マニフェスト(政権公約)を実現する財源を確保するため、鳩山政権が進める09年度補正予算(約14兆円)の見直し作業で2日、各省の回答期限を迎えた。予算額が最大の厚生労働省で削減額は4千数百億円に上り、全省庁の総額は2兆円程度となった模様だ。だが、目標の3兆円には届かず、今後、行政刷新会議で削減額の上積みを目指す。
予算額が3.4兆円と最大の厚生労働省では、天下り団体の「中央職業能力開発協会」に交付されていた緊急人材育成・就職支援基金の7千億円を大幅に減額し、削減額の大半を確保した。
農林水産省では、民主党が「効果が疑わしい」と批判してきた「農地集積加速化基金」の約3千億円を全額回収。削減額は1兆円の予算額のうち4千億円台に達した。
多額の公共事業費を抱え、予算額が2.3兆円の国土交通省では当初、事務方は交付先が決まっていないものを中心に3千億〜4千億円の削減額を想定していた。しかし、政務三役でさらに切り込み、高速道路4車線化の全面凍結などで7千億円以上に上積みして提出したとみられる。
これまでに、国立メディア芸術総合センター(アニメの殿堂)の建設を中止し、「電子黒板」などの普及を図る補助金の減額などで文部科学省が2千億円台▽日本政策投資銀行への出資金の一部を減額した財務省が1千億円超▽総務省も約1千億円――などが固まっていた。
「子ども手当」など、鳩山内閣が10年度から実施する主要政策に必要な財源は7.1兆円。そのうち3兆円程度を補正の見直しで確保する算段だったが、現時点では届いていない。
また、厚生労働省の就職支援基金のように、天下り団体からは取り上げるものの、事業内容自体は雇用対策として来年度以降も必要なものもある。実際に新規財源となるものがどれだけあるかは、今後の精査しだいだ。
鳩山内閣は、予算の「無駄削減」を担う行政刷新会議などで、削減額の上積みや精査を進め、月内には補正の見直しの全容を固めたい考えだ。