足利事件報道で弁護士講演 「マスコミ真実気付かず」新聞社や放送局、出版社などでつくるマスコミ倫理懇談会全国協議会の第53回全国大会を前に、大会開催地の松山市で30日、再審無罪が確実になった足利事件の菅家利和さんの主任弁護人、佐藤博史弁護士が講演した。同事件の報道について「マスコミは権力の手先となって暴走し、無実を求める真実の訴えに気付かなかった。二度と手先にならないで」と述べた。 講演には菅家さんも同席。佐藤弁護士は、菅家さんが容疑者として浮上したとの警察のリークを受けた報道がきっかけとなり、DNA型鑑定の本格導入に復活折衝中だった予算が付いたと指摘。 また、菅家さんが一審公判段階で否認に転じた後、「極刑を恐れて否認したのでは」との記事が掲載された一方で、報道で知った主婦が菅家さんに面会して励ましたことを挙げ、「法廷を傍聴した記者でなく、報道を見た人が真実にたどり着いた。報道機関の目は節穴だということです」と強調した。 足利事件は90年、栃木県足利市で女児=当時(4)=を殺害したとして殺人容疑などで菅家さんが逮捕され、無期懲役が確定。DNA再鑑定の結果、女児の下着に付着した体液と菅家さんのDNA型の不一致が判明し、今年6月に釈放された。 全国大会は1日から2日間の日程で始まり、全体会議の後、分科会に分かれて冤罪や裁判員裁判の報道などを討議する。 【共同通信】
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