福山哲郎副外相は毎日新聞のインタビューに応じ、2020年に温室効果ガスを90年比25%削減する政府目標のうち、国内対策による「真水」部分について、複数の削減率を提示する方針を示した。それぞれについてコスト増だけでなく環境技術の革新によるプラス効果も試算。温暖化対策への企業や国民の理解を広げたい考えだ。
政府は、90年比25%削減を国内対策だけで達成するコストが190兆円に上るとした麻生政権の試算をやり直す方針を決めている。福山氏は「真水がいくらかを示せば、国際交渉で自らのカードをさらけ出すことになり、国益に反する」とし、再試算では「各省と協議の上、たとえば真水が25%の場合、20%の場合、15%の場合のコストを出す。最終的な真水は国際交渉次第だ」との考えを明らかにした。
また、再試算の際、エネルギー効率向上によるコスト削減や、環境分野の新市場創出などの経済効果のほか、温暖化対策をとらないことによる異常気象や農作物被害リスクも加味し「新たなビジネスチャンスとまちづくりの可能性を明示することで国民や産業界の理解を得る」と述べた。
さらに、年末の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に向け、「米国や中国とどう2国間交渉を進めるかが一番重要だ」と指摘した。【柳原美砂子、大場あい】
毎日新聞 2009年10月3日 21時10分(最終更新 10月3日 23時01分)