早産が原因で、世界で1年間に生まれる新生児の約1%に当たる約100万人が死亡していることが、妊婦と乳児の健康増進に取り組む民間の非営利団体「マーチ・オブ・ダイムス」(本部ニューヨーク)の分析で分かった。三つ子など多胎出産の一因である生殖補助医療の普及や出産年齢の高齢化が背景としている。早産による死亡率を国際規模でまとめたのは初めてといい、インドで開催中の国際学会で発表する。
世界保健機関(WHO)が公表したデータをもとに分析した。それによると、05年に世界で生まれた新生児の約1割が妊娠37週未満の早産で誕生。このうちの約1割にあたる約100万人が早産が原因で、1カ月以内に死亡していた。
早産の割合が最も高かったのはアフリカの11.9%で、北米の10.6%、アジアの9.1%が続いた。最も低かったのは欧州の6.2%だった。米国では四半世紀に36%増えるなど世界的に増加傾向にある。
原因として、同団体は▽胎児の発育が不十分になる可能性が指摘されている35歳超の妊娠▽生殖補助医療による多胎出産--などを指摘。早産の新生児の治療費などは米国で毎年260億ドル以上という。
女性の社会進出が背景にあるため、同団体は「解決は難しい」としながらも、「妊婦の栄養摂取や体重管理に注意を払い、糖尿病や高血圧予防、飲酒や喫煙など胎児への健康影響を回避する取り組みが重要だ」と訴える。【河内敏康】
▽海野信也・北里大教授(産婦人科)の話 日本での早産による死亡数はデータが公表されていない。早産による死亡を防ぐには、医療機関での分娩(ぶんべん)や母乳育児の普及、医療にかかりやすい体制の整備などが求められる。
毎日新聞 2009年10月5日 15時00分(最終更新 10月5日 15時00分)