政府は5日、10年度予算編成で、景気低迷による税収の落ち込み分を国債の新規発行で補う方向で調整に入った。09年度当初予算では約46兆円の税収を見込んでいたが、企業業績の悪化などを背景に、同年度の税収は6兆円近く落ち込み40兆円前後となり、10年度には40兆円を下回る可能性があると見ている。
鳩山由紀夫首相は衆院選期間中の8月23日、国債発行額について「これ以上増やしたら国家はもたない。当然減らす努力をしなければならない」と述べ、10年度の国債発行額を09年度以下に抑える考えを示していた。
しかし、大幅な税収減が見込まれることから、税収落ち込みに伴う国債発行額について、首相の「公約」とは別枠で扱う方向で軌道修正を図らざるを得なくなった。
民主党は先の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)で、子ども手当、ガソリン税などの暫定税率廃止などの独自政策実現に必要な予算額を10年度分で7・1兆円と明記している。
現在、前の麻生政権が成立させた09年度補正予算の一部執行停止によって、相当程度の財源を捻出(ねんしゅつ)する方針で作業を進めているが、「補正見直し分は、税収落ち込み分にまで回せない」と判断した。
ただ、自公政権下の大型景気対策を受け、今年度の国債発行額は44兆円と過去最高に達しており、これを上回る国債発行額となれば、財政規律の観点から懸念が出ることも想定される。
毎日新聞 2009年10月6日 東京朝刊