戦国時代のコンテンツが集う、恒例“太秦戦国祭り”でカプコン小林プロデューサーが『戦国BASARA3』の制作秘話を語る
●ゲーム作品も充実、戦国時代のコンテンツをお披露目
2009年10月3、4日の両日、京都太秦の“東映太秦映画村”にて“太秦戦国祭り”が行なわれた。“太秦戦国祭り”は、戦国時代を中心とする歴史創作コンテンツのクロスメディア表現を一般に広く鑑賞、体験してもらおうという取り組みで、2007年3月に1回目がスタートしてから今回で4回目(1回目、2回目、3回目)。時代劇撮影所としておなじみの“東映太秦映画村”を舞台に、戦国時代をテーマにしたシンポジウムあり、各企業のブース出展ありと、戦国時代ファンには堪らない催しとなっている。コスプレイヤーが自由に参加できるのも“太秦戦国祭り”の特徴で、時代劇のセットをバックにコスプレイヤーさんが闊歩するさまは、まさに“異空間”に飛び込んだかのよう。そんな雰囲気が支持されてか、イベントも回を追うごとに人気を博しているようで、敷地内は戦国ファンで溢れかえっていた。「着実に定着しているようです」とは、イベントを主催する太秦戦国祭り実行委員長である立命館大学
映像学部の中村彰憲准教授の言葉だ。
戦国時代とゲーム作品との親和性も高く、『戦国BASARA』シリーズや『戦国無双』シリーズなどが昨今の戦国時代ブームを盛り上げているのはごぞんじのとおり。今回の“太秦戦国祭り”でも、数多くのゲーム関連コンテンツがお披露目された。ここでは、そんな“太秦戦国祭り”のなかでも、とくに注目を集めた3つのイベント、“『戦国無双』トークショー”と、“『戦国BASARA3』トークショー”、そして『戦国BASARA』シリーズの小林裕幸氏などが参加してのディスカッション“戦国コンテンツアカデミックラウンドテーブル”の模様をお届けしよう。
●“『戦国無双』トークショー”では声優さんがバラエティーCDの楽曲を熱唱
シリーズ最新作のWii用ソフト『戦国無双3』の発売日を2009年11月19日に控え、ますます盛り上がる『戦国無双』シリーズだが、バラエティーCD『戦国無双
百花饗宴』の発売を記念して行なわれたのが“『戦国無双』トークショー”だ。イベントには出演声優のふたり、真田幸村役の草尾毅と石田三成役の竹本英史が登場。『戦国無双』をテーマにトークをくり広げた。まず戦国時代の印象を聞かれたふたりは、「戦国時代と言えば、やはり侍。とはいえ時代を形作る中身はそんなに変わらないと思うので、感覚としては、いまの人間とそんなに変わらないということを前提として幸村を演じています」(草尾)、「日常的に生命のやりとりがあったのはすごい。なかなか想像がつかないですね」(竹本)と返答。おつぎに、「自分が戦国時代にいたら何をしているか?」と問われると、草尾が「ふつうの庶民として畑でも耕していたい。侍は毎日殺し合いでたいへんそうだから」と答えたのに対し、竹本は「海賊」ときっぱり、理由は「その頃は日本がいちばん世界に出ていた時期。何もわからない中で世界に出て行くときめき感を味わいたい」(竹本)とのことだ。『戦国無双3』でそれぞれの役柄を演じるにあたって心掛けた点は、「幸村はまっすぐ前をみていて、よそ見をしないキャラ。突き進んでいく性格を大事にして戦国時代を爽やかに生きるさまを見ていただけたらいいなと思いながら演じました」(草尾)、「三成はふだんなるべく冷たいところを出しつつも、心を通わせるキャラに対しては暖かいところを出すようにしています。熱さとクールさをどういう配分で出すかに苦労しました」(竹本)とのこと。トークショーでは、草尾毅が『戦国無双2』をやるまで幸村が主人公とは知らなかったという衝撃のエピソードを暴露。『1』が発売されたあとで、何人ものまわりの人から「幸村役よかったね!」と言われ、戸惑ったそうだ。
ふたりのトークのあとは、“幸村vs三成
戦国武将決戦”として、草尾と竹本がクイズ対決。こちらは、戦国時代に関する問題に対してふたりが○×で答えていくという内容。「戦国時代のことはあまり詳しくない」と断言する草尾に対して、竹本は戦国時代がけっこう好きとのことで、竹本の楽勝になるかと思われたが、草尾が奇跡的なカンのよさを発揮して接戦に。最後は同点でジャンケン勝負となり、竹本が辛くも勝利していた。
おつぎは、イベントのメインとなる、バラエティーCD『戦国無双
百花饗宴』の紹介コーナー。収録時の感想を問われたふたりは、草尾が「ゲームのアフレコは単独なのですが、ドラマCDは、竹本くんと直江兼続役の高塚正也くんと3人での掛け合いだったので、やりがいがありました。呼吸があったりあわなかったりで、難しくもありましたけど(笑)。また、やりたいです」と答えれば、それを補足する形で竹本が、「3人のキャラは“間”がぜんぜん違うので苦労しました。幸村と兼続の間は合っているのですが、三成はひとりでずれるので、やりながら“これでいいのか?”という感じでした。それが新鮮でもありましたけど」と収録時の苦労話を披露した。そして来場者への何よりのプレゼントは、草尾と竹本が、会場でキャラクターソング“仰ぎて天に愧じず”を披露したこと。「とくかく曲が難しい」と口を揃えるふたり。本来は、草尾、竹本、高塚の3人で歌う曲だが、残念ながら高塚は今回欠席ということで、「3人いっしょじゃないと歌えない」(草尾)と言いつつも、高塚の歌声が入っていたカラオケにあわせて熱唱。気持ちよさそうに歌うふたりに会場からは大きな歓声が沸いていた。
●最新情報が明らかに、“『戦国BASARA3』トークショー”
“太秦戦国祭り”でおなじみの存在といえば、カプコンの小林裕幸プロデューサー。今回は、“『戦国BASARA3』トークショー”で、自身がプロデュースを務める最新作Wii、プレイステーション3用ソフト『戦国BASARA3』の紹介を行なった。ゲストとして登壇したのは、『戦国BASARA3』の主人公、徳川家康を演じる声優の大川透。前作までの少年役から、『3』では青年へと成長した家康。役作りの難しさを問われた大川は「前作までとまるっきり違うキャラというわけにもいかないので、どこか家康らしい部分が出せないかなと苦労しました。脚本は、家康が紆余曲折ありながらも、しっかりと成長したことがうかがえるセリフになっているので、あたって砕けろくらいの気持ちで演じました」(大川)とのこと。小林プロデューサーによると、家康のセリフは相当ボリュームがあるので何回も収録したそうだ。
イベントでは、『戦国BASARA3』でオープニングテーマ“Naked
arms”を担当するT.M.Revolutionこと西川貴教がビデオ出演。1作目の『戦国BASARA』の主題歌などを担当し、シリーズに激しい思い入れを持つ西川は「この関係性を手放すつもりはありません!」ときっぱりと明言。「日本を代表するゲームとして突き抜けてほしいですし、それを自分たちの力で掴み取っていくんだという気持ちで、今回の主題歌には『Naked
arms』というタイトルをつけました」と、『戦国BASARA3』 にエールを送った。
その後イベントは、最新プレイ映像を交えつつ『戦国BASARA3』の概要が紹介された。「史実を作ろう」(小林)との思いのもとに制作された『戦国BASARA3』のキーワードはずばり“関ヶ原”。家康が豊臣秀吉を倒すところから物語はスタートし、家康と三成の関係を軸に、関ヶ原の戦いに突入していくさまが描かれることになる。武器を捨てて拳で戦うことになる家康だが、一方の三成は刀による居合い斬りを駆使する。「復讐の鬼と化して、家康を倒すべく戦う三成ですが、『戦国BASARA』シリーズ史上最速のキャラです。かっこいいし、すばやいですよ」(小林)とのこと。ちなみに発表されたばかりの新キャラ三成は、「(ファンの方は)髪型が気になるみたいですね(笑)」と言いつつも、すでに前人気も相当高いようで、小林氏もひと安心の様子。自身は東京ゲームショウ2009で、もうひとりの主人公
“家康を応援します宣言”をしたそうだ。
もちろん『戦国BASARA3』では、ファンに大人気のシリーズキャラ、伊達政宗と真田幸村も登場する。ところが、ふたりの扱いは前作までとは微妙に異なるようで、「いままでふたりともイケイケキャラだったのですが、今回は少し地べたを這いずり回ってもらおうと思っています。まあ、獅子がかわいい子を谷に突き落とすようなものですね(笑)」と小林氏が発言すると、会場からは悲鳴にも似たどよめきが。どうやら、伊達政宗は、ゲームの冒頭で石田三成に腕一本でひねられてしまうというのだ。「見たことのない政宗を見てほしい」と小林氏が発言すれば、大川も「アニメでもまっすぐに突っ走っていたので、たまにはいいんじゃないですかね(笑)」とのことだ。一方の幸村は、病に臥せった信玄の変わりに、武田家の総大将として登場するが、いろいろと苦労が耐えないようだ。
小林氏と大川のトークで盛り上がったあとは、“関ヶ原の戦いマッチングクイズ”が行なわれた。これは、出題に対する大川の答えを来場者が予想していくという内容。問題は2択もしくは3択形式で出題され、最後まで残っていた方には豪華景品がプレゼントされた。問題は、「大川さんは、読売ジャイアンツファンか、阪神タイガーズファンか?」や、「大川さんが仕えるとしたら、家康か、三成か?」といった、まさに大川しか答えを知らないものばかり。大川が正解を答えるたびに来場者は一喜一憂しており、熱心な『戦国BASARA』シリーズとのつながりを実感させるひとコマだった。
イベントは、「『3』で主役と言われてびっくりしました。ゲームが発売されたら、真っ先に天下を平定します!」(大川)「これからも『戦国BASARA3』をどんどん盛り上げていきます。まずは10月中旬に新キャラを発表するつもりです。発売は2010年になりますが、首を長くして待っていてください」(小林)とのコメントで幕を閉じた。2010年にはアニメの第二期がスタートすることも決定しており、2010年に向けて『戦国BASARA』シリーズはますます盛り上がりそうだ。
●戦国コンテンツの可能性を探る、“戦国コンテンツアカデミックラウンドテーブル”
“太秦戦国祭り”のフィナーレを飾るイベントとして行われたのが、“戦国コンテンツアカデミックラウンドテーブル”で、戦国コンテンツを世に送り出しているゲストが登壇して、戦国時代に対してディスカッションを展開した。登壇したのは、NHK大河ドラマ『天地人』の制作統括を担当する内藤愼介氏、映画『火天の城』の監督を務める田中光敏氏、『戦国BASARA』シリーズのプロデューサーであるカプコンの小林浩幸氏、そして週刊コミックバンチにて連載中のマンガ『義風堂々!!直江兼続‐前田慶次月語り‐』の原作者にしてコアミックス代表取締役社長の堀江信彦氏の4名だ(写真右から)。
ラウンドテーブルは、まずは4人がそれぞれ自分の関わっている戦国コンテンツを紹介。小林氏は、『戦国BASARA』シリーズを作った理由を「日本人にとって、戦国時代のエンターテインメントが身近に楽しめて、誰でも共感が持てるというところが、戦国もののアクションゲームを作ろうというきっかけになりました。戦国時代に出てくる武将は生き様がかっこいい。1日1日生きるか死ぬかの戦いの中で生きているのですが、そんな魅力的なキャラがゲーム向けにできるのではないかと思いました」と説明した。そのうえで、『戦国BASRA』には3つの大きなコンセプトを設けたと説明。(1)戦国時代、(2)敷居が低く誰でも楽しめる作品にしたい(簡単な操作で爽快アクションを実現)、(3)戦国時代の個性的な人たちをゲームとして個性的なキャラにする、の3つだ。キャラ作りにしては、誰でもわかるようにカラーリングを差別化したり、シルエットでどのキャラがわかるようにしているとのことだ。「『戦国BASARA』では東西の戦国武将をピックアップして、ゲームというエンターテインメントに仕上げています。けっしてふざけているわけではなくて、史実をもとにして、エンターテインメントとしてどうしようということで作っています。僕ら(ゲームメーカー)だからこそできるということで、けっこう柔軟な発想でやらせてもらっています」(小林)と説明した。『戦国BASARA』は、年々人気が高まっているが、ゲームソフトだとどんなにスタッフががんばっても1年に1作がせいぜい。それでアニメやグッズ展開などで『戦国BASARA』シリーズを盛り上げているとのこと。そして「まだ何も実現できていませんが」と前置きしたうえで、今後は映画もやってみたいとの希望を明らかにした。
各コンテンツの紹介のあとは、司会役の中村彰憲氏の質問に対して4人がそれぞれ答えていくという形式でディスカッションが行われた。興味深かったのは、「戦国時代や武将の魅力は世界の人たちに伝えることができるか?」という質問に対する答え。小林氏によると『戦国BASARA』シリーズは『3』で初めて世界に本格進出を果たすそうで、ただいまローカライズ作業に入っているという。名前はオリジナルのままで、ちゃんとした日本の歴史として海外に出すとのことだ。最後に小林氏は「ゲームというところを大事にしつつ、ゲームでどうやって戦国ものを楽しめるかというところをベースにやりながら、さまざまな展開があるのですが、それぞれの土壌をわきまえたうえで、やっていきたいと思います。今後は海外のローカライズがあるのですが、苦労してやっているのですが、新しいおもしろさが出ているので、海外挑戦をしつつ、日本でもより多くの方に『戦国BASARA』を知ってもらうためにがんばっていきたいと思います」と語った。
“太秦戦国祭り”などの取り組みにより、今後ますます戦国コンテンツが充実していくことを期待したい。
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