巨人−中日 ファーム日本一を決め、試合後ナインに胴上げされる井上
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若竜がやった! 2軍の日本一を決めるファーム日本選手権が3日、富山市民球場で行われ、中日が2−0で巨人を破り、2年ぶり5度目の王座に就いた。最優秀選手は好救援の鈴木だが、匹敵する快投を披露したのがルーキー伊藤準規投手(18)=岐阜城北高。大一番の先発に応え、6回途中まで巨人の2軍を無失点に抑えた。光り輝く新星はクライマックスシリーズ(CS)でも“秘密兵器”になりそうな予感。次は1軍を料理してくれ!
18歳の若武者が大舞台で潜在能力の高さを見せつけた。
日本一の瞬間、伊藤は先輩たちからの祝福のハイタッチ攻めにひたすら照れ笑いを浮かべていた。「うれしいです。攻めること、強気で投げることを考えていました」。端正な顔に喜びがあふれた。
1回、いきなり無死一、二塁のピンチを背負ったものの、同じ高卒ルーキーの3番大田を空振り三振に仕留めて落ち着きを取り戻す。後続も抑えてピンチを脱すと、2回以降は被安打わずかに1。プロ入り後に磨きをかけた宝刀のフォークを武器に、次々と三振を奪った。
1回裏無死一、二塁、大田から三振を奪う伊藤=富山市民球場で(小嶋明彦撮影)
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プロ最長の6イニング目に入ったところで「疲れが出た」。3四死球を出してマウンドを降りたが、辻2軍監督は「若さと勢いに期待していた。大したものだ。期待以上のピッチングをしてくれた」と褒めちぎった。
おしゃれに気を使い、合宿所にはギターを持ち込んだ18歳。ひとたびマウンドに上がれば、新人らしからぬ強心臓ぶりを見せつける。9月9日に行われた茨城ゴールデンゴールズとの交流戦では、初体験の2万人近い大観衆の前での投球を「今までとは違う雰囲気で楽しかった」と言い切った。1軍で初マウンドを踏んだ30日の巨人戦(ナゴヤドーム)では1イニングを無安打無失点。並のルーキーなら縮み上がる場面で、逆に真価を発揮するのだから頼もしい。
6日からは宮崎で行われる秋季教育リーグのフェニックス・リーグに参戦する予定。「こういう試合で投げられたことを勉強に、さらにステップアップしていきたい。クライマックスで投げたいという気持ちもあります」。1軍が優勝を奪われた巨人を相手に、2軍の頂上決戦で“お返し”の快投。
エースナンバー「18」を背負う若き右腕には、CSで野球ファンを驚かせるだけの可能性すら秘められている。 (木村尚公)
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