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新刊増やす“自転車操業”が原因か……ゴマブックス破たんの理由 (1/2)

東京地裁に民事再生法の適用を申請した、中堅出版社の「ゴマブックス」。ケータイ小説『赤い糸』など多くのベストセラーを刊行していたが、なぜ40億円近くの負債を抱えて破たんしたのだろうか。
2009年09月09日 14時19分 更新

 映画、ドラマ化された人気ケータイ小説『赤い糸』やタレント本などで知られ、東京地裁に民事再生法の適用を申請した出版社「ゴマブックス」(東京都港区、嬉野勝美社長)。負債約38億2000万円(債権者約600人)は、近年経営破綻(はたん)した出版社の負債規模としては最大。今年1月期には年間売り上げ約32億3200万円を計上していた“中堅”だけに、業界の間に暗い影を落としている。

 帝国データバンクによると、同社は昭和63年に創立し、ビジネス書からタレント本、絵本まで幅広い分野の書籍を出版。近年は児童書『レインボーマジック』『ちびキャラ』シリーズ(累計150万部)や『赤い糸』シリーズ(同330万部)など多くのベストセラーを刊行していた。

 今年6月に同社から『18歳のハローワーク』を共同刊行した公認会計士で作家の山田真哉さんは「取材費の入金予定は10月だったが、しばらくはめどが立たないだろう。半年前ごろから怪しげなうわさは聞いていたが、堅実な出版社と思っていたのに……」と話した。

 同社によると、出版不況が続く中、売り上げ不振やベストセラー不在などで資金繰りが悪化。新刊の出版点数を増やすことで赤字を補填(ほてん)しようとしたが、返本率は約5割にも上り、在庫評価損で当期損失約10億3500万円を計上、債務超過に転落したという。再生に当たって、いくつかの企業から支援の見込みもあるものの、「現段階では先行きはまだ不透明」という。

yd_goma.jpg 映画やドラマ化され、書籍も大ヒットした「赤い糸」シリーズ

 業界誌を刊行している出版ニュース社の清田義昭代表は「業界全体の問題として、業績悪化を新刊点数の増加で補おうとするが、売れないために返品が多くなってさらに新刊点数を増やすという“自転車操業”の負のスパイラルに陥っている」と指摘する。

 同社によると、ゴマブックスの1年間の新刊点数は、平成16年は56点だったが18年に214点、今年8月末までは約600点と“雪だるま式”に増加。同社は「ケータイ小説のヒットなどで『大増刷』にためらいがなくなり、悪循環の中の泥沼にはまったのではないか」と分析する。

 清田代表は「新刊を促成栽培のように出し続ければいずれ読者からも見捨てられる。業界全体で赤字を借金で埋めるような新刊依存体質から脱却し、吟味した本作りや弾力的な流通の工夫を試みないといけない」と警鐘を鳴らしている。

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[産経新聞]

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