例えば欧州には、特養のようなホームの利用金額は所得によって大きく異なるといった例もあります。お金がある人からはたくさん取り、それを原資にして、ホームを作ったり人件費に充てたりすることで、より多くの人がサービスを受けられるようにしているのです。
先進国なら、およそどんな国にも「老人ホーム」のような施設は存在します。そして、日本を除く大抵の先進国では、より多くのご高齢者に利用していただくために、ホームをどう活用するか、利用料金をどう設定するかという「経営」も併せて存在するのです。
なぜでしょうか?実は欧州では1970〜80年代に、経済が落ち込み、財政が悪化しました。厳しい経験をしたことで、公的サービスにおいても優先順位をつけたり限られた資源を有効活用するようになったのです。いわば必要に迫られて税金の支出にも“経営”を取り入れたということになります。
こう考えると、日本経済は、まだ欧州のような厳しい状況を経験していないと言えるのかもしれません。しかし、日本人は優秀ですから、今はダメでも一度落ちれば、立て直すことはできる、私はそう信じています。
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税金の支出にも“経営”が必要
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