動きだすNTT再編 お手盛り擁護論に警戒感
10月5日23時29分配信 産経新聞
政府・与党は自民党政権時代に平成22年に始めることで合意していたNTT再編論議に関する検討チームを設置し、実質的に前倒しでスタートさせる。当初は、NTTの独占的な立場を弱め、通信業界の競争促進が狙いだった。しかし、政権交代により議論の方向性が変わる可能性がでてきた。検討チームを主導する原口一博総務相と内藤正光総務副大臣はNTT労組とかかわりが深く、通信業界では「お手盛りのNTT擁護論になりかねない」と警戒感を強めている。
KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスの通信3グループは、「情報通信行政の透明性確保及び情報公開実施に関するお願い」と題する要望書を作成。今週中にも原口氏と内藤氏に提出する予定だった。しかし、KDDIが抜けるなど足並みがそろわず結局、提出を見送った。
要望書の内容は、就任以来の正副大臣の発言が「一部の通信事業者の主張と同趣旨とも受け取れる」などと“NTT寄り”を指摘。さらにNTT労組の政治団体「アピール21」から、原口氏や内藤氏が代表を務める民主党総支部への献金や機関誌購入費などの拠出が続いていることなどを列挙した上で、NTT再編論議の透明性を求めている。
通信業界が警戒感を強めているのは原口、内藤両氏の発言が、当初の再編論議と逆行しているからだ。
原口氏は9月17日の閣議後会見で、「企業を切り刻むことを改革とする考え方は(海外と比べて)2周遅れ」と自民党政権時代の路線転換を表明。9月29日の同会見では、「次の時代のドミナント(独占的事業者)ではなくなる」と述べた。
内藤氏も9月24日の就任会見で「18年の政府与党合意は、今の情報通信のマーケットを見た場合、ほんの一部分の議論だ。グーグルやアップル、ノキアなどがコンテンツやサービスの分野で目覚ましく成長している」と述べた。内藤氏は、NTT労組の組織内国会議員として10年の参院選比例代表で初当選し、これまでの「再編は時代錯誤」などと擁護論を打ち上げていた。
NTTの三浦惺(さとし)社長は8月5日の決算会見で、NTT再編論議に触れ、「分けるのがいい、一緒にするのがいいといった組織問題だけを議論するのは決していいことではない」と述べ、その内容は原口氏や内藤氏の発言内容と重なる。
情報通信市場の競争環境はNTT分社後の10年で大きく変化したが、NTTグループは依然、固定電話回線の9割、光サービスの7割、移動体通信の5割のシェアを占めている。
原口氏は9月18日の会見でNTT寄りでは、と質問され「(独占を)是認するようなことを申し上げたことはない」と否定した。新政権には、公平で透明性の高い通信行政の遂行が求められている。(芳賀由明)
【NTT再編論議】 NTTは平成11年に持ち株会社と東日本、西日本、NTTコミュニケーションズに分離された。18年に竹中平蔵総務相(当時)らが競争促進を目的にNTTグループの資本分割を含む組織再編を検討しようとしたが、自民党内の意見調整がつかず、22年に先送りされた。
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通信業界が警戒感を強めているのは原口、内藤両氏の発言が、当初の再編論議と逆行しているからだ。
原口氏は9月17日の閣議後会見で、「企業を切り刻むことを改革とする考え方は(海外と比べて)2周遅れ」と自民党政権時代の路線転換を表明。9月29日の同会見では、「次の時代のドミナント(独占的事業者)ではなくなる」と述べた。
内藤氏も9月24日の就任会見で「18年の政府与党合意は、今の情報通信のマーケットを見た場合、ほんの一部分の議論だ。グーグルやアップル、ノキアなどがコンテンツやサービスの分野で目覚ましく成長している」と述べた。内藤氏は、NTT労組の組織内国会議員として10年の参院選比例代表で初当選し、これまでの「再編は時代錯誤」などと擁護論を打ち上げていた。
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原口氏は9月18日の会見でNTT寄りでは、と質問され「(独占を)是認するようなことを申し上げたことはない」と否定した。新政権には、公平で透明性の高い通信行政の遂行が求められている。(芳賀由明)
【NTT再編論議】 NTTは平成11年に持ち株会社と東日本、西日本、NTTコミュニケーションズに分離された。18年に竹中平蔵総務相(当時)らが競争促進を目的にNTTグループの資本分割を含む組織再編を検討しようとしたが、自民党内の意見調整がつかず、22年に先送りされた。
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最終更新:10月5日23時29分
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