体育専門教員から徒競走のスタートの構えについて指導を受ける舞鶴小学校児童=9月上旬、大分市営陸上競技場
大分県教委は4月から、県内6小学校に体育専門の教員を配置している。全国水準を下回る県内の小学生の体力アップが狙い。一般教員と連携した指導で、水泳で25メートル泳げる児童が増えるなどの成果が表れている。県教委は「専門教員の指導方法を一般教員が吸収することで成果を普及させたい」としている。
配置した教員は全員が中学校保健体育の教員免許所有者で、県内の各教育事務所管内に1人ずつ配置した。保健体育の授業は学級担任の教諭と2人で取り組み、専門教員の工夫を取り入れながらきめ細かい指導が行われている。
佐伯市の渡町台小では水泳の時間に専門教員が全体指導をし、学級担任が泳ぎの苦手な児童をサポートする役割分担を実施。25メートル泳げる児童が5年生で42人から93人に、6年生で57人から106人に倍増したという。豊後大野市の三重第一小では鉄棒の時間にタオルを腰にあてがい回転力を増す工夫を取り入れ、逆上がりの補助具も準備したところ、休み時間中に鉄棒で遊ぶ児童が増えたという。
各校では運動習慣づくりにも力を入れている。大分市の舞鶴小は毎月第1、3週の早朝に15分間、全校生徒がラジオ体操やボール遊びをする運動の時間を設けた。休み時間には硬式のテニスボールを貸し出し、児童が屋外で遊びたくなる環境づくりを進めている。
2008年度に全国の小学5年、中学2年生を対象に実施された体力調査では、大分県は男女総合成績が小5が35位、中2も42位と低迷。県が同年度に独自に行った体力調査でも、反復横跳びやボール投げなど各種目のうち約7割が全国平均値を下回り、体力向上や運動する習慣づくりが課題となっていた。
専門教員の配置について、学校現場は「専門教員を通して指導のコツを一般教員が体で覚えてきた」と評価するが、「授業が専門教員に頼りがちで、役割分担が難しい」との課題も浮かび上がっている。
専門教員は来年度までの2年間、同じ学校に配置する。県教委は「体育指導についての校内研修も開き、一般教員の指導力向上を目指したい」(体育保健課)としている。
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