[夏フェス'06] 音速ライン インタビュー(1) [SPECIAL]
音速ラインの2ndアルバム『100景』の収録時間は僅か34分41秒。乗り物で言ったら多分、車でも新幹線でもなく飛行機だ。しかし実際は猛スピードで羽ばたく飛行機も、いざシートに腰掛ければ、見える景色は鮮明で、実にゆったりと流れ、時が止まっているかのような錯覚に陥る。でも確実に前へ進んでる。終わりに向かって走ってる。その切なさと力強さと愛おしさと、さらに疾走感と充実感と重量級の手応えと、もっと言えば3人から2人、メンバーの脱退を受け止めて走る覚悟とが交錯してえらいことになっている。本作を引っさげての夏フェス登場なんて絶対楽しいに決まってるじゃんか! なのである。
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多分10年後も同じように歌える曲だろうなって。それは楽器隊とメロディの微妙なマッチング効果も大きいかもしれない。
So-netMusic(以下So-net) : しかしまだ前作『風景描写』から8カ月チョットですよ。前回、6日間でミックスまで終えたと言われてビビった覚えがあるんですけど、勢いはそのままなんでしょうか?
大久保 剛(B) : いや、前よりは全然時間を掛けさせてもらいましたけど、正直、早いっす。
藤井 敬之(Vo & G) : できればね、1年くらいあけたかった。でも無理矢理作ったわけじゃなくて。7月下旬に出すからって言われて、いいっすよって。
So-net : 言っちゃったんですね、そこで。
藤井 : フフフフ。そう。まぁ曲あるしね、あるものを出したくないって言うんなら、お前ら辞めろ!って話だから。
So-net : そうですよね。8カ月のインターバルって聞くと異常に早いけど、前作はその前のシングルの数が尋常じゃなかったし、それをアルバムに詰め込んだと思えば、音速ラインのペースと言えなくもないのか。
大久保 : そういうイメージはいらないです。逆に出し尽くしたって言っとかないと。
藤井 : コイツらつつけばまた作るだろうって思われてもね(笑)。
So-net : でも既に思われてるような……。
大久保 : ゴホッ、ゴホホホホ(咳込む)。
So-net : だって前作の取材の時、全12曲シングル級のキラーチューンですねって言ったら、まだまだストックがあるんですよって、ちょっと自慢気に語ってたもん。
大久保 : 言ったっけ、そんなこと?!
藤井 : けどまぁ実際あるからな(ニンマリ)。
大久保 : また言っちゃったよぉ、この人。
So-net : ククク。では、その膨大なストックの中からの今回の選曲というのは?
藤井 : 1stでは見せられなかった部分が出せたらなぁと思って。シングルの「みずいろの町」と「ナツメ」、インディーズの時に出した「ここにいる」と「夕凪の橋」、あと「5日ノート」は実は「みずいろの町」のc/wとして作った曲で、でもアルバムに入れたくなってシングルには他の曲を作って差し替えたんです。で、その5曲を並べた時に、ここでこういう曲が欲しいとか見えたら書き下ろして。ライブで盛り上がるような曲で始まりたいと思って「コトノハ」を作って。えっと、「ラリー」と「週末旅行」は昔からあった曲ですね。
So-net : 新曲と昔からある曲を合わせて作品にできちゃうのはきっと、古めの曲を演奏してても、懐かしいって感覚にならないということですよね。
藤井 : そうですね。「ここにいる」は懐かしいってチョット思ったりするけど、多分10年後も同じように歌える曲だろうなって。
So-net :それは恐らく聴き手も同じで。今朝、インディーズ時代の音源を聴いていても古さが全然なくて。改めて音速ラインはそういう曲を作ってるんだなぁと思ったりして。
大久保 : それは楽器隊とメロディの微妙なマッチング効果も大きいかもしれない。
So-net : うん。いいメロディだと、寄り添うような演奏をしがちじゃないですか。でも音速ラインは全然違う音をぶつけてみたり、間奏に至ってはやりたい放題だし。
大久保 : 確かにやりたい放題っすね(笑)。
So-net : でも実はそこから次のフレーズにいった時に、歌の世界に引きずられる力が倍増してたりして。
大久保 : ただ、この曲はこうだからこうじゃなきゃいけないとか。そういうのは考えてないっすよ。藤井さんからデモをもらった時も、あの、僕、作ってる時の記憶がないんですよね。
So-net : 乗り移ってる?!
大久保 : 乗り移ってるっていうよりこう、
藤井 : キツネにつままれてる?
大久保 : 騙されてるのかな、俺?!
So-net : そしたら藤井さんがつまんでるってことですよ。
一同 : ハハハハハハハハハ。
藤井 : いや、僕もあんま記憶ない人なんで。それはもともと作ろうと思って作ってる曲じゃねぇからだよ、多分。
大久保 : だからこうやって喋ることって、僕らにとっては結果論だったり後付けで。身構えちゃうと多分ぶつかっちゃうと思うんですよね、曲と。
藤井 : 不思議なもんでね。自分がコードを抑えてるって意識した瞬間、わけわかんなくなりますからね。なんだコリャ?! って。
大久保 : あれ、俺、何やってたんだろう?ってホントになるんすよ。だからライブの時も我に返ったら負けですね。その時点でぶっ飛びます。
So-net : 面白いなぁ。だってそんなに無意識的に音楽と接しつつ、先程話してた、今ある曲を並べてみて、さらに欲しい曲を作っていくという制作過程では、しっかり全体像が見えているってことですもんね。
藤井 : それはもう、自分が聴きたいアルバムを自分で作ってる感覚ですよね。そう、だから曲順も、実は全然違う並びでマスタリングまで終わってて。でも一旦耳を休めて聴いたら納得いかなくて。このまま作品になっちゃったらマズいぞと思って。で、3曲目の後は7曲目に飛ばすとか紙に書きながらこう、実際に飛ばしてセコセコ聴いてみたりして、1番いいのを見つけたんです。それが今の曲順なんですけど。
大久保 : 速攻で電話が掛かってきましたね。
藤井 : もっといい曲順があったから、ちょっとワガママ言わしてもらっていいかな?って。で、テレクターに連絡して。そしたらしょうがねぇなぁ、1つ貸しなって。
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まずはゆっくり眺めてほしい。風恋花凛。どこにでもある4つの文字の組合わせ。だけどなんとも涼しげで想像力をかき立てる。そしたら今度は口に出して読んでみて。ふうれんかりん。意味なんて考えなくっていい。…[続く]
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