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マニア垂涎の珍品は? 国税庁ネット公売

9月21日2時25分配信 産経新聞

 国税庁が税金滞納者から差し押さえた不動産などを入札にかけるインターネット公売の“品ぞろえ”が注目を集めている。将棋の「封じ手」、高級ワインのロマネ・コンティ、人間国宝作とみられる九谷焼の皿…。リゾート会員権や船舶などに混じって初出となった“珍品”について、「ネットオークションでは何が高値で売れるか分からない。少しでも高く入札されれば」と国税担当者も期待を寄せる。不況時代を反映してか、ロープライスの品物も目立ち、お買い得になっているようだ。

 平成19年度から始まったネット公売は、年4回開かれ、10月1〜5日に実施される今回の公売は今年度2回目。自動車や宝石などの動産は312件で見積価額は計3828万円。一方、宅地やマンションなどの不動産は64件で計1億8247万円となっている。

 今回の公売で最も注目されているのが、10年6月8日に三重県鳥羽市で対局が行われた第56期名人戦第6局の封筒入りの「封じ手」だ。対局が2日間にわたって行われる場合、翌日の対局再開のときに最初の手番となる棋士が、あらかじめ次の一手を紙に書き入れたもので、立会人に預けておく。紙には対戦した谷川浩司名人と佐藤康光8段の署名が入り、2人の立会人の署名も入っている。

 日本将棋連盟によると、封じ手は2通作成され、対局会場でファンなどに渡されることもあるという。今回の封じ手は、「当事者の1人から本物とのお墨付きがある」(国税庁担当者)という逸品。値段がつくものではないが、業界関係者の鑑定で最低落札価格を4千円と設定している。

 同連盟関係者は「封じ手がネット公売に出されるのは聞いたことがない。興味のない人にとっては単なる紙くずにすぎないが、どれだけ高値が付くか逆に興味がある」と話す。

 このほか、ワイン愛好家に注目されそうなのが、“ワインの皇帝”とも称されるフランス産の最高級ワイン「ロマネ・コンティ」。ネット上の通販では60〜70万円の価格も付いているが、保管状況が不明のため、最低落札価格を1本20万円に設定している。関係者によると、グッドイヤーに当たる97年産はでき映えもよく、100万円を上回る可能性もあるという。

 このほか、人間国宝の三代目徳田八十吉の作品とみられる九谷焼の皿も16万8千円で出品している。

 これまでのネット公売で見積価額を大きく上回って落札された品物には、見積価額1万円に対し、160万1千円の高値が付いた映画「男はつらいよ」シリーズのポスターなどがある。

 国税庁担当者は「ネット公売は今回で10回目だが、購入者層のすそ野が広く、思わぬ高値がつくことも少なくない。今後も滞納処理のために活用していきたい」としている。(花房壮)

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最終更新:9月21日2時25分

産経新聞

 

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