流通業界大手イオングループ傘下のマックスバリュ東海(本社・静岡県長泉町)が運営する浜松市のスーパーが08年10月〜09年1月、消費期限切れの鮮魚を、日付を改ざんして販売していたことが分かった。正社員である職場チーフ(責任者)の指示で改ざんを繰り返した実態を派遣社員がノートに記録し、退社後に告発した。同社は役員3人や販売に関与した社員ら計11人を降格や減俸などの社内処分にした。
このスーパーは同市南区の「ヤオハン立野店」。派遣社員だった60代男性は在職中、鮮魚売り場のチーフの指示を受けて、消費期限を2日程度、改ざんした。「期限切れのマダイのサク(切り身)を刺し身にして店に出して売った(色の変わったところは捨てて)」などと改ざん販売の内容を、証拠のシールとともに1冊のノートに記録。退職後の6月、ノートを同社に郵送した。
ノートによると、改ざんはブリが中心で約20回に及ぶ。冷蔵庫内で保存したまま消費期限が切れたものを切り身に調理したほか、しゃぶしゃぶ用にして販売。保存用の箱に消費期限が記載されたシールが張られていたが、店頭に並べる際は消費期限を先の日付に書き直した。
ほかにも、蒸しダコをパックから出して消費期限を書き換え、ぶつ切りにしてトレーに入れて売ったほか、期限が来た冷凍エビを水道水で解凍して販売。改ざんの対象となった鮮魚はマグロやメヒカリ、ニギスなど計7品目で、チーフが他店に異動する2月の直前まで続けられたという。
同社の調査に、当時のチーフはノートの内容を認め、「売り上げ目標を重圧に感じていた」と話したという。
同社は7月、浜松市保健所に改ざんを報告したが、ブリのみを「社内基準違反があった」と説明。ほかの鮮魚については「責任者は認めたが、具体的な事案について記憶があいまいで確証が得られなかった」として公表しなかった。同月上旬に店内に張り出した「お詫(わ)びとお知らせ」という紙でも、ブリしか触れていない。