舞台『ひみつのアッコちゃん』 ネタバレ感想文
千秋楽を迎えたので 公開です。
7/11に観てきました『ひみつのアッコちゃん』
ストーリーは
あの『ひみつのアッコちゃん』が映画化されることになり
全国オーディションを開催。
12万人の応募の中から アッコちゃんは 5人に絞られた。
そして 最終オーディションの内容は
本人ではなく 親のオーディションだった。
オーディションで 親の想いをさぐる 監督をはじめとする制作陣。
最後に選ばれるのは・・・
ざっくり 書いたら こんな感じ。
親との対話から その子を想像しました。
一人目 東野恵恋(えれん)のママ歌織さん。
もしも アッコちゃんに抜擢されて 売れてしまい
2億というお金が入ってきたら 何をするか?
の問いに
「子供とおそろいの携帯を買う」
と 言った 今時の友達親子。
しかし お父さんの事は 忘れている。
お母さんと子供が 仲良し。
お父さんは やや お仕事人間。
な 事が思い浮かびます。
天真爛漫なんじゃない?って勝手思ってます。
誰にでもフレンドリーなタイプ。
都紀絵(恵恋ママ役)さんは とても笑顔が印象的でした。
オーディションの一人目と言うこともあり
不安と期待の入り交じる人のはずが 割と楽しいのではないか?
と 思う表情。
すごく 素敵な方に出会いました。
二人目 鈴木心遙(こはる)のママ遙香さん。
クオーターの娘は 「美人ちゃん」で 幼稚園でも浮く。
「そんな彼女の居場所を作ってやりたい」と 言う母。
素敵なお話がありました。
幼稚園でのテストで
「この絵の中に一つだけ違う絵があります。
違うモノに色を塗りなさい。」
例えば ○がたくさん書いてある中 一つだけ□みたいな。
「クオーターである彼女一人だけが違うから」
色を塗ろうと言い出した子供達。
彼女は 自分だけ異色だと思われていた事にショックを受ける。
でもそれを 「□だけが特別だから」
と 笑顔で言いのけ □を切り取り壁に貼る母。
その“特別”を見いだすために 芸能活動をさせる母なんです。
すごいなって 思ったんです。
日本人って 同じにしてるのが好きでしょ。
制服とか 遊びとか 流行ると何でも流れていく。
みんなが同じ。
それを 平等と思う みたいな感じ。
個性豊かに と言いながら 同じ方が安心する。
人は そう言う生き物なのかも知れません。
川島令美(心遙ママ)さんは
真っ直ぐ真が通った感じの印象。
3人目 水原舞愛(まいあ)のパパ学さん。
父登場。
小さい頃に離婚して 男手一つで育てている。
子供が「アッコちゃんになりたい」という夢を
「やりたいなら やらせてやりたい」と 応援する父。
でも 心底 応援している訳じゃない。
人気者になると言うことは 敵も増える。
敵からの攻撃に 傷ついたらどうしよう。
傷つけたくない。
だったら 有名になることはないじゃないか。
と 思う父。
幼少の頃に離婚して会えない母にも
元気な姿を見せたいという彼女に
きっと 何か後ろめたい気持ちがあったんだろうと思います。
舞愛パパ(井上顕)さん
本音を隠して 子供を思い通りにやらせてやりたい
そんな気持ちが交差する表情だったのは 印象的。
とても 素敵な芝居だったのに あんまり残ってないんです。
申し訳ない。ヾ(_ _*)ハンセイ・・・
全部 次のママが持って行ってしまいました。
4人目 大河内幸音(しおん)のママ可奈さん。
小さい頃なりたくてもなれなかった想いをすべて 子供に託す母。
小さい頃に ミュージカル アニーを見に行き
“アニーは私のための役だ”
と 次のオーディションへと意気込む母@幼少
貧乏で 習い事もできなかった自分は 書類すら送れなかった。
この想いを “みんなをしあわせにしたい。どうすればいいの?”
と 言った娘に すべてを捧げる母。
ステージママですね。
彼女は 重たいモノを背負っている感じがしました。
幸音ママは くぼあつさんです。
美しの水のあの“くぼあつさん”
アニーの一説を 熱演です。
最終選考でやっちゃうんです。
「Tommorow」歌っちゃいます。
それが すばらしくて。
全部持って行ってしまいました。
5人目 藤井 不思議(はてな)のパパ隆之さん&ママ芙美子さん。
はじめて 両親で登場。
名前が 不思議と書いて「はてな」と読む。
880gだった 彼女が大きくなっていくのが不思議。
これから どんな子に育っていくのか不思議。
その不思議から “はてな”と命名です。
彼女は クラスやご近所の皆さんからも評判が良くて
たくさんの方が「はてなちゃんをアッコちゃんに」
と 署名をくれています。
両親の愛を注がれた子って感じがしました。
880gから 普通に育つというのは 奇跡に近い出来事。
一概には言えないけど「ああしていたら 違ったかも」は
みんな思うことなんじゃないかと思うんです。
自分を責めてしまうこと 運命を受け入れてるけど あると思うんです。
私も そう思う気持ちは 消えたことがないかも。
仕方がないことだと 受け入れているけど
後悔がない訳じゃない。
だから 今の仕事をしていると言っても良いくらい。
普通に生まれてきたら 愛を注げないか と 言われると
そうじゃないんだけど より一層 想いが募るのは あるかもしれない。
そんな愛を素直に吸い込んできたんじゃないかって思ったんです。
はてなちゃんは。
パパは 遠藤さんです。
美しの水で 湯浅宗重様だった 遠藤さん。
髭がなくて 一瞬え?って思いました。
いや さわやかなパパさんでした。
そして 愛があふれるパパでした。
ママは 鴻上久美子さん
先代のニャンちゅうのお姉さんです。
正直 仲良し夫婦がかわいい。
目がキラキラで 超可愛いです。
未熟児だった事を 悲しくなく語れる方です。
そう言うの大事だと思います。
悲しくなるなら 話すんじゃないって 思うんです。
乗り越えてきたから今がある。
そう思えるなら 語った方が良い。
同じ想いをする人たちの大きな力になると思います。
さて この5人の中から アッコちゃんを選ぶ訳です。
監督の一存で決めるんです。
誰になるのか。
なかなか答えのでない監督。
監督が悩んでいたのは 「誰に号泣が似合うか」
あの明るく元気なみんなの人気者アッコちゃんが号泣する絵。
どういう事ですか!?
と みんなが動揺します。
そこで 脚本家が 本当のストーリーを語ります。
アッコちゃんは クラスの人気者。
気になる女の子が アッコちゃんにはいました。
いつも友達の輪に入れずいる 同じクラスの女の子。
「テクマクマヤコン テクマクマヤコン」
コンパクトで変身するアッコちゃんは 女の子に変身します。
そして その気になる子に 言います。
「ねぇ 親友にならない?」
毎日彼女と過ごし 仲良くなっていくアッコちゃん。
でも いつまでもこのままを続けられないと 思ったアッコちゃんは
「海外へ引っ越ししてしまうので もう友達でいられない。」
と 言います。
当然 悲しむ彼女。
なのに 「ありがとう」を言う彼女。
彼女を見て 私は本当に良いことをしたのか。
コンパクトの力を使って 偶像の友達を作った事で
彼女に悲しみを 与えたんじゃないか。
自責の念に駆られる アッコちゃん。
アッコちゃんは お友達に囲まれる
普段の生活に戻ります。
いつも 遠巻きから見ていた彼女が言います。
「ねぇ 仲間に入れてくれない?
私に 友達の大切さを教えてくれた子がいるんだ。」
アッコちゃん達は 快く 彼女を迎え入れます。
私がやったことは間違いじゃなかった。
友達のいる大切さを分かってくれた彼女。
私の思いが 彼女に通じた。
そして アッコちゃんは 一人
“号泣する”
最後に 監督は一人を選びます。
そして 落選した女の子達に 素敵な手紙を送ります。
未来ある女の子達へ 素敵な笑顔の女性になれるようにと
願いが込められた
未来のあなたへ と言う手紙。
感動でした。
きっと 落選したとしても あの手紙をもらった子たちは
落ちたことはちゃんと悲しんで
明日から前を向いて歩けるんじゃないかって
そう思いました。
岩城しずく監督役は 佐藤寛子さん。
ディケイドにもご出演だったようです。
下積みを経て メジャー監督の道を歩み始めた彼女。
主演を決めるという苦しい役所。
最後の一人芝居がとっても素敵でした。
高見沢優一役の宇佐美雅司さん。
アンドレの舞台とメトロで何度か観せて頂いてます。
とても スマートな印象だったんです 最初。
でも 本当のアッコちゃんのストーリーを語る時 熱かった。
私の中では 葬儀屋さん(メトロ)が
なかなか抜けなかったんですが 今回吹っ飛びました。
お芝居の中で アッコちゃんは 誰になったかは分かりません。
あなたなら誰にします?と問われているような そんなおしまい。
私が アッコちゃんにするなら・・・はてなちゃんかな。
このお芝居。
めちゃめちゃリアルなお話だと思ったんです。
今の子は 人間関係が希薄な気がしています。
簡単に絶交して 遊ばなくなったり
人の傷つくことを平気で言うし
周りの子が 輪をかけて言い
誰もフォローしなかったり。
本気でぶつかり合うことが ないのかも知れません。
なので「腹心の友」と呼べるような仲間がいない。
メル友だとか○○友だとか 括りがあって
その時々で 友達を変える。
大人も同じだけど
人の心に踏み入ってまで仲良くなろうとしない。
それで いいのか?って
ドーンと胸に詰まされるお話でした。
私は どういう風に教えれば良いんだろうって思ったんです。
親友って呼べるほどの友達って
どうやって作るって言えば良いんだろう。
どこまでが知り合いで
どこからが友達で
どこからが親友なんだろ?
モノがあふれ 何でもある時代に生まれたのに
心が満たされていないんじゃないかと思う 現代っ子。
私は どうやって満たしてあげたら良いんだろうかと
そんなことを 思うのです。
答えはないけど。
『ひみつのアッコちゃん』
今 この脚本で 映画化あるいは舞台化をして欲しいと思うくらい
続きが気になってます。
終わった後 いっぱい考えさせられる じんのさんの脚本です。
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コメント
突然のコメント失礼致します。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://sirube-note.com/scenario-writer/
もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
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今後ともよろしくお願い致します。
Ux1MVEqX
投稿: sirube | 2009年7月20日 (月) 17時30分