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【シリーズ現場】

障害者教育転換 県内でも期待大 地域の学校で学ばせたい

2009年10月4日

就学前の障害児が通う施設で遊ぶ子どもたち。「インクルーシブ教育」の実現に期待する親も多い=金沢市内で

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支援員増員など 受け入れ態勢が課題

 鳩山政権が、障害児と健常児がともに地域の学校で学ぶ「インクルーシブ教育」を推進する方針を打ち出している。これまで、障害の度合いに応じて特別支援学校へ進学することが“原則”とされてきた障害者教育。大きな転換点を迎えることに県内の保護者らの期待が高まる一方、受け入れ態勢や財政的な課題も指摘されている。(奥野斐)

 「健常児と障害児が一緒に学びあえる環境が一歩でも進めば」と金沢市福増町の主婦北野美恵子さん(42)は喜びの声を上げる。脳性まひの長男智生君(15)は話すことも歩くこともできないが、車いすで地元の中学校に通う。学校では、支援員が付き添い、ほかの生徒たちと一緒に授業を受けている。

 現状では、重度の肢体不自由や知的障害などがあると、普通学校への進学を希望しても、学校側の受け入れ態勢が整っていない場合は通学できない。さらに、受け入れが普通学級か特別支援学級かの判断や、身体介助を行う支援員の配置などといった対応は、各自治体で異なるという。

 「小学校の入学当時も、普通学級では受け入れが難しいとの学校側の考えがひしひしと伝わってきた」と美恵子さん。話し合いを重ね、智生君は小学校は障害児学級、中学校では普通学級へ。学校では、周りの子どもを見て静かにできるようになるなど、日々成長を見せる。同級生が公園に誘ってくれる姿を見て、美恵子さんも「友だちもでき、地域の学校で良かった」と話す。

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 こうした要望や現状を踏まえて、十五年ほど前から提唱されているのが、「インクルーシブ教育」だ。二〇〇六年には国連で採択された障害者権利条約にも盛り込まれ、各国で学校のバリアフリー化など環境整備が進んでいる。

 日本でも、民主党が政策集にインクルーシブ教育の推進を掲げる。保育園・幼稚園の段階から取り組み、弱視者用の拡大教科書の普及や発達障害児への支援も打ち出している。「支援員の増員など受け入れ方法や条件が具体化するのでは」と、保護者らは新政権に期待する。

 ただ、実現に向けては、教員らを増やすなどの対応が必要になることから、受け入れ側の理解や財政的な問題が指摘されている。また、小中学校まで地域の学校へ通った子どもたちが普通高校へ通う道はほとんどなく、中学卒業後に特別支援学校へ進学する場合もあるという。

 金沢市で就学前の障害児デイサービス事業所を運営する「障害児を普通学校へ全国連絡会」代表の徳田茂さん(62)=白山市=は「一緒に学ぶことで障害者への理解や思いやりの気持ちも生まれる。すぐに結果はでないが、鳩山政権に大いに期待したい」と話している。

 

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