ヒョードル出場で恐喝、暴力団員逮捕
03年大みそかに開催された格闘技イベント「イノキボンバイエ」をめぐり、同イベントを日本テレビと共催した興行会社社長男性(38)から現金約2億円を脅し取ろうとしたとして、神奈川、静岡両県警は24日までに指定暴力団山口組系組幹部ら3人を恐喝未遂容疑で逮捕した。同年大みそかは民放3局が格闘技イベントを中継し、視聴率争いを繰り広げた。幹部らは、「PRIDE」に出場するとみられていたエメリヤーエンコ・ヒョードル(29)が、一転してイノキボンバイエに出場した件で「誰のおかげだ」と脅迫したという。
逮捕されたのは、静岡県吉田町、山口組系組幹部坂本和敬容疑者(40)同町、兄で無職の等(45)川崎市、自営業小山文明(35)の3容疑者。両県警は逮捕状を取った別の男の行方も追っている。
調べでは、坂本容疑者らは日本テレビが放送し、アントニオ猪木(63)が総合プロデューサーを務めた「イノキボンバイエ2003(猪木祭)」が開催された03年大みそかの翌日の04年元日、吉田町の居酒屋などで約3時間にわたり、同大会の興行会社社長を脅し、約2億円を要求した疑い。
03年の大みそかは、同大会を含む3つの格闘技興行が開催され、フジテレビが「PRIDEスペシャル男祭り」、TBSが「K−1プレミアム Dynamite!!」を放送。選手引き抜き合戦も過熱し、総合格闘技界最強といわれるロシア人ヒョードルがPRIDEヘビー級王者なのにボンバイエに出場するなどドタバタが続いた。
組員らはヒョードルがボンバイエに出場できたことを引き合いに出し、社長に対し「この件は組織が動いている。誰のおかげでうまくいったと思っているんだ」と脅迫。謝礼として現金を求めたという。
ヒョードル出場をめぐっては大会直前、PRIDE側とボンバイエ側が激しく対立した。ミルコ・クロコップ欠場で目玉がいなくなったボンバイエ側がヒョードル出場を強行発表すると、独占契約を主張するPRIDE側が激怒。いったん両者は和解したが、大会2日前に再びボンバイエ参戦が発表された。
結局、視聴率は曙VSボブ・サップ戦などを中継したTBSが平均19・5%と勝利し、フジテレビは17・2%、日本テレビは5・1%と惨敗した。その後も、ボンバイエの興行会社が日本テレビを相手に、減額された約2億円の契約金支払いを求め提訴するなどトラブルが続いた。
PRIDEを主催するDSEでは「興行会社やテレビ局でどのようになったかは関知していない」、猪木事務所では「詳細については把握していない」、日本テレビでは「放送とは関係ないのでコメントできない」としている。両県警は興行戦争の裏で、暴力団が暗躍していた可能性もあるとみて背後関係を調べる方針。
[2006/2/25/08:44 紙面から]
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