中川昭一  Shoichi Nakagawa

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2007.10.15

ハッとする絵を見てきました(10月12日)

今日、画展に行ってきたので柄にもなく、恥ずかしながら絵について。

そもそも、絵、音楽、図工等、3次元又は芸術系は子供の頃全く興味がなかった。授業が嫌いなのに、母親は絵やピアノやバイオリンを習わせたが、当然ながら数回もしくは長くても数ヶ月で全部やめた。今考えると先生が賢明にも「この子を教えても無駄だ」と母に言って、先方から断ったのだと思う。
 ところが、突然絵に接する楽しみを知ったのは、数十年前にロンドンでサラリーマン時代の友人に、「又、大英博物館に行きたい」と言ったのに、ナショナル・ギャラリーへ連れて行かれたおかげ。
 たくさんの名画を見ながら、「ふーん」程度で見進んでいったが、一枚の絵の前でハッとしてしばらく見続けた。
5枚のコピーとギャラリーの解説本を買い、家に貼ったが、家族全員に「気持ち悪い」と言われた。確かに夜中トイレに行くのに、電気をつけてギョッとしたこともあった。(決して変態な絵ではない)
解説本には「イギリスの歴史を描いた作品だが、芸術性は低い」とあった。
Lady Janeという絵だが、ハッとした理由は省略。以来、美術館、美術展巡りが趣味になった。興味深い解説をしてくれる人がいたら最高だ。先週も  パリでオルセーにまたまた行った。
 確かに、ダヴィンチもコレッジョもブリューゲルもルーベンスもバジール等の印象派も勿論素晴らしいと思う。しかし、私がハッとするのは若干マイナーかもしれないが、マグリッド(ベルギー)とエドワード・ホッパー(アメリカ)。いずれも20世紀の、直線的で皮肉な画風。脳を刺激する。

 今日見てきたのは、池口史子展(東京・高島屋)。1年程前、知り合いのお宅で初めて見た。芸術館の様な家で、内外の名画が並んでいるが、広大な居間に見事に調和した大きな絵にハッとした。「どなたの絵ですか?」「池口史子さんです」「知りません」「堺屋太一さんの奥さんです」妻もこの作品を気に入った。翌日、堺屋さんにお電話すると、すぐに池口さんの画集を送っていただいた。
 池口さんの対象は3つに区別される。そして画風は各々明らかに異なる。①少し濃厚な花。②きゃしゃでどこか日本的な白人女性。③人気(ひとけ)のない風景画。ピカソは時代(付き合う女性?)と共に画風が変わったというが、池口さんは同時並行で3つの画風を持つ。
 その後、池口さんの個展で初めて絵を買った。後のトラブルを恐れ、妻も一緒。予算の都合と我々の好みが見事に一致した。理由は、妻は「冷たい夕日の風景」。私は「暖かい朝日の風景」。まあ、どっちでもいい。本日池口さん
に伺うと、「夕日、暖かさと冷たさの両方」
 ③のこだわりは、非曲線的で町の風景でも人がいない。窓や車があるから、どこかに人がいるのかなとは思う。黄色っぽい雰囲気はちょっと酸っぱい感じ。低いところからの日の光。どこかで見た景色(例えば北海道の田舎)。でも、やっぱり違う(デジャビュ)。季節は冬、或いは冬一歩手前。ほっとする又は少し不安。
 池口さんに伺った。「大変失礼ですが、E.ホッパーに似ていますが」「ホッパーを知る前からこういう絵ですが、その後意識しました」「一見、平面的ですが」「遠方程、はっきり描きます。遠近法の逆です

 40作品を見る時間は30分しかなかった。ルーブルの様に床に座ってじっくり見ることができたのに。そして究極の解説者がいたのに。残念至極。失礼至極。
池口史子展は、この後、大阪、名古屋、京都、横浜の高島屋で展示される。

改めて、私の芸術センスの暴露と池口さんへの失礼を感じながら、とにかく感動したので一気に書いてしまいました。

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