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【社会】

アラル海南部で魚類全滅 水位急減、塩害も深刻化

2009年10月3日 18時21分

 左は2000年8月のアラル海の衛星写真。北の小アラル海と南の大アラル海に分かれている。右は今年8月のアラル海の衛星写真。南の大アラル海は東側が消滅し、面積が大幅に縮小。実線は1960年のアラル海の範囲(NASA提供・共同)

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 【モスクワ共同】ソ連時代からの無謀なかんがい事業の影響で水量が減り、二つに分かれた中央アジアのアラル海のうち、南半分の「大アラル海」の水位が急激に低下、今年に入り東側が干上がり、西側も塩分濃度の上昇で魚類が全滅したことが2日分かった。ロシア科学アカデミー海洋学研究所のピョートル・ザビヤロフ副所長が明らかにした。

 カザフスタンが北半分の「小アラル海」を守るため2005年にダムを建設、下流で大半がウズベキスタン側にある大アラル海への水の流入が途絶えたのが原因という。露出した塩が数百キロ飛散して植物が枯れ、住民の呼吸器疾患が深刻化する恐れがあり、周辺の寒暖差が大きくなるなど気候への悪影響も懸念される。

 副所長によると、今年8月に大アラル海を調査したところ、この1年で「史上最悪で予想外」の約1・5メートルの水位低下を観測。アラル海全体の水量は1960年に比べ約91%が失われたという。

 大アラル海では約1%だった塩分濃度が今年は13%を突破した。通常の海水の約4倍で、魚類の生存は不可能。昔は漁業が盛んだったが、03年以降、魚の生息は確認されておらず、残る小型のエビなどの死滅も時間の問題という。

 

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