通常、包括契約時に交わす覚書や合意書には、契約期間、双方が履行する義務、契約を解除する場合の条項などが記される。双方の理解のずれや、これに起因するトラブルを回避するほか、取引の透明性を担保する目的もある。会社法でも業務の適正を確保するため、契約書類の保存や管理を要請している。
グループ子会社の幹部は「イベントや広告内容の質に疑義があっても業者を変更することができなかった。契約額が割高になっていた疑念もぬぐえない」と話している。
郵便割引制度悪用事件に絡んで博報堂子会社の幹部が逮捕されたことを受け、日本郵政は今年6月に契約を解除。郵政グループ各社が案件ごとに入札する形に移行した。
日本郵政コーポレート・コミュニケーション部の串馬佐知子グループリーダーは「業務に支障はなく、問題ないと考えている。しかし今後は、この発注方式を採用すべきか否かや、契約書類の作成についても社内で検討したい」としている。
〈原口総務相の話〉 日本郵政に内部監査機能や法令順守への姿勢が欠如している疑いがあり、「かんぽの宿」問題と同様の構図を想起させる。郵政は国民共有の財産であり、契約書類もない不透明な契約で、その財産が棄損されていないか確かめる必要がある。(砂押博雄、鈴木暁子)