中国建国60年 膨張主義からの脱却が必要だ
中国は1日、建国60周年を迎えた。
共産党の一党支配のもと、約30年前に市場経済を大胆に導入し、米国、日本に続く世界第3位の経済大国に成長した。
日本を追い抜くのも時間の問題と見られている。
その一方で、体制崩壊につながりかねない民主化への動きを力で抑えつけるなど、「民主化なき市場経済」とも言える独自路線を歩んでいる。
昨年夏は北京五輪を成功させた。来年5月からは、上海万博を開催するなど、国際的な存在感を急速に高めている。
だが、その足元はどうか。
経済至上主義の高度成長は、国民の生活を豊かにしたが、同時に貧富の格差を拡大させ、農村の貧困ぶりが際立つ。
都市や農村で土地収用を巡る紛争が多発し、労働争議なども頻発している。党官僚や役人の腐敗・汚職は、とどまるところを知らない。各地の環境破壊も深刻な状態に陥っている。
社会にひずみが生じる中で、人々に拝金主義が
新疆ウイグル自治区では、ウイグル族と漢族の対立が先鋭化し、事態は深刻化するばかりだ。亡命チベット人と中国政府との話し合いは
経済開発と強圧的手段のアメとムチの政策だけでなく、少数民族の宗教、文化や人権を、もっと尊重する姿勢が大事だ。そうしなければ、政権が掲げている「調和社会」は実現しないだろう。
国威発揚に向け、祝賀式典と軍事パレードが行われる首都・北京では、テロ警戒のため、大量の軍治安部隊が動員され、空前の厳戒態勢が敷かれているという。
中国は「平和的発展」を掲げつつ、軍事力の増強を推し進めてきた。国防予算の透明性を高め、周辺国・地域の懸念を取り除くよう努めるべきだ。
アフリカや南米諸国における中国のなりふり構わぬ資源獲得外交に対する国際社会の非難にも、対応していかねばならない。
中国は世界最大の二酸化炭素排出国でもある。地球温暖化防止への国際的取り組みでは、具体的な数値を伴った削減義務を負うことが求められる。
関連ニュース
- 世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」 天安門広場に並んだ56本の“民族団結柱” 建国60周年国慶節、国内融和に苦慮の跡(日経ビジネスオンライン) 10月03日 07:00
- 衝突の火元は漢族を襲った経済危機(ニューズウィーク日本版) 09月15日 14:00
過去1時間で最も読まれた社会ニュース
- 中川昭一元財務相が死亡=自宅ベッドで、妻が発見−病死の可能性、東京・世田谷(時事通信) 10月5日 1:03
- 「座敷わらし」老舗旅館炎上…宿泊客ら無事(読売新聞) 10月4日 23:02
- 「かわいすぎる」大向さん鳥羽に…日韓海女さん集合(読売新聞) 10月4日 17:59
- 宿泊ビジネス、業者を告訴へ 生活保護費を詐取容疑(朝日新聞) 10月4日 3:00
- 自転車同士で衝突死亡 相手方男性に720万円賠償命令(朝日新聞) 10月2日 20:58