「中台統一」宣伝から「先端技術」取得まで
在日中国人留学生が暗躍する特務工作に日本の血税1兆円が使われている
(SAPIO 2008年8月6日号掲載) 2008年8月15日(金)配信
「良い情報を提供すると数万円の謝礼」
中国人留学生に対して、「中台統一」を指導しているのが、「中央統一戦線工作部」(中央統戦部)と呼ばれる中国共産党中央の直属機関である。元来、対国民党工作機関としてつくられたが、97年香港返還の際には、「祖国統一工作」の激しい情報戦を世界各国で繰り広げた。今回のチベット問題でも、中央統戦部の杜青林部長が7月にダライ・ラマの特使と会談し、チベット側の要求を「祖国分裂行動」と断じ、突き放した。
中央統戦部が関わったとされる中国人留学生の組織的な工作≠ェ4月の長野聖火リレーだった。長野市に集結した4000人以上の中国人留学生たちが五星紅旗を振り回したことは記憶に新しい。
東京在住の中国人留学生、李艶(仮名)が打ち明ける。
「中国人留学生のリーダーたちは、聖火リレー前に東京・江東区にある中国大使館教育処別館に出かけ、応援の打ち合わせを行なっていました。中国へ帰国して『帰国報告会』を開いてもらうと党幹部への出世の道も開ける彼らは、中国共産党や中国大使館との関係を密接に保ち、日本の情報を中国大使館や総領事館へ報告したりしている。携帯メールや『服務網』と呼ばれる連絡網で互いに情報交換することもある。日本や台湾関係の良い情報を提供すると、数万円程度の謝礼をもらえると聞いています」
これらの情報には、聖火リレーの際の民主化組織や右翼の抗議行動の詳細なスケジュールが含まれていたという。日常的には「人脈を広め、ありとあらゆる情報をバキュームせよ(吸い上げろ)」と指導されているようで、大学教授、研究者の日中・中台関係に関する論文チェックはもちろん、見聞した要人の特ダネ≠煌ワまれるという。
留学生たちを直接取り仕切っているのは、「全日本中国留学生学友会」と呼ばれる全国組織である。東京大学や大阪大学などの国公立大学から慶應、早稲田などの私立大まで各大学に下部組織を置き、多い大学で約500人、少ないところで数十人規模のメンバーが配されている。
学友会は表向き中国人留学生同士の親睦団体だが、規約を見ると、大使館や総領事館の「指導下」にあることが明記されている。学友会は中国共産党(中央統戦部や友好連絡会)の下部組織として位置づけられているのだ。
特務工作の世界では、政権転覆や政治工作は重要な任務の一つ。中国人留学生が中央統戦部の意向を受けて、台湾独立の動きを封じたり、中台統一の世論を盛り上げたりしているのであれば、彼ら自体がスパイと見なされても仕方がない行為だ。
一方、中国人留学生にとって、そうした工作への協力は出世の梃子であり、自らの身を守る「保険」でもある。日本への入国時に中国大使館に査証登録される彼らにとって、逆らえないシステムになっているのだ。
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