「中台統一」宣伝から「先端技術」取得まで
在日中国人留学生が暗躍する特務工作に日本の血税1兆円が使われている
(SAPIO 2008年8月6日号掲載) 2008年8月15日(金)配信
「何も知らない日本人大学生の取り込みは簡単」
日中交流が、正常な形で進むことに問題はない。しかし、中国共産党は中国人留学生に対して、「日本の先端科学技術を体得し、帰国するように」という政策を推奨する一方で、日本の公安関係者からは「日本の大学や研究機関が中国へのハイテク技術情報流出の温床にもなっている」と指摘されてきた。
関西の大学に通う留学生、李生賢(仮名)が語る。
「普段、領事館の人とは、日本の技術の話をする。この技術が中国にあるのか、ないのかを話す。そこで、どんな情報が必要なのかが分かる。留学生の中にはハッキングの技術を持ったやつも多いけど、コンピュータのサーバー管理を中国人に任せている大学もあるから、そんな危ない橋を渡る必要もない。研究室のパソコンに入っている未発表の論文データなどはほとんど閲覧、入手可能です」
日本での情報収集は、「やりたい放題」(公安関係者)だといわれる。海外では中国人留学生によるスパイ事件が摘発されており、例えば、米国では海軍が数千万ドルの開発費をかけた新素材の情報が中国人留学生2名によって中国に流れる事件が発覚し(03年)、ベルギーでも、自動車部品メーカーで実習生として研修していた女子中国人留学生がデータベースに違法にアクセスした容疑で逮捕されている(05年)。日本ではスパイ防止法など法的規制がないので事件化しないだけなのだ。
「経済産業省が、日本の『機微情報』と呼ばれる高度技術情報が中国などに流出している実態を問題視し、ようやく対策を議論し始めた。しかし、日本が誇る自動車の金型技術や製鋼技術などは、すでに中国人留学生や研修生によって盗まれ、中国本国に持ち帰られたとみられている。流出ルートの多くは日本の大学や研究機関が舞台で、すでに手遅れとなっている分野も多い」(経産省関係者)
技術情報ばかりではない。中国人留学生たちは日本人の学生たちもオルグ≠オているようだ。関西在住の留学生、鄭勤(仮名)の話。
「日本の学生は何も知らない。例えば京都大学の近辺には光華寮という中華人民共和国と中華民国がその所有権をめぐって激しく争った寮が、いまだに存在しているが、京大生すら何も知らない。しかし、日本の学生は政治には無関心だが、身近な部分で国際的に貢献したいという思いがある。中央統戦部の影響を受けている中国人留学生たちは、チベットや台湾の問題では、それが分裂工作だという理論を徹底的にたたき込まれている。日本人大学生は、我々と議論すると簡単に取り込まれる。台湾留学生よりも簡単です」
もちろんここに登場したさまざまな工作は、中国人留学生の一部が関わっており、一般の中国人留学生は何も知らされないことも多い。一括りにするのはかえって危険だろう。
しかし、中国の戦略意図も分からず無警戒に自らの税金をつぎ込み、中台統一の草刈り場を提供し、技術や情報も取られ放題というのであれば、日本はお人好しにもほどがあるのではないか。
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