「F1日本GP決勝」(4日、鈴鹿サーキット)
トヨタが意地の2位!2番グリッドからスタートしたトヨタのヤルノ・トゥルーリ(35)=イタリア=がスタートで3位に落ちたが、抜群のピットワークで39周目に再び逆転。日本勢では04年のBARホンダ(ドライバー、ジェンソン・バトン)による3位以来、5年ぶりの日本GPでの表彰台となった。レースはレッドブル・ルノーのセバスチャン・ベッテル(22)=ドイツ=が、ポールトゥウインで今季3勝目。2度目の母国GPだった中嶋一貴(24)(ウィリアムズ・トヨタ)は、15位に終わった。
◇ ◇
悲願の頂点には、届かなかった。しかし、3年ぶりに戻ってきた鈴鹿の地で、最も観客を沸かせたのは紛れもなくトヨタだった。
2番グリッドから発進のトゥルーリだったが、スタートで後れを取り3位に転落。しかし39周目にハイライトが用意されていた。2位争いを繰り広げたハミルトンより1周遅れて2度目のピットイン。ここでチームの底力が示された。新居ディレクターが「戦略が完ぺきだった」と話したように、一瞬のロスもなくピットアウトすると、敢然とハミルトンの前に飛び出した。10万人の観衆からの、この日一番の大歓声に、トヨタのピットクルーからはガッツポーズも飛び出した。トゥルーリが「この結果は、チーム全員が成し遂げたことだ」と話せば、山科チーム代表も「シーズンを通してやってきたチームの功績」と、胸を張った。
ぶざまな姿は見せられなかった。この日は豊田章男トヨタ本社社長(53)も駆け付け、社長就任後初めてレースを観戦。表彰式では満面の笑みでトロフィーを掲げ、帰り際には「準優勝良かったね。本当に良かった」と満足げにうなずいた。世界的不況で継続参戦が危ぶまれる中で、堂々の2位という結果は大きなアピールになったはずだ。
もちろん最大目標である“今季中の初優勝”に向けて、手綱は緩めない。「あと2戦、何とか成し遂げたい」と、新居ディレクター。母国でつかんだ自信とともに、トヨタは夢へと加速する。