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「エコカー時代」の到来
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「エコカー時代」の到来
各分野で温室効果ガスの削減が求められるなか、常に注目を集めるのが自動車産業での取り組みだ。特に今年は、ハイブリッド車が大きく売り上げを伸ばし、電気自動車の販売が本格化するなど、「エコカー時代」の到来を予感させる賑わいを見せている。日本の自動車産業は、低炭素社会でも頂点の座を守ることができるのだろうか。

インタビュー

衆議院議員 中川昭一氏

オールジャパンで水問題に対処
日本の知恵と技術を生かせ

治水、防災も含めた国家戦略の立案を

──海外では、多様な水ビジネスが、国ぐるみで展開されています。

衆議院議員 中川昭一氏
「日本は水関連技術だけでなく、管理運営のノウハウも持っている。世界展開にはオールジャパンの後押しが必要」と強調する中川衆議院議員

中川: ご承知の通り、シンガポールは水の半分をマレーシアに依存し、購入していますが、他方で水に関するノウハウを蓄え、戦略的に世界ビジネスにしていこうという動きがあります。そして、そのような動きは中国や韓国にもあります。一方で、米GEや独シーメンスなどの多国籍企業も水ビジネスに進出しています。日本の場合は、サントリーなど飲料メーカーや食品メーカーが統合的な水という概念で取り組んでいますが、他の国でのビジネスとしてメンテナンスまでを含めた運営を手がけているのは、三菱商事のマニラウォーターが唯一の例ではないでしょうか。

 私は、水ビジネスは、国民や国民経済に対する安定供給は当然として、治水や防災などを含めた国家戦略と考えるべきだと思います。海外に目を転じると、ナポレオン3世の時代から150年の歴史を誇るフランスのヴェオリア・ウォーターや、フランスとエジプトがスエズ運河を建設して以来、運河の運営から水道、ガス、電気、廃棄物処理までを手がけるコングロマリットに成長したスエズグループが世界展開をしています。元々は公営だった英国のテムズウォーターなどの多国籍企業も、多くの国々で上下水道事業を手掛けています。

──日本は高い技術を持っているはずなのに、十分な力にできていません。

中川: 国が水会社を作るということはできませんが、ODA(政府開発援助)と一緒になって、メンテナンスから運営までを実施すればいいと思います。勉強会や調査会で専門家が、「日本の一番の強みは技術者魂だ」と強調していました。技術者としての規範、例えば、時間や工期をきちっと守るとか、誠実にやっているとか、そういった技術者魂とでも呼ぶべきものが他国の人々にとっては最も衝撃的なのだそうです。その技術者魂で世界に向けて展開していけば、自ずと道は開かれるのではないでしょうか。

──技術を力に変えるのは、政治の仕事でもあります。

中川: 各国のトップは「エアバスビジネス」をしています。「民間だけで頑張れ」と言ったところで、戦力が全然違います。国際ビジネスはオールジャパンのトップセールスが必要だろうと思います。

 ODAによるプラント設置からシステムの運営サービス分野までうまくつなげることは、相手の国にとってもマイナスではありません。実は、プラントを引き渡したらおしまいではなくて、そこから先が利益を生むわけです。ですから、国がどこまで関与するかは別としても「チーム水・日本」の守備範囲として、そのようなビジネス展開が必要なのではないか、そのためには水資源省の設置までを視野に入れた、総理大臣がトップになる「水の安全保障戦略機構」とでもいうような「チーム水・日本」をつくり上げ、国民のみなさんに水に対する認識を深めていただくということが最大のポイントだと思います。

──サウジアラビアなどは、日本の技術で海水の淡水化を行っています。

中川: 水ビジネスに関して言うと、日本は今まで、戦術以前の局地戦だけをバラバラにやってきたと思います。海水淡水化プラントの仕事にしても、パーツを提供したりプラントをつくったりするだけで、その先を視野に入れていませんでした。今、多国籍水企業であるヴェオリア・ウォーターが日本の水会社を買収して、上水道事業に参入しようとしています。すでに、2006年に広島市と埼玉県の下水処理場の運転、維持管理を受託運営していますが、同じような取り組みを日本も考えるべきでしょう。
 

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