「2025年までにトヨタの牙城を崩す」 天才投資家バフェットが肩入れする中国企業の野望
2009年10月04日11時00分 / 提供:MONEYzine
海外企業への投資に慎重な天才投資家ウォーレン・バフェット氏がある中国の電気自動車メーカーの株式を大量に購入した。トヨタを脅かす中国企業とは・・・(バックナンバーはこちら)
■バフェット氏が珍しく国外企業へ投資
ウォーレン・バフェット氏と言えば、世界で2番目の大富豪である。個人の純資産は620億ドル(約6.2兆円)。世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務めている。「バリュー投資」と呼ばれる独自の投資哲学で知られ、ビル・ゲイツ氏に次ぐスーパーリッチでありながら質素な生活を信条とし、日本をはじめ世界中から尊敬を集めている。
多くの人々から敬愛の念を込めて「オマハの賢人」とも呼ばれている。ネブラスカ州オマハで生まれ育ち、自らの会社もオマハに設立したバフェット氏は毎年この町で株主総会を開くのが習わしである。世界中から3万人を超える株主が集まり、天才投資家から知恵と元気を授けてもらうことを楽しみとしている。
バフェット氏は今年79歳であるが、実は彼を半世紀以上に渡り支えている共同経営者チャーリー・マンガー氏こそバフェット氏を今日の地位に押し上げる上で欠かせない役割を果たしてきた人物に他ならない。マンガー氏もオマハ生まれで、現在85歳。二人とも株に投資をするのではなく、企業に投資をするというプリンシプルを大事にしている。
この二人が現在熱い関心と期待を寄せているのが中国の電気自動車メーカー「BYD」である。最近国連が主催した気候変動対策サミットにおいても明確に打ち出されたように、世界の環境やエネルギー問題の克服にとって中国がどのような対応策を講じるかが極めて重要になってきている。
胡錦濤国家主席は温室効果ガスの削減に向けて様々な取り組みを約束してはいるが、具体的な削減目標を明らかにはしていない。とは言え、国内の環境エネルギー対策にこれまで以上に真剣な姿勢を見せ始めた。
■ジャック・ウェルチ氏とトーマス・エジソンを合体させたような人物
そんな中、広東省に本社を構える電池メーカーから自動車メーカーに転身しつつあるBYDがバフェット氏とマンガー氏のアンテナに引っかかった。
2008年9月、バフェット氏はこのBYDに対し、2億3000万ドルを投入し同社の株式約10%を取得したのである。それまでバフェット氏は海外企業に対する投資には極めて慎重な姿勢を保ってきた。ところが、最も信頼する共同経営者のマンガー氏から「BYDこそ中国と世界の未来を変える可能性の高いトップ企業だ」と報告を受け、バフェット氏は世界の投資家が皆驚くような投資判断を下したのである。
BYDはBuild Your Dreams の略称である。マンガー氏に言わせれば「創業社長の王伝福氏はGEの中興の祖といわれたジャック・ウェルチ氏と発明王トーマス・エジソンを合体させたような人物」とのこと。
1995年に設立された若い会社であるが、現在すでにリチウムイオン電池のシェアーでは世界第2位の地位を占め、特に携帯向けに関しては世界第1位に躍進しているほどだ。従業員は13万人を超え、生産拠点もハンガリー、ルーマニア、インドへと拡大中である。
設立当時、リチウムイオン電池は日本企業のシェアーが圧倒的に大きかったが、王社長は生産工程を徹底的に細分化し、コアな設備だけを自社開発した。それ以外はすべて中国の安価な労働力を使うという戦術で生産コストを4割以上も削減したのである。1997年に起きたアジアの通貨危機がきっかけとなり価格競争の波が押し寄せた機会をとらえ、三洋や松下など日本企業を追い抜き、瞬く間に世界ナンバー1に躍り出た。
■飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げている「BYD」
BYDの拡大路線は電池業界にとどまらず、2003年には地元の中小自動車メーカーを買収し、電池の開発メーカーとしての強みを生かし、電気自動車の開発に乗り出したのである。(次ページへ続く)
浜田 和幸[著]
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■バフェット氏が珍しく国外企業へ投資
ウォーレン・バフェット氏と言えば、世界で2番目の大富豪である。個人の純資産は620億ドル(約6.2兆円)。世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務めている。「バリュー投資」と呼ばれる独自の投資哲学で知られ、ビル・ゲイツ氏に次ぐスーパーリッチでありながら質素な生活を信条とし、日本をはじめ世界中から尊敬を集めている。
多くの人々から敬愛の念を込めて「オマハの賢人」とも呼ばれている。ネブラスカ州オマハで生まれ育ち、自らの会社もオマハに設立したバフェット氏は毎年この町で株主総会を開くのが習わしである。世界中から3万人を超える株主が集まり、天才投資家から知恵と元気を授けてもらうことを楽しみとしている。
バフェット氏は今年79歳であるが、実は彼を半世紀以上に渡り支えている共同経営者チャーリー・マンガー氏こそバフェット氏を今日の地位に押し上げる上で欠かせない役割を果たしてきた人物に他ならない。マンガー氏もオマハ生まれで、現在85歳。二人とも株に投資をするのではなく、企業に投資をするというプリンシプルを大事にしている。
この二人が現在熱い関心と期待を寄せているのが中国の電気自動車メーカー「BYD」である。最近国連が主催した気候変動対策サミットにおいても明確に打ち出されたように、世界の環境やエネルギー問題の克服にとって中国がどのような対応策を講じるかが極めて重要になってきている。
胡錦濤国家主席は温室効果ガスの削減に向けて様々な取り組みを約束してはいるが、具体的な削減目標を明らかにはしていない。とは言え、国内の環境エネルギー対策にこれまで以上に真剣な姿勢を見せ始めた。
■ジャック・ウェルチ氏とトーマス・エジソンを合体させたような人物
そんな中、広東省に本社を構える電池メーカーから自動車メーカーに転身しつつあるBYDがバフェット氏とマンガー氏のアンテナに引っかかった。
2008年9月、バフェット氏はこのBYDに対し、2億3000万ドルを投入し同社の株式約10%を取得したのである。それまでバフェット氏は海外企業に対する投資には極めて慎重な姿勢を保ってきた。ところが、最も信頼する共同経営者のマンガー氏から「BYDこそ中国と世界の未来を変える可能性の高いトップ企業だ」と報告を受け、バフェット氏は世界の投資家が皆驚くような投資判断を下したのである。
BYDはBuild Your Dreams の略称である。マンガー氏に言わせれば「創業社長の王伝福氏はGEの中興の祖といわれたジャック・ウェルチ氏と発明王トーマス・エジソンを合体させたような人物」とのこと。
1995年に設立された若い会社であるが、現在すでにリチウムイオン電池のシェアーでは世界第2位の地位を占め、特に携帯向けに関しては世界第1位に躍進しているほどだ。従業員は13万人を超え、生産拠点もハンガリー、ルーマニア、インドへと拡大中である。
設立当時、リチウムイオン電池は日本企業のシェアーが圧倒的に大きかったが、王社長は生産工程を徹底的に細分化し、コアな設備だけを自社開発した。それ以外はすべて中国の安価な労働力を使うという戦術で生産コストを4割以上も削減したのである。1997年に起きたアジアの通貨危機がきっかけとなり価格競争の波が押し寄せた機会をとらえ、三洋や松下など日本企業を追い抜き、瞬く間に世界ナンバー1に躍り出た。
■飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げている「BYD」
BYDの拡大路線は電池業界にとどまらず、2003年には地元の中小自動車メーカーを買収し、電池の開発メーカーとしての強みを生かし、電気自動車の開発に乗り出したのである。(次ページへ続く)
浜田 和幸[著]
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