の結果の総体を表す量が、「1/f」ゆらぎの性質をもっていることをはっきりと
示しています。「ゆらぎ」は、「多体複雑系の特徴ですから、「逆べき法則」」」は常温核融合現象が複雑系の特質
をもっていることを明瞭に示す法則であると言えます。」
と書かれている。
小島教授は、常温核融合現象はカオス的な面をもつと指摘されているわけで、興味深い指摘である。
常温核融合現象は再現性がよくない現象であることは、これまで何度も述べてきたとおりである。しかしCold Fusionの
本質の一面にもともとカオスが横たわっているならその再現性の悪さもわかるような気がする。
本にあるように、地震の強さと回数の関係、風の平均風速からのズレの分布など、逆べき法則に従う自然現象は多い。
言葉を変えれば、それらはある非線形の現象である。私もカオスを示す微分方程式をExcelを使って調べたことがあるが、
非線形の世界はほんとうに豊かで驚くほど面白い世界である(-->「非線形力学」(平山修著、コロナ社))。
ちょっとだけ初期条件を変えただけで、その後の挙動がまるで違ってくるのが非線形現象の特徴なのだが、それが
Cold Fusionの再現性の悪さと関係しているのではないか?さらに想像を広げれば、過剰熱と発生回数との間にも非線形
微分方程式のモデルが隠れているのではないかしら・・。
常温核融合現象を説明する理論モデルはまだ確立されていない。様々なモデルが提示されている現状である。
今後の理論確立において、カオスの視点も加えていくことは有効なことであると思う。ケルヴランの視点とともに・・。
小島英夫博士の最近の論文13本が次のReports of CFRLに載っています。常温核融合をカオスの視点から考察
数学の巨人・佐藤郁郎氏のサイトに、常温核融合が紹介されたのでお知らせします。
常温核融合とともに、ノーマン・クック氏のFCC核モデルが解説されている。佐藤氏に教えられて、このようなモデル
があることをはじめて知った。
クック氏は、「MODELS OF THE ATOMIC NUCLEUS」(Norman.D.Cook , Springer)という著書もある原子核物理
学者である。
サイトには、
「FCC核モデルは原子核構造に関する理論であるが,過去のモデルのもつ特徴を内包できる統一モデルとして,
ノーマン・クック氏により提案されたものである。」
とある。FCCとはface-centered-cubic(面心立方格子)の略であるという.
FCC核モデルは従来の核モデルとは異なる、それらを統一したモデルのようであるが、これも人類が見落しているもの
なのだろうか。
佐藤氏は
「 最も一般的なウランの原子核は92個の陽子と146個の中性子をもっている.この原子核は不安定なので,
ときどき2つの陽子と2つの中性子よりなるアルファ粒子を放出する.アルファ崩壊する原子核の存在から原子
核内にアルファ粒子構造(4粒子の作る四面体を積み上げた構造で,ヘリウム原子核にほかならない)をもって
いることは実験的にも知られていることである.
FCC核モデルでは4粒子の作る四面体を中心にFCC構造を組み立てていくと,核子の対称性から希ガス型
殻構造と完全に同型のものができるという点がFCC核モデルの最も著しい特徴となっている.」
と書いているが、興味深い記述である。
巨匠・ケルヴランも、その著書で
「・・個々の元素転換には統一性がないように思われるが、アルファ粒子を軸に見ていくとおのずとその法則性が明らか
になってくる。」と述べ、アルファ粒子の視点から見る重要性を強調している。-->メタル・ループ
佐藤氏は上記の本以外に、日本語で読めるものとして
クック「自然のコード−自然のシステムの安定性と柔軟性を探る−」(HBJ出版局),雨宮・法橋・寺出・丸訳
を紹介している。
FCC核モデルと常温核融合との関係ははたしてどのようなものなのだろうか。
荒田先生の常温核融合公開実験のビデオがNew Energy Timesサイトに出たのでお知らせします。
皆が期待して待っていたものです。 New energy timesのhttp://newenergytimes.com/v2/news/2008/NET29-8dd54geg.shtmlの
「 9. Japan's Sputnik? The Arata-Zhang Osaka University LENR Demonstration 」の中ほどに出ています。
ビデオを3分割して 1.説明(44分) http://video.google.com/videoplay?docid=-5242568651652305169 2.実験(31分) http://video.google.com/videoplay?docid=-7962272847393451248 3.質疑応答(16分) http://video.google.com/videoplay?docid=-6764098365227508856 をgoogleビデオで公開しています。 このビデオを見ることで公開実験の雰囲気を味わうことができるでしょう。
ビデオが出たと情報が回ってきたとき、どこに出たのかよくわからなかったわけですが、Tさんが詳しく教えてください
ました。氏に感謝します。
公開実験ビデオを公開したサイトを一つ上で紹介しました。それに関してMuさん、Haさん、Y.K.さんからお便りをいただ
きましたので紹介します。
Muさん
**********
まさに科学界のパラダイムシフトが進行中という感じですね。
世界がこれから大きく変化していくのでしょう。
**********
Haさん
**********
貴重なビデオを公開して頂きありがとうございます。
やはり、独特の雰囲気がありますね。 真空(装置)は何かにつけてつきまとう、というのは、 意外な盲点なのでしょうね。 マススペクトル(私は初めて見たのですが)は、画面をみる限り アナログ的だったのが興味深かったです。 **********
Y.K.さん
**********
本題ですが、動画が公開されてよかったです。
”スプートニク” って ところがいいです。 でも、スプートニクの時は、それがきっかけで、 米が、怒濤のごとく開発したんですよね。 日本も負けずにがんばりたい所です。 ほんと、次の世代にエネルギーをのこしてあげないと・・。 **********
「科学界のパラダイムシフト」と言われるMuさんの言葉から、ちょうど100年前、量子力学が生まれようとしている状況
も同じような状態たったのだろうか?とふと思いました。ハイゼンベルグ、パウリ、ディラック、シュレーディンガーらの20代、
30代の若手が中心になって科学の革命をなしとげていったのでした。
「真空(装置)は何かにつけてつきまとう、というのは、意外な盲点なのでしょうね。」というHaさんの言葉から・・。
皆が電気分解ばかりをやっていた1990年代初頭、当時NTTにおられた山口栄一博士(現・同志社大学教授)が真空法
という新手法を持ち込み、皆をあっといわせたことが大きな出来事としてありました。「ああ、常温核融合は、電気分解だけ
じゃないんだ!」という印象を皆に与えることになり、それから様々な手法が出てきたのではないかと思います。
「次の世代にエネルギーをのこしてあげないと・・。」のY.K.さんの言葉。ほんとうにそうです。クリーンなエネルギーがいい
ですね。
常温核融合というのは、核反応でありながら、放射線や放射性物質がほとんど出ないという非常に特異なものである
ことが知られています。エネルギー発生のみならず、不思議な核変換(元素転換)も起こっている。しかし、なぜそのよう
なことが起こるのか?いまだに解明されてはいません。一方、生物の方面では過去200年間、生物学的元素転換の多く
の実験や観察が行われてきた。巨匠ケルヴランがそれらを体系的にまとめたことは「常温核融合は本当だった! その11」
で紹介しました。
生物が体内で元素転換(核変換)を行っていることは確実でして、そこに放射能など出るわけがない・・
数学の巨匠・佐藤郁郎氏のサイトに< 佐藤郁郎氏のサイトに常温核融合が紹介される!>で紹介したノーマン・クック氏
のFCC核モデルの木工製作模型と解説が載りましたので、紹介します。
「FCC核モデルを端的に表現するならば,全核子数Aが
A=2Σk(k+1)=2n(n+1)(n+2)/3 =4,16,40,80,140,224,・・・ の魔法的安定性を予言する核モデルということになる.」の部分にとくに惹かれました。 陽子数Z=中性子数Nの場合は,He,O,Ca,Zr,Yb,Xx,・・・がそれに対応する元素だということです。
「層状構造のFCC核モデル」の箇所でも、
1×2,2×3,3×4,4×5,・・・,5×4,4×3,3×2,2×1
のように層が重なっているなど、なんともいえない美しさを感じます。
中川氏の木工製作もすごいですが、佐藤郁郎氏の解説もすごい。かくも短時間に本質をつかみとり適確な解説ができ
るものと氏のコラムには毎度感心し通しです。佐藤氏は数学上のオリジナルな成果も多数発表されています。
Tさんからいただいた情報を紹介します。
なんと、「財界さっぽろ」という雑誌(2008.8月号)に常温核融合が出た!ということです。
-->『常温核融合にかけた北大・水野忠彦の執念』 http://www.zaikaisapporo.co.jp/pbl/honsi/index.shtml
内容まではわかりませんが、大きな見出しで掲載されています。素晴らしいことです。
産業界・財界も、常温核融合が本物であることに、ようやく気づきはじめたようです。
Tさんには、情報提供ありがとうございました。
さらにTさんから教えてもらった情報ですが、ノーベル賞受賞者のジョセフソンが、Lindauのノーベル賞受賞者講演会で
常温核融合を紹介していることがわかりました。
次頁で動画が閲覧できます。写真内の「Live Stream」文字を指で指した絵付近をクリックすると、動画が閲覧でき
る画面に移ります。ジョセフソン(Josephson)は真ん中の動画となっています。
常温核融合は前半の7分以内位で、写真を使ったりして積極的にとりあげています。トリチウムの検出に関しての実験
を紹介している様子です。
Cold FusionやLow Energy Nuclear Reactins
という言葉が登場しているのがわかるでしょう。
ジョセフソン(ケンブリッジ大学教授, 1940〜)は、ノーベル賞学者の中にあっては、常温核融合に最も関心を示してい
る人です。30代前半でノーベル賞を受けた天才!
この春< TさんからのICCF14の情報 >でお伝えした通り、まもなくICCF14(第14回常温核融合国際会議)が
アメリカのワシントンD.C.で開催されます。2008年の8/10 - 8/15の日程で行われます。
プログラムも固まってきたようで、どんな展開を見せるのか、たのしみです。
私は、やはり水野先生に注目したいです。
水野氏が、有機物を用いて常温核融合の実験に成功させたことを次の二つで紹介しましたが、北海道新聞の記事
では、たしか国際学会で発表予定と出ていました。
< 水野博士の実験に関して>
「有機物を用いて」の実験成功が、どれほど凄いことか!これは従来のCold Fusion研究にまったく異なるアプローチを
提供するものといえます。ICCF14での発表を期待したいところです。
一つ上で紹介したジョセフソンのことに関して、Haさんから次のメールをいただいたので紹介します。
*****************
動画upありがとうございます!
この人が動いている姿を、初めて観させて頂きました。 この人にとってノーベル賞は通過点、附録なのかもしれませんね。 このお歳でこれほどの現役感をお持ちな所にまずびっくりしました。 (もう少し、達成感というか満足感に満たされているかと思いきや・・) 底知れない英知、大きさを感じます。 同じ時代を生きている事が信じられない。 **********
ほんとうに、そうです。ノーベル賞は通過点としかとらえていないでしょう。
科学の研究というのは、深めれば深めるほどわからないことが増えてきます。
ジョセフソンは自然の底知れぬ深さがよくわかっており、「人間などまだなにもわかっていない・・」と考えられる人に
違いありません。
うっかりしていました。去年秋、同志社大学でに行われたJCF8の内容がまとめられたプロシーディングス(PDF)が
JCFサイトで公開されているのをお伝えしていませんでした。
次の「Proceedings of JCF8 (November 29-30, 2007) 」で見ることができます。
これを見ることで、日本で行われているCold Fusion研究の現状の概略を把握することができます。
私の簡単な報告<JCF8の報告>も参考にしてください。
ICCF14は終了したようですが、そのプログラムが公開されていたことを、Y.K.さんから教えてもらいました。
http://www.lenr-canr.org/index.html
の中ほどの”here”のリンク先にPDFファイルがあります。 「 ICCF14 conference in August. The agenda and abstracts are here.」のhereをクリックしてください。
直接的にはこちら↓
なんと、出ていたんですね!
Tさんから情報をいただきました。
熱電気エネルギー財団(TEET)のシンポジウムで、9/26(金)に常温核融合の講演会が開催されます。
次のTEETのサイトで公開されています。
荒田吉明先生、高橋亮人先生はじめ、超大物ぞろいの講演会です。
関東圏の人は、見逃せないものといえるでしょう!
「Low-Energy Nuclear Reactions Sourcebook」という常温核融合の本が出版されたのでお知らせします。
次のNew Energy Timesサイトに掲載されています。
420パージの大著です。著者は、Jan Marwan と Steven B. Krivit。
上記サイトにもある通り、Dr. Jan Marwanは電気化学者で独自にCold Fusionを追及している人のようです。
Steven B. Krivitは、New Energy Timesサイトの管理者。常温核融合を積極的に紹介する有名人物です。
Oxford University Pressからの出版ですから、非常に由緒ある出版社から出たといえます。
Descriptionを読むと、過去のCold Fusionの主要実験や理論が盛り込まれている様子です。
よく出てくるLow-Energy Nuclear Reactions(LENR)という言葉は、Cold Fusionすなわち、常温核融合のそのものの
ことですので、混乱のないようにしてください。
9回目となる常温核融合の研究会JCF9が、2009年3月に静岡で開催されます。次のJCFサイトに出ています。
上のURLを少し繰るとJCF9(CF研究会第9回年会)開催御案内が出てきます。その中の「詳しい情報は、こちら」に
詳細PDFがあります。
日時: 平成21年3月28日(土)〜3月29日(日)
場所: 静岡県産業経済会館-->地図
今度は静岡大学名誉教授で常温核融合研究の第一人者である小島英夫先生のお膝元で行われるわけです。
JR静岡駅から徒歩15分、バス5分ですから交通の便がいいですし、土、日がうれしいところです。
昨年のJCF8は、荒田先生の記念講演もあったりして印象に残るものでしたが、さて今度はどのようことがとび出すの
でしょうか。
詳細PDFに申込書がありますが、直接とびこんで5千円を払っても入れますので、気楽に参加してください。
9/26に行われたTEETシンポジウムに参加された方からお便りがあり、簡単に紹介します。
三菱重工・岩村博士の講演では、従来の核変換実験の紹介と新たに「元素転換でTi(チタン)が検出された」ことに
関して報告があったようです。
岩村さんの核変換実験はCold Fusion分野において世界的に有名で当サイトでも何度も紹介してきたものですが、
簡単に言えば
Cs(原子番号55)からPr(原子番号59)への元素転換と、Sr(原子番号38)からMo(原子番号42)への元素転換
を示した実験であり、何十回とくり返してもほぼ100%再現するというものです。
今回の講演のTiの検出というのは、詳細はわかりませんが、近年の播磨Spring8を使った局所的な分析の結果では
ないかと思います。
そのあたりは、私のICCF12報告文(2005/12/4)を再掲しますので参考にしてください。
**************
これはすなわち、Cs-->Pr, Ba-->Sm, Sr -->Mo という元素転換(現代の錬金術)を実証した画期的なもの であるが、それに対して、今回Spring 8のXRF(蛍光X線)装置を使って新たにわかった結果を紹介された。 サンプル(Pd基材)表面の局所的な部分部分を測定していくと、大量のPr(プラセオジム)に混じって大域的スキャン では見つからなかった La らしきピークが出る場合があるという面白い結果である。基材表面の均一ではない状態を 反映している模様。局所分析はまだわからない点も多くあるようであり、今後さらに実験をすすめていかれる様子である。 *************
今回の講演会ではその他いろいろあったようですが、詳細に書く時間もないので省略します。
北村先生(神戸大学教授)によるICCF14の報告がJCFサイトに掲載されたのでお知らせします。
JCFサイトhttp://dragon.elc.iwate-u.ac.jp/jcf/pubs.html 中の ICCF14 Report (A. Kitamura, Kobe Univ.) (in Japanese) をクリックしてください。pdfレポートが出ます。
直接には、次をクリックしてください。
http://dragon.elc.iwate-u.ac.jp/jcf/file/ICCF14repJCF.pdf
JCF現会長の北村先生は常温核融合の著名な研究者であり、興味深い結果を多く出されています。
北村レポートを見ると、この常温核融合という現象がいかに複雑怪奇な現象であるかがよくわかると思います。
放射線あり、核変換(元素転換)あり、過剰熱発生あり、ヘリウム発生あり・・。
まさに混沌とした状況であるといえるでしょう。
渡久地明(とぐち・あきら)氏が氏の人気ブログで、石油の無機起源説を紹介されたのでお伝えしたい。
2008年9月26日の記事
石油は、プランクトンや恐竜の死骸など有機物からできた!とするのが現代の常識である。しかし、この常識は
本当に正しいのか?
石油の無機起源説というのがじつはあるのだ。
この説は知ってはいたが、あくまでも亜流であると思っていたのだが、渡久地氏のブログを読むと、石油の起源をめぐって
近年、学会の空気が変わってきていることがわかる。石油無機起源説はひそかに気になっていた・・・
ブログで紹介された中島敬史氏の論文「無機起源石油・天然ガスが日本を救う!?」は、有機起源を否定する
証拠を次々に提示していてインパクトが大きいものであった。中島論文は、わかりやすく、非常に面白い。
読むと、石油の有機起源説を否定するような事実が、どんどんと出てきていることがわかり(しかし学会の定説は
有機起源のままだが・・)、こういう状況は常温核融合の世界とそっくりだと感じる。
それにしてもロシアという国は奥深い(常温核融合でもそうだが)、果敢に掘り下げていく。
この件に関して渡久地氏にメールを打ったところ次の返事を頂いたので紹介したい。(氏の了承済み)
*****************************
・・・・
沖縄で、「藻」から石油を採るプロジェクトを起こしたいという話があったの
で、石油を出す藻について調べていたら、ブログで紹介した石油の無機起源説に 行き着きました。 面白いので、とりあえずブログに上げましたが、この話題は数年前からネット上 でかなり話題になっているようで、大量の書き込みがありました。 宇宙物理学者のトーマス・ゴールド(生命宇宙起源説のフレッド・ホイルらと一 緒に定常宇宙論を創始した一人)が最近の無機起源説の中心論者で、03年頃亡 くなっていますが、「地球深層ガス‐新しいエネルギーの創生」(1988年邦 訳)が世界的にインパクトを与えています。 図書館にあったので読みましたが、門外漢が読むと、「何で石油が生物起源だと 思われていたんだろう」と思わせる内容で、これなら無機起源説こそが最も合理 的と判断しました。 基本的には宇宙で炭化水素(メタンどころか芳香族炭素も)が大量に見付かって おり(炭素星というのもあるほどで)、その破片が地球草創期に地球材料として 取り込まれていたというものです。 石油に化石が全然混じっていないこと、石炭は植物の痕跡がところどころ混じっ ているが、全くないものもあるなど、「化石燃料」という言葉そのものがおかし いと分かります。 最近、地球温暖化説にも重大な疑問がつけられていますね。 (たとえば)山口光恒氏のコラム、ナイジェル・ローソンの主張[前編] 英国の元財務相が指摘する温暖化問題への理性的対応 http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/yamaguchi/35/index.shtml (中編までUPされています。コラム子は経済学者で(問題の)気候変動に関す る政府間パネル(IPCC)第3作業部会リードオーサーだったそうです) 無機起源説と地球温暖化説をセットで吟味すると、非常に面白いことになります。 地底からプクプクとわき出ているメタンガスは二酸化炭素の数十倍の温室効果ガ スなのだから、「燃やさなければならない」というのもひとつの結論と思われます。 渡久地明 ********************** 非常に面白い内容であり、「これは!」と思われる視点が随所に散りばめられている。
とくに私の興味を惹いたのは、宇宙で炭化水素が多いという点である。
「宇宙に芳香族炭素が大量に存在している」ことは私も数年前から注目していた。赤方偏移の原因は、それらの物質の
蛍光が関係しているのでは?などと仮説をたてたりしていた。
なぜ炭化水素が宇宙に大量に存在するのか?宇宙論における本質的な問題だと思う。
さらなるメールで
***************
ゴールドの本に、より深く、幅広い有機起源説への疑問と反証、理論が紹介され
ています。中島氏はそれらを踏まえた最新情報を具体的実例と共に提供している と思います。 ************** と、渡久地氏は教えてくださった。ゴールドの本は、今後、重要性を増していくに違いない。私の直観では、無機起源説
が正しいだろうと思う。
そして、中島論文をぜひ読んでいただきたい。
「無機起源石油・天然ガスが日本を救う!? 地球深層ガス説の新展開」
石油の無機起源説は、常温核融合とととも、現代科学における巨大なテーマであるといえるだろう。
中部電力・熊澤孝夫氏らが電力ケーブルの劣化現象”水トリー”をCold Fusion的な視点から研究されていることは
これまで何度も紹介してきた。
熊澤氏は共同研究者の谷口良一氏(大阪府立大学)とともに今年9月に原子力学会(高知工科大学、香美市)で次の
論文を2稿に分けて発表された。今回は氏よりいただいた予稿集の概略を紹介したい。
水トリー発生に伴う放射線の計測 --放射線の精密測定と残留放射線測定--
中部電力(株)電力技術研究所 熊澤孝夫/大阪府立大学放射線センター 谷口良一
ごく簡潔に説明すると、
『宇宙線など自然放射線をできるかぎり排除した環境下で、架橋ポリエチレン(XLPE)で覆った電極試料に、交流電圧
を1000時間加えて水トリーを発生させた(計3回実験)。課電中試料をCdTe検出器他で、課電後の試料をGe検出器で
計測したところ、ともにγ線と思われる応答が観測された。スペクトル解析の結果、そのγ線の起源は鉛とビスマスの
放射線核種によるものであることが確実になった。しかし、それらの核種がどこから発生したのかは不明である。』
このような内容である。
熊澤氏によると、水トリーという現象は、「電力業界では昔から悩まされてきた問題で、送電・配電の技術屋さんなら
知らない人はいない」というほど有名かつ重大な未解決問題であるそうである。
当然ながら、仮説も様々なものが提案されおり、
@絶縁体(架橋ポリエチレン)中の水分が、電界に強い場所(微小突起部や微小異物の周辺)に集まって凝集し、高圧力
のジェット噴流になって絶縁体を破壊しながら進展するのではないか?
とか
Aその凝集した水分が電気分解され数百気圧の水素ガス、酸素ガスが生成し、その圧力で絶縁体を破壊しながら進展
するのでは?
とか、あるいは
B不純物金属イオンの還元作用により架橋ポリエチレンが酸化して進展するのではないか?(化学的なメカニズム)
などなど。
どれももっともらしく見えるが、まだうまく説明できるものはないようである。
熊澤氏らはもっと別の機構が働いているのでは?との推測のもと実験を行った。つまり、
「個体内核反応のエネルギーによって架橋ポリエチレンが一瞬にしてガス化し、内部の気圧が数百気圧の微小ボイドの
集合体ができるのではないか」との仮説をたて今回の実験を行われたのである。
そして、実験中と実験後の試料からγ線が観測され、それは試料由来でない(はずの)鉛とビスマスの放射線核種が
起源となっているという結果を得られた。
論文では「どのような理由でこれらの核種が発生あるいは集積したかについては、明確な説明はできていない」とぼか
して書かれているが、当サイトで熊澤氏らの研究を紹介してきた経緯から氏の頭の中に常温核融合や核変換(元素転換)
現象があることは明白である。
なお、水トリーは肉眼では見えない微視的な構造をしていて顕微鏡でないと観察できないとのこと。それを氏は
「微小ボイドの集合体」と表現されている。電力ケーブル絶縁体中に発生する「多くの微小なぶつぶつ」といったような
ものであろうか。
今回の内容をまとめるにあたり、熊澤氏に多くご教示いただいた。深く感謝したい。
渡久地明(とぐち・あきら)氏が再び氏のブログで「石油の無機起源説」を取り上げられたのでお知らせしたい。
(当サイトも貼っていただき、感謝にたえない)
詳しく解説されている。中でもとくに面白いと感じたのは、次の箇所であった。
*********
もう一つ面白いのは、石油無機起源説を19世紀後半のロシアの科学者メンデレーエフも唱えた。学問の伝統というか
学風のようなものが受け継がれる。100年前からロシアの学者らが無機起源説に基づいて石油を探し、実際に石油を
掘り当てている。2、3日前の夜のニュース番組でやっていたが、ブラジル沖の深海底で世界最大規模の埋蔵量の油田
が見付かったというドキュメントがあった。世界中で、予想外のところから石油が出ている。
********
なんと、メンデレーエフが石油無機起源説を提唱していたとは!
現在ロシアが無機起源説を積極的に主張しているのはこんな過去(伝統)も原因していたのか・・。ロシアは奥深い国だ。
石油や天然ガスのあたりをながめていると、地震は爆発現象だ!と提唱される山本寛氏(技術ジャーナリスト)らの
主張もある種現実味をおびてくるように思われるのである。ものごとはいろいろとつながっている。
今年8月ワシントンD.C.で開催されたICCF14(第14回常温核融合国際会議)のビデオがYouTubeに多数アップされてい
ることがわかったので、その中のいくつかを紹介します。発表と質問のやりとりが映っています。
荒田先生 約5分 http://video.google.com/videoplay?docid=7094878409828061775&hl=ja Yoshiaki Arata and Zhang-Yue Chang - “Solid Fusion” Reactor with Zero Input Energy 水野先生 約18分
http://video.google.com/videoplay?docid=-2822107802690572495&hl=ja
Tadahiko Mizuno and Shigemi Sawada - Heat Generation during Hydrogenation of Carbon (Phenanthrene) 岩村氏(三菱重工) 約5分
http://video.google.com/videoplay?docid=-3641400031471045399&hl=ja
Yasuhiro Iwamura et al. - Transmutation Reactions Induced By D2 Gas Permeation through Pd Complexes (Pd/CaO/Pd)
この中でもやはり注目すべきは水野先生の発表かと思います。タイトルに
「Heat Generation during Hydrogenation of Carbon (Phenanthrene) 」とあり、例のフェナントレンを用いた注目すべき
実験結果を発表されたようです。
なぜ、この実験がそれほどまでに重要なのか、それに関しては先に次で述べているので参考にしてください。
< 水野博士の実験に関して>
その他、YouTube画面の右側にICCF14関連のものが多数アップされているので、他も楽しんでください。
なおICCF14の詳しい報告がJCF会長の北村先生(神戸大)よりなされています。-->< ICCF14レポート>
New Energy Timesのサイトを見ていたら、ICCF14の発表スライドとビデオが載せてあるページを見つけたので紹介
します。
とくに3人の日本人のものを示します。水野氏、岩村氏、Toriyabe氏の3氏のもの。
(Tadahiko Mizuno) - Tadahiko Mizuno and Shigemi Sawada - Heat Generation during Hydrogenation of Carbon
(Phenanthrene)
Yasuhiro Iwamura et al. - Transmutation Reactions Induced By D2 Gas Permeation through Pd Complexes (Pd/CaO/Pd)
(Yu Toriyabe) Yu Toriyabe and Jirohta Kasagi - Development of New Detector System for Charged Particle Emission
水野氏のものは、例のフェナントレンという有機物を用いて過剰熱と核反応を確認した革新的なもの。当サイトでは
岩村氏(三菱重工)は、当サイトで何度も紹介してきたD2透過型実験。核変換(元素転換)を再現性よく実証した超重大
実験。その実験をさらに深めた研究を発表。Spring-8などを用いて試料表面の局所的な解析に力を入れている様子がわ
かる。新しくTi(チタン)が検出された模様。
Toriyabe氏のものは、三菱重工のD2透過型実験においてアルファ粒子を検出したという面白い結果を発表。これまで
の岩村氏らの実験に新視点を加えた重要な結果といえる。
その他荒田先生や高橋先生のものなど多くのものが出ています。ぜひご覧ください。
Haさんからお便りをいただいたので紹介します。
*************
スライドがあったのですね。素晴らしい! 常温核融合はもはや、本当かどうかなんて議論はもはや 過ぎ去り、次なるステージに入っていると感じます。 なんかアウトサイダーらしさが消え、すっかりまっとうな物理に成り下がってますね。(笑) ************* 一つ上のICCF14風景を見られて感想を述べられているわけですが、アウトサイダーですか・・。いまや実験的に
は完全に証明されていますが、理論はむずかしい状況ですね。理論面ではまだまだアウトサイダー的な所があって
それゆえ余計にひかれる面があります。
水野忠彦先生の名著「核変換」(水野忠彦著、工学社)を読み返しています。
以前にも述べましたが、科学にたずさわる人にはぜひ読んでもらいたいものです。これほどまでに科学者としての誇りと
誠実さがにじみ出た書もないでしょう。書をながめているだけでじんじんくる。
常温核融合の世界に踏み込んだための数々の苦労、その中で水野氏は多くの発見をなしとげていく。
超巨大発熱の経験。そして大森唯義(ただよし)博士(北海道大学)の核変換発見のドラマ!この二つはとくに目が釘づけ
になる。水野博士の陰にかくれがちな大森博士こそ、科学史上に残る成果を日本で最初になしとげた人でした。
二人の緊迫したやりとり・・
大森博士、水野博士(他多数)が書いた常温核融合の教科書に「固体内核反応研究 No.1」(工学社)という本が
あります。これも以前、こちらで紹介しました。
第8章「重水の電解による核変換」のとびらに水野氏は次のように書いている。引用します(p.205)。
「電気化学反応で生じた反応生成元素の同位体分布に着目、従来のよく知られた核反応の結果とは明らかに異なる
現象であることを示す。実験では、放射線の発生も放射性物質もほとんど検知できない機構で生成物が得られている。
これは新しい核反応の仕組みを示唆するが、従来の常識や理論では説明困難な特異な核反応であると考えられる。
ここでは、電解によって生ずる種々の生成物について、実験的に明らかになってきたことをまとめる。」
色は杉岡がつけました。
この説明は非常に意味の深いものです。
このように電気分解の実験で、電極に元素転換(核変換)でできたとしか考えられない元素が大量に出現することが
あります。これは水野先生や大森先生以外にも多くのCold Fusion研究者が経験していることで、核変換という核反応
が起こっているのは確実なのですが、しかし不思議なことに、ほとんど放射線を出さない核反応なのです。
それゆえ水野先生は「・・従来の常識や理論では説明困難な特異な核反応」と言っている。
人間がまだつかんでいない(見落としている)”なにか”が隠れているにちがいない??
ケルヴラン。
ケルヴラン(1901-1983)という科学者についても、当サイトでその巨大な足跡を追いました。
生物や植物は体内でいとも簡単に元素転換を行っていることが、過去200年もの間の数々の実験で証明されてきま
した。それを生物学的元素転換または生体内元素転換といいます。そしてそれらを体系的にまとめたのがノーベル賞候補
にもなったルイ・ケルヴランです。
生物学的元素転換では放射線など出ないはずです。もしそんなものが出たら生物は死んでしまいますから!
常温核融合と生物学的元素転換。これらはいったいどんなふうにつながっているのでしょうか・・。
New Energy Timesによると、ICCF15(第15回常温核融合国際会議)は、ローマで開催されることが決まったようです。
ICCMNS-15 The 15th International Conference on Condensed Matter Nuclear Science, Rome, Italy Sept.-Oct., 2009
イタリア開催はこの会議で3度目となり、日本と並ぶことになります。ICCF14のときもやったように、これまでの会議を
まとめておきましょう。
1990 ICCF1 アメリカ/ソルト・レーク・シティ
1991 ICCF2 イタリア/コモ湖
1992 ICCF3 日本/名古屋
1993 ICCF4 アメリカ/ハワイ
1995 ICCF5 モナコ/モンテカルロ
1996 ICCF6 日本/北海道・洞爺湖(とうやこ)
1998 ICCF7 カナダ/バンクーバー
2000 ICCF8 イタリア/レリチ
2002 ICCF9 中国/北京
2003 ICCF10 アメリカ/マサチューセッツ州ケンブリッジ
2004 ICCF11 フランス/マルセイユ
2005 ICCF12 日本/横浜
2007 ICCF13 ロシア/ソチ(黒海沿岸)
2008 ICCF14 アメリカ・ワシントンD.C.
(予定)2009 ICCF15 イタリア、ローマ
予定まで含めると、アメリカ4回、日本とイタリアが3回、中国、ロシア、フランス、カナダ、モナコが各1回となっていて、
これは常温核融合研究者の数をそのまま反映したようなものになっています。
技術ジャーナリスト・山本寛氏の著書「水素プラズマエネルギー革命」(山本寛著、工学社)に常温核融合研究者の
推定数が載っている。2003年8月時点で、アメリカ56人、イタリア31人、日本30人、ロシア22人、中国14人・・とあり
ます。本に「この推定は2003年8月アメリカで開催された第10回常温核融合国際会議で発表された論文をベースに
New Energy TimesのS.クリビッツがまとめたものであり、彼はこの数値は控えめなものだとしている。」とある。
私も控えめな数字だと思います。
ロシアなどはもっと多いかもしれません。
フライシュマン&ポンズ実験で常温核融合が騒がれるよりかなり以前からロシアは核変換など独自のCold Fusion研究
を行っていたことがわかっています。それは水野先生の「核変換」(水野忠彦著、工学社)など読んでもよくわかりますが
(ロシア語で発表されていたようです)、ロシアの実態など誰もよくわからないのではないでしょうか。
ちなみに、山本氏の同書には上の五国以外にイスラエル12人、フランス3人、ウクライナ3人、オーストラリア2人、・・・
となっています(一人は略します)。
インドが入っていませんが、インドがCold Fusion研究を再開することを最近高らかに宣言したので(-->こちら参照)、
今後はインドの研究者が増えてくると予想されます。
話は変わりますが、先日、検索していたら首都大学東京の笹部薫教授のサイトを見つけました。
笹部教授は前回のJCF8(同志社大学にて開催)でも発表されていました。そして先生の研究に対して私もすこし質問を
させてもらったのですが、最近とくに常温核融合(固体内核融合)に力をいれておられるようです。
読者の方より、荒田吉明先生が特許を出願されていると教えてもらったのでお知らせします。
特許庁の公報テキスト検索でその出願内容(公開特許公報)を誰でも見ることができます。クリックして出たページで、
「出願人/権利者」の所に”荒田吉明”、「要約+請求の範囲」で”ナノ粒子”と入力し、「検索」ボタンを押してください。
”ヒット件数1件”と出たら「一覧表示」をクリックします。すると
特開2008-261868
超高密度重水素化ナノ粒子を用いる核融合による多量の発熱及びヘリウムの造出方法並びにその装置
と出願内容が表示される。
さらにクリックして出たページで上方にある「要約、「請求の範囲」、「詳細な説明」、「利用分野」・・等を選択することで
詳しい内容を追うことができます。
発熱のみならず、ヘリウムの製造装置としても位置づけている点がユニークで面白いですね。
読者の夢エナジーさんから、荒田先生とICCF14に関する情報を頂戴しましたのでお知らせします。
ICCF14については10月1日にも記事にしたのですが、海外で荒田吉明氏について報道していたことがわかりました。
についても触れています。ICCF14の反響の大きさがうかがえますね。このpdfには荒田先生の顔写真がトップに出てい
ます。Takayoshi Nohmiという日本人研究者の写真も見えます。まだ若い方です。
夢エナジーさんは、最近、固体内核融合を紹介するHPを開設されました。荒田実験を中心とした内容が詳細にまとめ
られていて、たいへん参考になるサイトです。-->Welcom to Solid Fusion's World !!
先日次のような会社を見つけた。クリックしていただきたい。
セラネットシステムという会社で、一見なんの変哲もない会社に見えるが・・。微生物事業部門のところに、
「重金属類等有害物質の処理技術(特殊微生物を用いた生物学的元素転換処理技術)」とある。
なんと、生物学的元素転換に関する技術を提供しているのである!!
重金属類等有害物質の処理技術のページでは、生物学的元素転換を使った有害金属類の無害化がうたわれている。
これには驚きました。ケルヴランや実験データ、特許のことも記されている。
生物学的元素転換はこれまで主に農業分野で支持されてきたことを知っているが、日本でそれを応用した技術を提供
する会社が存在するとは予想だにしなかった。
「特殊微生物は、自然界から採取された配合株数の割合が好気性菌群約55%・嫌気性菌群約45%からなる
120種類以上の菌類を含む有効微生物群です。」
とあり、この記述から真っ先に思い出したのは、ロシアのヴィソツキー博士のMCT微生物触媒体での元素転換実験である。
共生した微生物群という点で似ているな・・、ムム、これは!
ICCF12(横浜)でもヴィソツキー博士は発表され、私もその講演をきいたが、博士らの画期的な実験に関してはやはり
元素転換を実現している博士は異色の存在であり、ずっと気になりつづけてきた。
ヴィソツキーは、現代においてケルヴランに近いところを行っている研究者の一人であるといえよう。
当サイトの「常温核融合は本当だった!」シリーズでは主に固体物理的な常温核融合を紹介してきたが、それに織り
まぜるように生物学的元素転換も紹介してきた。それは現代科学が見落としてる決定的に重要な「なにか」がここに詰
常温核融合と生物学的元素転換。ともに元素転換が起こる。
この二つは地下水脈で結びついているにちがいない。難問は多角的にみたいものである。
Toさんからお便りをいただいたので紹介します。原発関連の話題です。
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・・・
ところで最近朝日新聞にも載ったトリウムの熔融塩炉も重要だと思います。
日本の場合、プルトニウムを蓄積することは実は安全保障上の巧妙な戦略で(核不拡散の優等生の面をして、 実は潜在的核保有国として抑止力を及ぼす)、それはそれで良いのですが、 同じ安全保障でもエネルギー安全保障の観点および経済上の戦略の点では 日本はトリウム炉も開発すべきと思っています。 将来インドなどに先を越されれば日本の原子力産業が衰退する。 核融合よりは早く確実にまた安価に実用化できますから。 *****
じつは私もトリウム熔融塩炉は気になっていたので、このメールをもらって「やはり注目している人がいるのだ!」と
思った次第です。
かなり以前、『「原発」革命』(古川和男著、文藝春秋)という本でトリウム溶融塩炉のことを調べたことがあります。
トリウム熔融塩炉を使った原子力発電は現在の主流の方法に比べて非常に安全で安定なシステムであることが述べ
られていました。構造もシンプルで、コストもそれほどかからない方式だったと記憶しています。
Toさんもメール文で同じような趣旨を書かれているようです。
(では、なぜこれが流行らずに危険な方法が現在も行われているのか?その事情もたしか述べられていた)
ちなみにトリウム(Th)はウランより2だけ小さい原子番号90をもつ元素のこと。
本を読んだのは非常に前のことで、しかも途中までしか読まなかったので詳細はわすれてしまっています。
これを機会に、もう一度、トリウム原発を調べてみたくなりました。とにかくトリウム熔融塩炉の原発は安全な画期的な
システム(米国での実例も掲載される)として紹介されていて、私はそこに”なにか”を感じました。ここには非常に重要な
ものがある・・。その「なにか」は水野先生の「核変換」(水野忠彦著、工学社)を読んだときに感じたそれに似ている
かもしれません。
関心はあっても心の奥底にしまいこんだまま放っておいたのはなんとも情けない限りですが。とはいえ「気にし続ける」
ことが科学にしろなんにしろ大事なことです。
本の著者・古川和男氏は、日本で強力にトリウム溶融塩炉の必要性を説いてきた人ですが、本の略歴を拾うと
古川和男(ふるかわ・かずお) 1927年、生まれ。
東北大学金属材料研究所助教授・日本原子力研究所主任研究員・東海大学開発技術研究所教授として
「無機液体構造化学」及び「液体金属・熔融塩工学とその核エネルギーへの応用」を手がけ、「トリウム利用構想」
を日・米・仏・露・ベラル−シ等の協力を得てまとめた。現在は、トリウム溶融塩国際フォーラム代表、溶融塩炉熱技術
協会会長。
これを見ると、古川氏がいかにトリウム溶融塩炉の推進にまい進されてきたかがわかろうというものです。
さいごに。
私が古川氏の『「原発」革命』を読もうと思ったのは、高橋昭男(故人)という天才的な技術者がしきりにトリウム溶融
塩炉を喧伝していたからです。氏のサイトにも紹介されていた。高橋氏とはなんどかやりとりしたことがありますが
(氏の名前は過去の本「常温核融合は本当だった!」シリーズにも登場します)、この人はなにか違うなと感じてい
ました。その生きざまと技術力・発想力に畏敬の念をいだいていた。その高橋氏がいうからには、なにかあるに違い
ないと思い関心をもったわけです。
Toさんはまた別の方向から関心をもたれたのではと思いますが。
ぜひみなさんも関心をもってください。トリウム溶融塩炉に関して情報があればまたお送りください。当方からもなにか
わかれば発信していくようにします。
荒田先生の特許に関しては先日こちらで示したが、三菱重工も特許を出願していることがわかったので報告します。
「固体内核反応誘発方法及びその装置」のタイトルで核物理・核工学の分野で出されている。岩村博士らの出願。
なんと1994年の公開出願なので古い。特許が成立したのかどうかまではわからないが。
私は、はじめこれは有名な昨今の岩村博士らの核変換(元素転換)実験と同じだろうと思っていたのだが(当サイトで
何度も紹介)、よく読むと違っている!図がないので詳しくはわならないが、ヒータで加熱して核反応を誘起するものと
なっている。
これを読んで思い出したのは、常温核融合の世界にはじめて真空法という革新的手法をもちこんだ山口栄一博士
(当時NTT、現・同志社大学教授)の実験である。それとどこか似ているのである。
詳しくはその2を見ていただきたいが、山口博士の実験はそれまで溶液の電気分解しかなかったCold Fusionの世界に
新視点を与えた画期的なものであった。山口実験ではHe4の検出が核反応の決定的証拠となったが、この三菱重工の
特許では荷電粒子・X線・γ線・中性子線など放射線の検出に重きを置いている点が違っている。
しかし、本質的な視点からみれば両者は非常に似ている。
山口博士は成果を1993年の名古屋での常温核融合国際会議で発表し、皆を驚倒させた。岩村氏らは山口実験に
様々な改良と工夫を加えて(この公開出願あたりを出発点にして)、現在常温核融合の世界で最も有名な実験・透過型
核変換実験に到達したと推測される。この透過型実験では熱もなにも加えずに普通に重水素を透しているうちに元素
転換(Cs->Pr、Sr->Mo)が起こる!という革命的なものである。--->三菱重工のサイト
Toさんが先日次のようなお便りをくださったので紹介します。
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ケルブランは一度原著が見たいと思っていますが、高価な中古が少し出回っているくらいですね。 特に晩年に物理学との関係を論じたものは、もともとフランス語しかない。 いちおう第二はフラ語だったので、一部分だけでも辞書引きまくりでと思って探しています。 核クラスターという考えが、素粒子論の立場からみて果たして荒唐無稽なものなのか?
一度この道の方に意見を聞いてみたいし、また自分でも確かめてみたいと思います。
岩村さんの論文特に固体物理への寄稿は圧巻ですね、Prが不純物由来でないことも定量的につめてある。重水素の 透過させない試料や軽水素透過の比較対照が万全、おまけにMoの同位体分布が天然と違うなど、控えめな言い方 ながら実験事実は雄弁に元素変換を明確に示している。アクセプトさせるための不可避の努力だっかかもしれないが、 素晴らしい業績ですね。荒田先生のお仕事にもこれくらいの緻密な論文があったらな、、、。 だから比較的低エネルギーの元素変換の存在は確実。とすればケルブランも決して荒唐無稽な話ではない。 現代の高精度の技術によって緻密な検証をするべきはず。 いま世界中でそう思っている英才が確実に何人も居るはずと思います。 岩村さんの仕事は計り知れない歴史的影響を今及ぼしているはずと思います。 *****
私もToさんに同感で、岩村さんらの実験は文句なしの素晴らしい業績だと思います。以前ノーベル賞100個分に相当
すると書いたが誇張でもなんでもありません。またケルヴランに着目されているのはさすがであり、センスのよさを感じ
ます(それは本質的なポイントをすばりとおさえる直感のよさです)。なおToさんが言われる「固体物理への寄稿」は
<「固体物理」誌に掲載された三菱重工・岩村氏の研究>を参照ください。
岩村さんの仕事は計り知れない歴史的影響を今及ぼしているはずと思います。 Toさん
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