視覚障害者が裁判員裁判に関わる際に必要な知識を深めようと、日本網膜色素変性症協会(JRPS)県支部は4日、和歌山市木広町5の市ふれあいセンターで、「裁判員制度について~障害を持つあなたが選ばれたら~」と題した講座を開いた。和歌山弁護士会の裁判員裁判対策本部本部長代行の金原徹雄弁護士(54)が講師を務め、JRPSの会員18人が耳を傾けた。【川平愛】
講演では、金原氏が制度の概要について説明した。その後、証拠写真や被告人の表情はどうやって確認すればよいか▽盲導犬を連れて行けるか▽視覚障害を理由に辞退できるか▽メモが取れない分、録音してもいいのか--などの質問に対し、「証拠写真などの説明は隣に座る陪席裁判官が教えてくれる」などと答えていた。
講演後、有田川町の森本昌明さん(62)は「裁判員をやれる自信がない。選ばれても1人では裁判所に行けないし、被告人の表情を確かめられず、判断を下すことができない」と表情を曇らせた。金原氏は「点字など適切な処置を即座にとれるよう、体制を作っていかなければいけない」と話した。JRPS県支部の山崎浩敬幹事(47)は「裁判員となる際、私たちに必要なことを県支部で話し合い、意見をまとめて裁判所に働きかけたい」と話した。
毎日新聞 2009年10月5日 地方版