政治主導の実現に5原則=民主党マニフェスト
[東京 27日 ロイター] 民主党の鳩山由紀夫代表は27日午後、都内のホテルで総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)を正式発表した。
鳩山政権の政権構想として「官僚丸投げから政治家主導の政治へ」など5つの原則と、首相直属の「国家戦略局」による予算骨格の策定など5つの施策を掲げ、政権交代をめざす。同時に子ども手当や高速道路の無料化などの主要政策の工程表を公表、政権担当する第1期(2010年度─2013年度)4年間の政策と財源を明示した。
鳩山代表は8月の衆院選で政権交代が実現しなかった場合には「(自身が)大きな責任を負うことは言うまでもない」と指摘。マニフェストで掲げた政策が実現できなかった場合には「政治家として責任を取る」と、政権交代と政策実現のための決意と覚悟を強調した。
<「行政刷新会議」で無駄排除>
「政権交代。」と題したマニフェストにおいて、鳩山代表は冒頭、「国民の生活」を最優先に「すべての予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に税金を集中的に使う」と宣言。
5原則・5策を掲げ、具体的な施策として、首相直属の「国家戦略局」の設置による政治主導での予算骨格の策定、「閣僚委員会」を活用し事務次官会議を廃止、「行政刷新会議」の設置による無駄や不正の排除などを明記した。
<「子ども手当」は11年度から満額支給、政策実現財源は16.8兆円>
マニフェストには主要政策の実施時期と財源を記した「工程表」も記載。子ども手当は、2010年度に当初計画(子ども1人あたり月額2万6000円)の半額でスタートし、11年度から満額を実施する。公立高校の実質無償化やガソリン税などの暫定税率の廃止は10年度から実施、高速道路の原則無料化は10年度から段階的に導入し、12年度から完全実施に移行したい考え。農業の戸別所得補償制度は10年度に調査や制度設計などを行い、11年度から実施する。
年金制度改革は、最初の2年間は「消えた年金」問題など年金記録問題に集中的に取り組み、2013年度までに全額消費税を充てる新たな「最低保障年金制度」を決定する。
このほかの政策についても財源を確保しながら順次、実施するとしており、必要な財源は4年目に16.8兆円となる計画。具体的な財源の捻出方法については、一般会計と特別会計の無駄削減などで9.1兆円、いわゆる「霞が関埋蔵金」の活用で5兆円、租税特別措置などの見直しで2.7兆円を見込んでいる。
赤字国債発行による財源確保について直嶋正行政調会長は「財政規律は大切にしたい」とし「極力、赤字国債の発行はしないことが基本」と指摘。消費税引き上げについて鳩山代表はあらためて「4年間は必要ない」と語った。
<郵政株の売却凍結へ、最低賃金「1000円めざす」>
政策の各論には、「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する郵政株式売却凍結法の可及的速やかな成立や、温暖化ガスの排出量を1990年比で2020年までに25%減、2050年までに60%超削減することを目標とすることなどを明記した。最低賃金の引き上げについても「景気状況に配慮しつつ、全国平均時給1000円をめざす」ことを盛り込んだ。
(ロイターニュース 伊藤純夫 吉川裕子)
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