飲酒ひき逃げ同乗者にも賠償命令 佐世保の両親の訴え認め福岡地裁
福岡県久留米市で2006年、飲酒運転の車にひき逃げされ死亡した大川智行さん=当時(20)=の佐世保市の両親が、運転手の男性(23)と車所有者の男性の母親、同乗者2人の計4人に対し、計約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、福岡地裁久留米支部であった。
田中哲郎裁判官は、捜査段階で立件されなかった男性の酒気帯び運転や同乗者の救護義務違反を認定。4人に計約2100万円の支払いを命じた。原告側代理人によると、同乗者の救護義務違反を認めることは珍しいという。
判決によると、男性運転手は06年9月、久留米市内の道路でオートバイの自損事故を起こし転倒していた智行さんを車でひいて逃げ、死亡させた。
男性は事故2日後に出頭したため、飲酒運転での立件は見送られ、業務上過失致死罪などで服役した。
田中裁判官は、同乗者の2人に対し「事故の発生を現認ないし確認していた」と指摘。「救護するなど必要な措置を講ずる義務があった」と責任を認定。原告側主張の同乗者2人の「運転制止義務」については「飲酒の事実に気付いていたとは認め難い」と退けた。
智行さんの父、孝行さん(49)は「同乗者の責任を問えたのは進展だが、逃げることが加害者に有利になる現状に憤りを感じる」と話した。
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