これまでにないジャンルが人気……フリーペーパーの生き残りが熾烈に
乱立気味だったフリーペーパーに、淘汰の波が押し寄せている。ピーク時には年間200誌が創刊されていたが、昨年の創刊数は半減。その一方、これまでになかったジャンルのフリーペーパーに人気が集まっているようだ。
ピーク時には年間200誌が創刊されるなど、乱立気味だったフリーペーパーの淘汰(とうた)が進んでいる。創刊紙数は半減したが、一方で女性の写真集やパズルなど、これまでになかったジャンルのフリーペーパーが人気を獲得。「勝ち組」と「負け組」の二極化が顕著になっている。(三宅陽子)
「3〜4年前までは年間200誌が創刊され、飽和状態といわれていたが、昨年の創刊は年間100誌に半減している」
こう明かすのはフリーペーパー発行38社が加盟する日本生活情報紙協会(JAFNA)。原油高による紙価の高騰、不景気による広告減を背景に「定期的に広告を得る確信がないと、創刊は難しくなっている」
業界の“老舗”は「読者離れとは考えていない」としながらも、変革を迫られているようだ。約20年の歴史を持ち、首都圏で約617万部(家庭配布など対象)の「情報誌ぱど」は5月、横浜市と埼玉県の一部で発行回数を週刊から隔週刊とし、削減分をWebサイトで補っている。
「紙面は載せる情報に限りがあるが、ネットならタイムリーな情報をより深く伝えられる。広告主にもメリットが大きい」と同誌広報担当。
毎週木曜日に首都圏で配布される「R25」は6月、一時4000カ所以上あった配布場所を1950カ所に減らした。発行元のリクルート広報部は「確実に手にとってもらえる場所に、より多く置くといった住み分けを進めた」と、効率化を打ち出したという。
統計には出ないが、ひっそりと姿を消すフリーペーパーは後を絶たないという。一方で、急成長を遂げる媒体もある。
一般女性を写した写真集「美少女図鑑」は、すぐ品切れになることで話題に。「売り上げ至上主義でなく、作品や技術向上に熱心なサロンに広告掲載をお願いしている」と同誌を立ち上げた「テクスファーム」の近藤大輔さん。サロンはヘアメークを担当し、作品披露の場になっている。
クロスワードなどのパズルを扱う「懸賞パフ」は、昨年12月の創刊時の1万部から10万部に激増。発行元の「ウィナス」コンテンツ事業部は「完全に遊ぶことに特化したフリーペーパーはなかった。子どもも年配も楽しめる」と胸を張る。
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