チーム医療の推進で議論―厚労省検討会
厚生労働省は10月5日、「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東大大学院教授)の第2回会合を開き、国立国際医療センターの桐野高明総長、近大姫路大の南裕子学長からヒアリングを行った後、委員らが意見交換した。
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ヒアリングではまず桐野氏が、「医師のマンパワーとチーム医療」と題してチーム医療の必要性を説明。医師を増やすことで数や地域偏在の問題が解決するという考え方は「単純過ぎる」と指摘した上で、▽患者の権利を尊重するという基本は今後、縮小することはあり得ない▽増大してきた医師の業務をすべて医師だけで将来的に担おうとする考え方は非現実的―などとして、さまざまな職種とのチームワークによってのみ、高いレベルの医療が維持できると強調した。
続いて南氏は、「チーム医療における看護師等の役割―世界的動向からの概観」と題して、キュアとケアの統合など「21世紀に向けての医療の考え方」を示したほか、専門分化が進む看護基礎教育の世界的な動向を紹介した。
意見交換では、桐野氏がヒアリングの中で、患者や家族への説明も医師が役割分担できる業務だとの考えを示したことに対して、川嶋みどり委員(日本赤十字看護大教授)が「先生が『大丈夫ですよ』と説明してくださることが患者にとっての救い。手術する人の顔も見えず、結果を説明してくれるのが別の人というのがチーム医療だったら、これは違うのではないか」と疑問を呈した。
これに対し、永井座長は「医師がすべて完璧にやっていくとうまく動かなくなるので、システムをどうするのかという議論をしている」と述べた。また島崎謙治委員(政策研究大院教授)は、医師のほかに医行為を行う担い手について、「一定のアドバンスドナースのような資格をつくって特別な場合に認めていくのか、それとも(看護師)全体を底上げするのか。システム論として考えるなら、そういうことを議論しないといけない」と指摘した。
このほか、山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)は、チーム医療を考えるに当たって諸外国との比較が十分にできていないとして、WHO(世界保健機関)の基準や海外の実態について学ぶ必要性を示した。
次回会合は13日に開催される予定。
更新:2009/10/05 22:44 キャリアブレイン
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