肥留間正明の芸能斜め斬り 「イメージ調査」から見えたタレントに求められるモノ

　ビデオリサーチのテレビタレントイメージ調査が発表された。男性部門1位のイチローは納得だが、目立つのは3位の石塚英彦、4位の明石家さんま、5位の所ジョージ、9位のビートたけしと、20位の中にお笑いタレントが半分を占めていること。ほかも木梨憲武、志村けん、関根勤、高田純次と、ベテランのお笑いタレントが多い。



　20代の男性タレントが皆無で、若手は10代のプロゴルファー、石川遼だけ。いかに若手タレントが視聴者から信用されていないかが分かる。端的な例はジャニーズタレントの減少である。6位に香取慎吾、19位に木村拓哉が入っているだけだ。

　19位にすれすれ入選のキムタクには、「最近は、まるでバーゲンセールのようにCM出演が目立つ」と話す大手広告代理店幹部もいる。現在9社(富士通、トヨタ自動車、マンダム、ニコン、明治製菓、日清食品、セコム、今年からタマホーム、サマンサタバサジャパンリミテッド)に出演しているが、まるで金太郎あめのようにどこでも見かける。

　確かにこれまではキリンビバレッジや日本コカコーラ、サントリー、JCBなどの超一流企業が多かったが、現状は、ややグレードが下がりつつある。キムタク人気のかげりといえるのか。また、トヨタでは大衆車カローラのCMに出演しているがニコンでは高級カメラに登場。「量販商品と高級商品が混同するのはどうか」という指摘もある。



　女性部門では、天海祐希と並んでなぜベッキーが1位なのかと考えてしまう。確かにかわいいし美人だ。しかし女優としての実績があるわけではない。歌手として大ヒットを飛ばしたわけではない。バラエティーを中心とした便利なタレントといったところ。ただ、男のウワサがないし、常識的で不可はない。要するに最大公約数をとった「良い子」ということだろう。

　女性部門では30代から40代の女性タレントが目につく。松嶋菜々子、黒木瞳らが上位に顔を出しているのだが、これは視聴者の高齢化と若者のテレビ離れを意味している。テレビは購買力がある30代から40代の中高年に向けた番組を求められている。

　仲間由紀恵、上戸彩らも上位にいるが、スキャンダルはほとんどない。のりピー事件以来、視聴者はタレントに品行方正さを求めていることがうかがえる。これからは人気タレントほど、私生活管理に厳しさが必要だ。総じてスポーツ選手や文化人の人気は高まり、タレントの地位はますます低くなっている。虚像で売っているタレントと、実績で勝負しているスポーツ選手では信用度が全く違うのである。

　タレントたちがあぐらをかいている時代は終わった。

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