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日経・JBIC排出量取引参考気配

[Q&A]中国の京都クレジット供給量が抜きんでているのはなぜでしょうか?

プレスリリース(PDF

国際協力銀行(JBIC)/JOI

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 世界銀行が2009年5月に公表した資料によると、08年にプライマリー市場([Q&A]プライマリー市場の価格とセカンダリー市場の価格について教えてください)に供給された京都クレジットの84%は中国におけるプロジェクトで生み出されたものでした。プライマリー市場における中国のシェアは05年が73%、06年が61%、07年が73%と群を抜いているうえ、3年連続で上昇しています。中国の供給する京都クレジットが国際的な排出量取引市場を左右すると言っても過言ではないでしょう。

 この高いシェアの背景にあるのは、クリーン開発メカニズム(CDM)に基づく温室効果ガス削減事業に対する中国政府の強力な後押しです。中国政府は早くからCDMの開発支援効果に着目していました。削減事業の多くは地方で行われることから、地方ごとに事業推進センターを作りプロジェクトの形成を支援。さらに排出枠を売買する最低価格(フロアプライス)を制度として設けるなど、事業者がプロジェクトに投資することで十分な利益を得られるような工夫を凝らしています。

 また、中国市場のポテンシャルに注目した先進各国が競って体制作りに協力したことも、投資を受け入れる体制の整備を後押ししました。中国には、小規模な水力発電事業やバイオマス利用、省エネ支援などクレジットを生み出す事業の潜在的な可能性がたくさんあります。成功した事業を身近に見ることで民間企業の間で関心が高まり、投資活性化の好循環ができたのです。

 なお、中国が供給する京都クレジットにブラジル、インドからのクレジットを加えると、世界の供給量の9割以上を占めます。3カ国にこれだけの投資が集中すると、当然リスクも高まります。中国政府が急に方針を変更したり、中国経済が変調をきたしたりした場合、京都クレジットの供給が一気に減るかもしれません。それにより需要をまかないきれなくなったり、京都クレジットの価格が高騰したりする恐れがあります。最近では、こうした状況を受けて、分散投資が必要ではないかという意見も出てきているようです。

[国際協力銀行(JBIC)環境ビジネス支援室長・本郷尚/8月17日]

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