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資料3
中央教育審議会大学分科会
留学生部会(第6回) H15.5.2


国費外国人留学生制度の在り方と今後の方向(検討用資料)



1.国費外国人留学生制度の概要

(1) 現在の国費外国人留学生制度の概要

学部レベル>
  1 学部留学生、2 日本語・日本文化研修留学生、3 高等専門学校留学生、
4 専修学校留学生
   
大学院レベル>
  1 研究留学生、2 教員研修留学生、
3 ヤング・リーダーズ・プログラム(YLP)留学生

 
  ※ 詳細は別添資料(国費外国人留学生制度−各プログラム概要−、国費外国人留学生制度の種類及び待遇等(平成15年度)を参照)
   
制度のポイント>
 
1 奨学金、渡日帰国旅費、日本語予備教育、教育機関への配置等について一人一人を大事にした手厚い対応。
2 留学目的に応じた多様なプログラムを用意。
3 研究留学生(大学院レベル)の留学生受入れが約8割。
4 大使館推薦、大学推薦、国内採用の比が、5:4:1程度。
   
(2) 「留学生受入れ10万人計画」での位置付け
 
1 国費留学生は私費留学生受入れの牽引力としての役割。
2 10万人受入れ時において、私費留学生と国費留学生の割合は9:1程度。
   


2.諸外国と我が国の国費留学生制度の比較

(1) 諸外国の国費留学生制度

1 アメリカ(フルブライト奨学金)
資       格: 大学卒以上/年齢:35歳以下/支給期間:12ヶ月間
奨学金等: 往復渡航費、生活費、授業料(大学院留学プログラムのみ【参考:年額3,000〜27,500ドル〔360,000〜3,300,000円〕】)及び家賃、着後雑費、別送荷物経費、家族同伴補助手当、健康障害保険(基本的に全額支給であるが、一部支給の場合あり。)
支給人数: 3,786人(2001年、一部、研究交流やセミナー招待者数を含む。)

2 イギリス(チーヴニング奨学金)
資       格: 大学卒以上/年齢:45歳以下/支給期間:12ヶ月間
奨学金等: 授業料(参考:6,500〜8,000ポンド/1,244,000〜1,531,000円)、往復渡航費、生活費(参考:ロンドンにおける2002/2003年度の月額:696ポンド/133,200円)
支給人数: 2,336人(2002年)(その他各省庁から留学生に対する奨学金をチーヴニングと同数程度支給)

3 フランス(フランス政府給費留学生)
資       格: 修士号取得(見込)以上/年齢:31〜41歳未満/支給期間:原則として9ヶ月、一部24ヶ月
奨学金等: 月額606又は756ユーロ(約79,000円又は99,000円、大学院生)、月額784又は907ユーロ(約103,000円又は119,000円、技術研究生及び研究者)、社会保険、帰国旅費(一部)、授業料は免除
支給人数: 10,156人(2002年)(ごく一部に交換留学生が含まれる。この他、300名程度のエッフェル奨学金支給者あり。)

4 ドイツ(DAAD年間奨学金)
資       格: 大学卒以上/年齢:32歳以下/支給期間:12ヶ月
奨学金等: 月額715〜975ユーロ(約94,000円〜128,000円)、往復渡航費、健康傷害保険、語学研修費
支給人数: 6,226人(2001年)

5 オーストラリア(IPRS)
資       格: 大学卒以上/年齢:制限なし/支給期間:
奨学金等: 授業料(参考:年額10,000〜35,000豪ドル〔約740,000円〜2,590,000円〕)、OSHC(学生保健)   等
支給人数: 300人(2000年)(この他、開発途上国を対象とした奨学金の支給者あり。)
   
(2) 主要国における留学生受入れ状況

1 留学生(受入れ)総数
ア   メ  リ   カ:
547,867人(2000年) 
(昭和58年当時: 311,882人(235,985人増))
イ   ギ  リ  ス:
224,660人(1999年)
(           〃      :
 52,899人(  17,161人増))
ド     イ     ツ:
187,027人(2000年)
(          〃       :
57,421人(129,606人増))
フ   ラ  ン   ス:
140,849人(2000年)
(          〃       :
119,336人(  21,535人増))
オーストラリア:
107,622人(2000年)
(          〃       :
 12,104人(  95,518人増))
日      本      :
  95,550人(2002年)
(          〃       :
    8,116人(  87,434人増))

2 国費留学生(受入れ)数
ア   メ  リ   カ:
3,553人(2000年)
(国費留学生の割合:
留学生総数の0.6%)
イ   ギ  リ  ス:
4,663人(2001年)
(         〃        :
    〃       2.1%)
ド     イ     ツ:
6,233人(2000年)
(         〃        :
〃       3.3%)
フ   ラ  ン   ス:
11,537人(2000年)
(         〃        :
〃       8.2%)
オーストラリア:
3,387人(2000年)
(         〃        :
〃       3.1%)
日      本      :
 9,009人(2002年)
(         〃        :
         〃       9.4%)

  ※ 日本は、留学生全体における国費留学生の比重が圧倒的に大きい。
絶対数でも、米英独等よりも遙かに多い。
フランスの国費留学制度は、国ごとに留学生に対する奨学金等が異なり、支給期間が短い。従って、日本の一定期間、全額負担の国費留学制度とは異なる。
  ( 参 考 )
   ・日本の学習奨励費受給者を国費留学生担当として整理した場合
     日本:19,909人 (国費留学生:9,009人・学習奨励費:10,900人)
国費留学生の割合:留学生総数の20.8%


3 高等教育機関在学者全体における留学生(受入れ)総数の割合
ア   メ  リ   カ:
6.4%(2000年)
(高等教育機関在学者数:
8,582千人)
イ   ギ  リ  ス:
17.8%(2001年)
(           〃             :
 1,260千人)
ド     イ     ツ:
10.4%(2000年)
(           〃             :
1,801千人)
フ   ラ  ン   ス:
 6.7%(2000年)
(           〃             :
 2,090千人)
オーストラリア:
14.8%(2000年)
(           〃             :
726千人)
日      本      :
 2.6%(2002年)
(           〃             :
 3,697千人)


3.制度の在り方と今後の方向の検討

(1) 制度の意義

  国費留学生制度は各国にとって留学生支援の象徴的なものであり、我が国においては、10万人計画にある私費留学生受入れの牽引力としての役割が求められてきた。

(2) 奨学金の金額

1 昭和58年当時:留学生受入れ10万人計画
 
学部レベル125千円、大学院レベル168千円(国費留学生制度が開始された昭和29年当時の奨学金は20千円)
2 現   状
奨学金については、アルバイト等に頼らず、安心して授業に専念できる金額を給付するという観点から、国家公務員の給与所得額を参考に単価を設定。
平成15年度:学部レベル139,200円、大学院レベル180,300円、ヤングリーダーズプログラム(YLP)留学生269,500円
平成14年度:学部レベル142,000円、大学院レベル184,000円、YLP留学生275,000円)

   ( 参 考 )
    ※  私費外国人留学生生活実態調査(平成13年11月)
    財団法人日本国際教育協会が大学等に在籍する5,500人の私費留学生に対し、調査を行う(回収率:43.5%の2,394人)。
  収入・支出は、月額140千円
  調査の結果より、現在の国費留学生の給与は、アルバイト等に頼らず、安心して授業に専念できる妥当な額と考えられる。
3 今後の方向
・引き続き、現在の給付レベルを維持することでよいか。
   
(3) 選考方法

1現   状
   ・ 大使館推薦、大学推薦、国内採用の比が、5:4:1程度
大使館推薦:主に知的国際貢献の観点から重要
大学推薦:主に大学の国際競争力強化の観点から重要
国内採用:主に大学の国際競争力強化の観点から重要

  ( 参 考 )
    ※  国費外国人留学生の募集・選考方法
○ 海外から採用する場合
   ・大使館推薦: 募集対象国の在外公館を通じて募集を行う。
   ・大学推薦   : 我が国の受入れ大学が大学間交流協定等により募集を
行う。
○ 国内から採用する場合
   ・国内採用   : 在日の私費留学生の中から国費留学生に採用。

2今後の方向
   ・ 大使館推薦:国際約束に基づく国の採用枠を確保する必要があるのではないか。
大学推薦:大学の国際競争力を強化するため採用枠を確保する必要があるのではないか。
国内採用:優秀な学生が応募に集中している状況を踏まえ採用枠を確保する必要があるのではないか。
   
(4) 卒業・終了後のフォローアップ
・大学を中心としたフォローアップ体制の一層の充実が必要ではないか。
   
(5) 選考方法等の制度の評価と見直し
実態把握のための調査の実施が必要か。
日本留学試験の活用等の学生募集・選考方法、教育の実施状況、卒業・修了後の状況等のチェック&レビューを行い、国費留学制度の見直しを行う。

<具体的な評価と見直しの内容>

1 募集・選考段階
  優秀な留学生を獲得するため、大使館推薦、大学推薦及び国内採用の推薦方式及び募集選考方法を評価。

2 在学段階
  入学時、予備教育、専門教育、卒業・修了・学位取得状況を評価。

3 卒業・修了後の段階
  卒業・修了後の進路を評価。

4 大学院特別コース
  優秀な留学生を獲得するため、既設コースの国費留学生優先配置を評価。
   
(6) YLPの今後の在り方
1コース及び受入れ大学
<現状>
(平成13年度より)
   ・ 行政コース ・・・ 政策研究大学院大学
ビジネスコース ・・・ 一橋大学大学院国際企業戦略研究科
法律コース ・・・ 九州大学大学院法学府
(平成15年度より)
   ・ 医療行政コース ・・・ 名古屋大学大学院医学系研究科
地方行政コース ・・・ 神戸大学大学院国際協力研究科
   受入れ人数:平成15年度は、5大学合計70名

<今後の方向>
  a.    YLPの既設コースの評価を行い、ある程度の期間(例えば5年) ごとにコースの入替えを柔軟に行えるシステムを検討する必要があるのではないか。
b.    今後の拡充については、基本分野(行政、法律、ビジネス等)を軸に拡充する分野を決め、当該分野において英語による教育実績のある大学等からコースの提案を受け、YLPとして相応しいものか否かについて検討を行い、順次具体化することにしてはどうか。
c. 受入れ人数は、当面100名程度を目途に順次拡大することにしてはどうか。

2選考方法
<現状>
  a. 募集方法
  対象国の推薦機関(別紙参照)を通じて実施
  推薦機関の指定に当たっては、在外公館等の意見を踏まえつつ検討している。
b. 選考手順
推薦機関による候補者の募集・選考・推薦
受入れ大学による第1次選考
文部科学省に設置するヤング・リーダーズ・プログラム推進協議会による第2次選考及び候補者決定

<今後の方向>
       募集方法については、対象国の国別事情等に応じて、公募による募集を行う方向で検討すべきではないか。また、引き続き推薦機関による募集を行う場合にあっては、対象国の国別事情等を慎重に考慮の上、推薦機関の追加及び変更も行うことにしてはどうか。
   
(7) 全体的な今後の方向
国費留学生制度は引き続き着実に推進することとし、充実を図る必要があるのでないか。




国費外国人留学生制度−各プログラム概要−


1.   学部留学生(昭和29年度創設:学部レベル)
   大学学部4年制に学ぶ留学生。大学に進学前に、日本において1年間の日本語を 中心とした予備教育(東京外国語大学、大阪外国語大学の留学生日本語教育センターで実施)を受講後、大学学部に進学。留学期間は5年間。

2.   研究留学生(昭和29年度創設:大学院レベル)
    自国の大学を卒業した者を対象に、日本の大学院において教育・研究指導を受ける留学生で、国費留学生制度による留学生受入れの約8割を占める。渡日後6ヶ月間の日本語予備教育を受講後、大学院研究科において専門教育を受ける。留学期間は原則として2年以内だが、学位取得のため希望があれば所定の審査を経た上で、留学期間を延長することが可能。

3.   ヤング・リーダーズ・プログラム留学生(平成13年度創設:大学院レベル)
   アジア諸国等の将来のナショナル・リーダーとして活躍が期待される若手の行政官等を我が国に招へいし、日本に対する理解を深めることを通じて、世界各国の指導者等の人的・知的ネットワークを創り、我が国を含む諸国間の友好関係の構築、政策立案機能の向上に寄与することを目的。専攻分野は、行政、ビジネス、法律の3コース。すべて英語による1年間のプログラム。受入れ大学より「修士」を授与。

4.   日本語・日本文化研修留学生(昭和54年度創設:学部レベル)
   自国の大学において、日本語、日本文化に関する分野を専攻する学部学生を対象に、日本での研修の機会を提供することを目的。研修プログラムは、教員研究留学生と同様に、大学が提供する1年間のプログラムに従って教育指導を受ける。研修期間は1年間。

5.   教員研修留学生(昭和55年度創設:大学院レベル)
   海外の初等中等教育機関の現職教員等を対象として、我が国の教員養成系大学で研修を行う。この制度の留学生は、上述の研究留学生と同様、渡日後6ヶ月間の日本語予備教育を受講し、その後、大学が提供する1年間の研修プログラムに従って教育指導を受ける。留学期間は、予備教育を含め1年6ヶ月間。

6.   高等専門学校留学生(昭和57年度創設:学部レベル)
各国における中堅技術者の育成に協力することを目的とし、高等専門学校において教育指導を行う。この制度の留学生は、1年間の日本語を中心とした予備教育を受講後、高等専門学校の3年次に編入学する。留学期間は4年間。

7・   専修学校留学生 (昭和57年度創設:学部レベル)
   生活に密着した技能や専門的技術を修得するため、専修学校において教育指導を行う。高等専門学校留学生と同様に、1年間の日本語を中心とした予備教育を受講後、専修学校の専門課程において2年間の教育指導を受ける。留学期間は3年間。



○国費外国人留学生の種類及び待遇等(PDF13KB)



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