私のおすすめ

CREA 2008/05月号(04月07日発売)

(リピーターがこっそり教えます)まだまだ知らない場所がいっぱい! 秘密の沖縄

沖縄が日本に返還されたのは、1972年5月15日だった。僕が生まれて初めて沖縄の土を踏んだのは、それから僅か10年ばかり経った頃だった。その頃の為替レートは1ドル250円程度だったということもあり、街はアメリカの匂いが強かった事を鮮烈な印象として覚えている。もちろん、今でも、沖縄における米軍基地の占める高い割合と、米軍に依存している経済は続いている。だが、それこそ、今から20年以上も前の沖縄の中のアメリカは、今の比じゃなかった。その中でも、最も記憶に残っているのは、バスの運転手に連れて行ってもらった夜のコザの街並みと、不思議と、対照的だった沖縄ヒルトンホテル。ともに沖縄の真実だった・・・その後も、たびたび沖縄には行く。行く度に変わらない沖縄と変わり行く沖縄を見て来た。ヒルトンもしばらく閉鎖され、時の流れを廃墟となりながら見つめていくようだった。実は、そのヒルトンが、生まれ変わっている。そのホテルが、このCREAに掲載されているのを見て、思わず嬉しくなってしまった。そう、ついつい忘れてしまった時間が思わず甦ったのだ。他にも新しく生まれ変わった場所。沖縄の風土が育んだ歴史に新しい感性がとけあったスポット。そんな魅力的な沖縄が、所狭しと、この雑誌いっぱいに並んでいる。周囲の目を忘れて食い入るように、ページをめくり続けた。女性用の雑誌を買うのは、男性としてはなんとなく抵抗がある。だが、頁をめくり終わった時、その抵抗を超えて「手元に置いておきたい」と思う気持ちを抑えることはできなかった。普通のガイドブックでは手に入らない、宝石のような情報が満載の特集と言えよう。

フォーサイト 2008/03月号(02月16日発売)

北海道洞爺湖サミット「テロ警備」の死角 西村竜郎/北京オリンピック「テロ警備」の緊迫 藤田洋毅

88年のソウル五輪に赴いた時に、会場内を何度も執拗にチェックし、警戒している当局担当者の姿を何度も見た。韓国は、その時、置かれていた立場と得た情報に従っていただけなのだが、僕が目を見張ったその厳しいチェック体制は、今日の世界では、ごく当たり前のものになったように思う。今年の日本のサミットの警備は、沖縄サミットが比較にならないほど、かなり大掛かりなものになるだろう。NYワールドトレードセンター等へのテロ事件以来、国際社会はテロに対する警戒を強めているが、それでも、2005年のイギリスサミット開催時には、ロンドンで同時多発テロが発生。昨年のドイツサミットでは8万人の大規模デモが行われ、大きな混乱に発展した事も記憶に新しい。警視庁も「前回の沖縄サミット時に比べ、脅威は格段に高い」と緊張を強めている。今回のサミットは、メイン会場は北海道であるが、この洞爺湖の警備についても、僕の知人で、ある精鋭組織の隊長を務めた坂本新一氏は「こんなに攻めやすく守りにくい場所は、そうそうない」と、その難しさを指摘する。しかも「外相会議は京都だし、そのほか、新潟・大阪・東京・沖縄等、日本中で会合が開かれる。この警備は空前絶後のものになるだろうが、どこまで出来るのか」と懸念する。既に警視庁は「主戦場は東京である」として、何度もシミュレーションをおこなっているというのだが、それがうまくいっていない事を指摘したのが、今回の「フォーサイト」の記事だ。この記事では、「放射能テロが起きた場合」を想定し行われた図上演習が「大混乱のうちに何も対処できず終わった」事を明らかにし、それから2ヶ月経ったのに、なんら改善が行われていないと厳しく批判する。そのうえ、放射能兵器を使用したテロが、あるものを使えば容易に行えることも示唆しており、「日本の危機管理や、国民保護の体制を実のあるものにする試金石かもしれない」と主張する。この数年、世界中で起きている事件を考えた場合、この記事に書いてあることは絵空事ではないと思うし、ここでこれまでのやり方を変えてきちんとした対処を試みないと、国際社会の常識から遅れたままの警備が続く事になるおそれがあると不安を覚える。是非、一読していただきたい。

ニューズウィーク日本版 01/23日号(01月16日発売)

〈トレンド〉キャバレー再演の幕が上がる

日本で、「キャバレー」というと、どうしても風俗的なイメージを持ちがちだが、欧米では、逆にそういうイメージではないと言えよう。だからこそ、数年前にリバイバル上演された「キャバレー」というミュージカルも日本では、ついついイメージが違った方向に行ってしまっているのが、実にもったいない気がする。もっと違うタイトルが日本上演の際につけられたら、素敵なナンバーもあるし、人気が出たのでないかと思うのだけれど、素敵なナンバーには「キャバレー」というナンバーもあるくらいだから、その試みは難しかっただろう。じゃ、その欧米で言うキャバレーって何だと言えば、そこを特集し記事にしたのが、今号のニューズウィーク。簡単に言えば、「音楽・演劇・喜劇、それに時には政治的な意味合いを合わせたものが、小さくて居心地のいい空間で上演」されるものだとか(記事より引用)で、最近のキャバレーショーの人気は、「i-Podに飽きたから」ばかりでなく、「現代の世界情勢がキャバレーにぴったり」(記事より)になってきたのだろう。そして
、そういった生の表現が、世界中で起き始めているのだとすれば、それはきちんと認識していなきゃいけないと思うのだ。それを、このNewsWeekは気づかせてくれた。実は・・・NYの演劇評論家とジャーナリスト130名で構成されるドラマデスク賞の数少ない日本人審査委員をしているNY在住の友人も、このキャバレーショーを自分で行っているのだ。来月もニューヨークと東京で行う。もっとも、彼のショーに政治的な匂いがどこまで入るかはさっぱりわからないけれど、彼のスタイルのショーも出来るのだから、このキャバレーショーというのは、割と何でもありの表現方法であるのかもしれない。難しく考えず、気楽にキャバレーショーを日本でも行えるようになると面白いと思う。もっとも、それを口実に日本ながらのキャバレーショーに入り浸り、御家族に怒られても私は責任を取りませんので念のため。

サライ 01/17日号(01月04日発売)

【大特集】初心者にも優しい。常連も納得 歌舞伎 サライは、こう観る

僕は、東京都千代田区の学校を卒業している。それこそ、千代田五校と言われた中学校では、今でも続いているかどうかは知らないが、今から思えば、数多くの貴重な体験をさせてもらったものだとしみじみ思う。その一つが、東御苑にある桃華楽堂で雅楽を観せてもらったり、国立劇場へ歌舞伎を観に行ったりしたことだ。不思議と、今でも演目をうっすらと覚えていて、歌舞伎は確か「女殺油地獄」だったように感じる。なぜ、中学生にこの演目と思わないでもないし、もし、違っていたら関係者の皆様には申し訳ないのだが、ただ、何が言いたいのかと言えば、こういったものに、10歳をちょいと越えた、子供に毛が生えた程度でも、幼いうちから触れていれば、観ないよりはよっぽど馴染むし、その後も食わず嫌いにならず、入りやすくなるのは確かではないかと思う。とはいえ、「じゃあ、今でも君は歌舞伎をよく観に行くのかい?」と言われれば、「以前に比べれば、ついつい他の舞台を観に行く事の方が多くなってしまった」と認めざるを得ないが、きっと、どこかで、ふたたび歌舞伎に通うきっかけを待っていたような気もする。というのも、この特集に目を留め、ぱらぱらぱらとめくった時に、何とも言えない懐かしさを感じ、同時に「また観においでよ」と話しかけられたような気になったからだ。別冊の「基本のキ」は、本当に小気味よくまとめられているし、僕にとっては、この特集の中では何よりも、役者の語る一つ一つの言葉に接する度に、その意味がとても重く感じられ、それこそ、芸事の世界に生きる姿勢に、興味をぐいと引き出された。まさに心のこもった特集と言えよう。

週刊文春 12/20日号(12月13日発売)

〈仰天国際スクープ〉日本潜入「中国美人スパイ」が自白した! 彼女の「表の顔」は学芸大学の研究員。昨年から東京で諜報活動をつづけてきた。そして先月、中国公安から「来日中のターゲットに接近せよ」との極秘指令がくだった…

今週の文春には、この記事と別に『〈驚愕新事実〉演習中「中国原潜」に負けていた日米艦隊』という、中国の脅威を感じる記事が掲載されている。どちらを取り上げようか迷ったものの、今回はこちらをとりあげる。というのも、日本人は、中国のスパイ活動に対してあまりにも、認識が低いからだ。2003年に、FBIのモラー長官がアメリカの議会で証言した数字を、皆さんは覚えているだろうか。アメリカには、スパイ活動を行うための中国の偽装会社が3000社以上存在するとしており、他の情報では、数千人のスパイが活動しているとも指摘されている。日本だって同じ状況下にあると思って間違いはないはずだ。中国のスパイ活動の対象は、軍事技術にとどまらず、一般中国企業が関心を有する汎用先端技術から中国人の日本での活動まで多岐にわたる。それはひとえに、スパイ活動の仕方が変わった事で可能となったといえる。その方針とは、「ひとりのスパイを育て上げ、とことん深く情報を集めさせる」よりも、「浅くで構わないから、見聞きした情報を多数の人から吸い上げる」方法に変わったと言われていた。今回のこの文春の記事でも、それが伺える記述が随所に見られる。「留学生は、大使館に一回報告すると5万円もらえる」という自らの証言。公安関係者による「一般の民間人も使って、人海戦術で情報収集活動をしている」などの証言は、どれも明確に中国の情報収集方法の変更を裏付けている。そして、どのようにして、人の弱みに付け込んだりしながらスパイに仕立て上げるかが、この記事では白日の下にさらしている。自殺した総領事館員も、弱みを握られ脅されたのかと思わず想像してしまうような、巧みな接触方法が伺える。是非、この文春の記事を一読される事をお奨めしたい。


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