鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の虚偽献金問題をめぐり、団体側が、架空名義とみられる「寄付者」延べ75人分について、総務省に税金控除を申請し、書類の交付を受けていたことがわかった。75人は、05〜07年に交付を受けた寄付者の約3分の2にあたり、虚偽記載として政治資金収支報告書から削除されている。
控除書類の申請状況は、総務省に対する朝日新聞の情報公開請求でわかった。
鳩山首相はこれまで、虚偽の献金者を仕立てた理由について「公設秘書(解任)が個人献金数を多く見せかけるためだった」などと説明している。団体側が、水増しが不自然に見えないよう、架空の税金控除書類の申請という二重の工作をしていた疑いがある。収支報告書の修正後、総務省は交付済みの控除書類が悪用されないように首相側に「適切な対応」を求めたが、5日までに返還などの措置は取られていない。
ただし、こうした控除書類は「寄付者」本人でなければ税金控除申請には使えないため、ただちに税金の不正減額が行われたとはいえない。
鳩山首相は6月の記者会見で05〜08年に虚偽記載が計192件、総額2177万8千円にのぼることを認め、収支報告書を修正している。
政治家の資金管理団体などに寄付した場合、一定の条件を満たせば、税金の控除を受けられる。控除書類は資金管理団体がまとめて総務省に申請して交付を受け、それぞれの寄付者に送付。寄付者は同省の確認印付きの書類を確定申告書に添付し、所得税の控除を受けられる。
朝日新聞が入手した資料によると、「懇話会」は記録の残る03年から5年間、総務省に「寄付金控除のための書類」(控除書類)を申請していた。