季節性インフルエンザワクチンの予防接種が9月下旬から各地の医療機関で始まっている。新型の豚インフルの感染予防には効果がないとされるが、新型インフルに感染する子どもが多いため、予防接種への親たちの関心が高まっているようで、各地の医療機関に予約が殺到している。
10月1日の夕方、千葉市中央区のつばきこどもクリニックを、約80人の親子らが次々と訪れ、ワクチンの接種を受けた。
夫と長男長女の一家4人で接種を受けた橋川妙さん(38)は「夫は電車通勤、私は接客業。長男がぜんそく持ちなので、家族皆でブロックしないと」。同クリニックで予約の受け付けが始まった2週間前の夜、電話がつながりにくく、携帯電話4台でかけ続け、2時間かかって予約にこぎつけたという。
例年なら本格的な流行は12月以降で、幼児への接種に適するのは11月ごろとされる。今年は新型ワクチン接種が控えるため、医療機関も患者側も、混乱を避けるため、季節性のワクチン接種を早く済ませようとする流れが強まっているという。
厚生労働省によると、今年の季節性のワクチンは、新型ワクチン製造のため昨年の8割ほどしか製造されない。大人向けの接種量に換算して約2250万人分。多くの医療機関では納入量の見通しが立たなかったといい、ホームページには「診察券を持つ人限定」「完全予約制です」など、品薄を意識した断り書きが目立つ。既に予約を締め切ったところもある。(熊井洋美)